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【関西チューハイ事情】 大阪チューハイ文化のパイオニア、ヨネヤ「純ハイ」の噺

【関西チューハイ事情】 大阪チューハイ文化のパイオニア、ヨネヤ「純ハイ」の噺

2023,6,23 更新

東京出身、大阪在住のフリーライター・スズキナオさんとともに、東京とはちょっと違う!? 関西ならではのチューハイ事情を探る新シリーズ。第1回は大阪で生まれた「純ハイ」のことを探ります。

スズキナオさんの自己紹介

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大阪在住のフリーライター、スズキナオと申します。酒場ライター・パリッコさんとのユニット「酒の穴」としても活動しています。私は東京で生まれ育ち、10年ほど前に大阪に引っ越してきました。今ではすっかり大阪や関西のあちこちにも慣れて、ここでの暮らしが大好きになったのですが、移り住んだ当初は食文化の違いに戸惑う部分も多々ありました。

特に私はお酒がとても好きなので、関東と関西の酒事情の違いについて気づくことも多く、その差を発見することが楽しみでもあります。その一つが“チューハイの提供方法の違い”でした。

東京にいた頃、いわゆる下町の大衆酒場に行くのが大きな楽しみだったのですが、そういうお店では、チューハイを注文すると甲類焼酎と炭酸水が別々に提供され、お客さんが自分でそれを割って飲むというスタイルが主流でした。すっきりとした味わいはどんな料理にも合い、私はそうやって飲むチューハイが好きでした。

しかし、大阪に越してくると、甲類焼酎の味わいをシンプルに感じさせてくれるチューハイになかなか出会えなくなりました。ウォッカベースで、あらかじめ甘みの足されたものをサーバーから注いで出してくれるお店がほとんどで、もちろんそれはそれで美味しいのですが、正直なところ、ちょっと物足りなさを感じてもいたのでした。

前置きが長くなってすみません!そこでこの度、甲類焼酎を使ったチューハイを独自の工夫で美味しく飲ませてくれるお店に伺って、その味わいを堪能してみようと思い立ったのです!こだわりポイントについて、お店の方のお話もたっぷりお聞きしていこうと思います!

地下街の名店!串カツ「ヨネヤ 梅田本店」へ潜入!

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今回美味しいチューハイを求めてやって来たのは、JR大阪駅や大阪メトロ梅田駅・東梅田駅からもほど近い地下街・ホワイティうめだです。数多くのショップ、飲食店で賑わうこの地下街にあって、大阪ならではの串カツが味わえることで有名なのが「ヨネヤ 梅田本店」です。

この店は戦後まもなく開業し、創業80年近くになろうという老舗で、ホワイティうめだが「梅田地下街」という名称だった頃からこの場に店舗を構えています。大阪に観光に来た方々が手軽に本格的な串カツを味わうために開店前から行列を作ることも多く、最近では若い女性客が増えていると言います。その一方で昔からの常連さんにも愛されているそうで、親子三代に渡ってこの店に通っている方もいらっしゃるとか。

宝焼酎「純」をベースにした大阪生まれのチューハイ、「純ハイ」とは?

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さて、ここ「ヨネヤ 梅田本店」で味わえるのが「純ハイ」というドリンクメニュー。これは宝焼酎の「純」をベースにしたチューハイです。昭和58(1983)年頃からこの店の定番となっているメニューで、店長の大星真一さんによると「昔は生ビールで乾杯というイメージがあったと思いますけど、うちでは一杯目から純ハイを飲むお客さんが多いですよ」とのこと。

なんでも、この「純ハイ」を安定した品質で提供するためだけに作られた専用のディスペンサーを使って注いでくれるんだそうです(このディスペンサーは「純スペ」と呼ばれているそう)。

実際に「純ハイ」を飲んでみた!

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早速その「純ハイ」をいただいてみることにしました。なんでも、「純ハイ」は氷の量までこだわっているようで、標準的なチューハイよりもあえて少なめにしてあるそう。その氷が溶けてちょうどいい濃さになるように調整されているんだとか。
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グッと飲んでみると、まず感じるのはレモンのいい香りと炭酸のパワフルな爽快感です。後味はあくまですっきりしていながら、アルコール感も十分。宝焼酎「純」35度を使用することで、飲みごたえがあり、割ってもお酒の風味が薄れないんです。また、この炭酸のキリッとした後味はガス圧が強めに設定されているという専用ディスペンサーならではなのだと思います。
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大星店長いわく、口元でレモンが香るようにと、グラスにレモンスライスを浮かべるようにしているそうです。また、アルコール度数は氷が溶けてちょうど10度ほどになるようにしてあるとのこと。これらの加減もあって、飲みやすさと飲みごたえを両立するような絶妙なバランスになっているのがわかります。まさに私が求めていた辛口のチューハイという感じです。

「純ハイ」に合う 串カツは2度漬けOKに!

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美味しい「純ハイ」を飲みながら、「ヨネヤ 梅田本店」自慢の串カツをいただくことにしましょう。串カツメニューの中で一番人気は「牛カツ」で、自慢の一品だそうです。食べごたえを出すための工夫で、串が食材の端に打たれて「旗型」になっているのもこの店ならでは。ちなみに関東にいた頃は、「カツと言えばトンカツ!」と思っていた自分でしたが、大阪に長く住んだ今となっては串カツといえば自然に「牛カツ」をイメージするようになりました。
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大星店長が熟練の技で揚げてくれる串カツは衣がサクサクと軽めに仕上がっており、意外なほどにあっさりしたソースとの相性が抜群です。素材の味がしっかりわかるようなライトな味わいで、何本でも食べられてしまいそうです。聞くところによると、衣には隠し味として生ビールが混ぜ込まれていて、それによってこの小気味いい食感が生まれているんだとか。
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また、もともとは大きなケースに入って「2度漬け禁止」だったソースも、コロナ禍以降は衛生面に留意して各席ごとに個別ケースが用意され、自分だけで使える「2度漬け放題」のスタイルに変更されているんだそうです。心ゆくまでソースをつけられるのは、これはこれで楽しいですね。大星店長は「やはり串カツはたっぷりのソースに漬けて食べるのが一番だと思います。ソースが衣によく絡みますし、余計な脂も落ちるんですよ」と語ります。

大阪名物「串カツ」×「純ハイ」の可能性。

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牛カツ以外にも大星店長に色々なメニューを揚げていただきましたが、本当にどれも素材の味がしっかり感じられます。アスパラやししとうといった野菜の串カツの美味しさも格別でした。これがまた、「純ハイ」に合います。すっきり辛口な「純ハイ」だからこそ、スイスイと飲めて、串カツもたっぷり美味しく味わえる気がしました。

ちなみに平日17時までの限定で、ドリンクと串カツ4本がセットになった「丸得セット」が提供されており、早いうちから来店するお客さんに大人気だそうです。
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大星店長にこの店の自慢のポイントについて聞いてみると「やはり串カツの揚げ方ですかね」と語ってくれました。「混む時間帯は一度にたくさん注文が入るのでそれをさばいていくのが結構大変なんです。カウンター席のお客さんに『兄ちゃん、揚げるの上手やな!』って言われることがあって、そういう時は『誰でもできますよ』ってお答えするんですけど、心の中では大阪一だと思っています(笑)」とのこと。また「純ハイと揚げ物の組み合わせは最高だと思いますよ!純ハイは自分も毎日飲んでるんですけど、まったく飽きがこないです」とおっしゃっていたのも印象的でした。
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大星店長の華麗な串カツさばきを目の当たりにできる立ち飲み専用のカウンター席はコロナ禍以降は使っておらず、現在はテーブル席のみで食事が可能になっているのですが、時期を見てこちらの利用も再開する予定だそうです。カウンター席に立ち、大星店長の見事な揚げっぷりを間近で堪能しながら「純ハイ」を飲める日が、私は楽しみでなりません。

<取材協力>

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ヨネヤ梅田本店

大阪府大阪市北区角田町梅田地下街2-5
ホワイティうめだ(ノースモール1)
06-6311-6445
営業時間 9:00~22:30(ラストオーダー22:00)
定休日 奇数月の第3木曜日、元日
(取材日:2023年5月1日)

▽料理と一緒にご紹介したお酒はこちら
●宝焼酎「純」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/jun/index.html
   

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