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全日本スナック連盟会長・玉袋筋太郎が教える!令和のスナックを堪能しまくる噺

全日本スナック連盟会長・玉袋筋太郎が教える!令和のスナックを堪能しまくる噺

2026,2,20 更新

昭和の香りが漂うお酒文化「スナック」。令和の今、若い世代の間でも“昔ながらのスナック”から“進化版ネオスナック”まで注目を集めています。そこで、『一般社団法人 全日本スナック連盟(全スナ連)』会長でもある玉袋筋太郎さん(玉ちゃん)を講師に迎え、2回にわたってスナック文化を深堀りします。第1回となる今回は、「今日から始められるスナックの楽しみ方」を教えていただきました。

会長、スナックってなんですか?

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●玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう)/1967年、西新宿生まれ。1987年にお笑いコンビ「浅草キッド」を結成し、TVやラジオなどのメディアで活躍する傍ら、演劇の監修や「一般社団法人全日本スナック連盟」の設立、「スナック玉ちゃん」の運営など活動の幅を広げている。レギュラー出演はBS-TBS「町中華で飲ろうぜ」、TBSラジオ「金曜ワイドラジオTOKYO えんがわ」など。2026年1月には毒蝮三太夫との共著『愛し、愛され。』(KADOKAWA・刊)を上梓。
2015年時点で約10万軒あったといわれるスナック。しかし、ママやマスターの高齢化に加え、コロナ禍の打撃もあり、現在は5万軒近くまで減少していると言います 。日本が誇る文化遺産とも言えるスナックですが、そもそもスナックとは何か? その基礎的なところから玉ちゃんに伺いました。

「基本的にはママさんがいて、カラオケがある店が多いよね。で、“カウンター越しに接客する”のがスナックってこと。その接客方法がキャバクラとの違いかな。うち(スナック玉ちゃん 赤坂本店)は風俗営業法の許可を取ってる営業形態だから隣に着いて接客してもOKなんだけどね。こうした例外もありつつ、そこは明確な線引きがあるのよ。まあ、システム的にはガールズバーと似てるんだけど、年齢層が高めで、時間制限がゆるいのがスナックだよね」
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スナックには飲み放題・歌い放題のセット料金制を採用している店が多く、「スナック玉ちゃん 赤坂本店」もそのスタイル。

セット料金はお店によってさまざまですが、「スナック玉ちゃん 赤坂本店」は男性7000円、女性4000円で、混雑時は2時間制。赤坂見附駅近くという立地、なおかつ隣席接客が可能な営業形態と考えれば妥当な設定です。一方、郊外や地方のスナック相場はもっとリーズナブル。

「都心じゃなければ、男女共通でひとり3000~4000円ぐらいかな。俺はつい、ボトル入れちゃったり、『お釣りはいいです』って言っちゃったりするタイプだけど(笑)。金額がわからない場合は、絶対お店に入る前に聞くこと。俺だって必ず聞くもん」
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「スナック玉ちゃん」の料金表。お店の前に出ているので、初心者でもわかりやすい!
お酒のラインナップは、甲類焼酎やウイスキーが一般的。

「スナックでは基本、グラスじゃなくてボトルで提供されるのが一般的ね。それを水やお茶、炭酸水などで割ってもらうの。お酒のジャンルは本格焼酎ブームとかウイスキーブームに影響されたり、地域差もあったりするんだけど、やっぱ甲類焼酎は鉄板よ。

うちは焼酎が2種とウイスキー、梅酒の計4種がハウスボトルで、ビールとかその他のお酒は別料金ね。あと、割り材の炭酸水も別料金。この辺は店によってそれぞれかな。九州のスナックだったら、本格焼酎がハウスボトルって店も多いよね」
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おつまみもお店の魅力、カラオケは独占禁止法

おつまみは“スナック”の語源そのままに、乾きものがお通しとして提供されるスタイルが多く、セット料金に含まれます。ただ、料理好きのママの店では手作りの総菜が出てくるなど、個性が発揮されるのもスナックの魅力だと玉ちゃんは話します。

「おもてなし文化は、地方のほうが強いかも。ママ手作りのポテサラとか、マカサラ(マカロニサラダ)が出てくると俺は個人的に嬉しいんだよね。飲む前に、胃に膜を張りたいからさ(笑)。ちなみに、追加オーダーができるほど食事メニューがあるかどうかは店次第。俺の場合、焼きうどんがあると頼みたくなっちゃう。スナックに来たら、焼きそばよりも焼きうどん派なんだよね」
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そして、カラオケはコミュニケーションツールのひとつ。常連さんやママの反応を見ながら、歌を聴いたり、手拍子したり、拍手をしたり。そうして流れをつかんだうえで歌うのが、暗黙のマナーです。

「でも、いくら歌を褒められたってマイクは独占禁止法よ。あと、知ってる曲だからといって、勝手にハモるのもダメ。大声で合いの手を入れるのも、周りがやってない限りは控えたほうがいいね。基本的には空気を読みつつ、合わせる気持ちがスナックの作法だからさ」

玉ちゃんのスナック愛

両親がスナックを営む家で生まれ育った玉ちゃん。そういう環境を少年時代はうとましく感じていたそうですが、大人になると価値観は一変。その商売で自分を育ててくれた親に感謝するとともに、スナックを愛おしく思うようになったと力説します。

「働くようになると、上司や先輩にスナックへ連れてってもらえるようになってね。自分よりずっと大人たちばっかりだから社会勉強になるし、学校では教えてもらえないことのオンパレード! 人間として成長できるから、もし若い人が目上の人に誘われたなら、絶対行ったほうがいいと思うよ」
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玉ちゃん曰く、スナックは筋書きのないドラマ。数々の名店と出合い、名シーンを目の当たりにしてきた中で、思い出に残っているスナックは?

「たくさんあるけど、ママが高齢で閉めたお店はグッとくるよ。それこそ、うちの向かいにあった『パブ ラ・メール』は、先日36年の歴史に幕を下ろしたんだけど、ご近所の大先輩だったし、めちゃめちゃお世話になったから感慨深かったよね。

ほかにも、これは上野にあったお店の話。スナックって、常連のお客さんが亡くなると、そのお客さんのお葬式にママが参列するってこともあるのよ。で、その方には家族がいる。もちろん、家族はお父さんが通っていたお店の名前くらいは知ってるのよ。でも、そこで初めてママに会うわけ。

でさ、そのママがすごいのは、お客さんがよく歌う曲をノートに記してたの。それをご家族に見せて、『これ、お父様が大好きだった歌なんです』ってさ。すると家族は知らなかった一面に驚いたり、飲んでいた姿を思い返したりしてね。ママを通じて家族の絆がより深まる、みたいなさ。うん、最高のストーリーだよね」
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勝手な名乗りから、社団法人に

2014年5月に設立された「全日本スナック連盟」は、古きよきスナック文化の普及啓蒙などを目的に発足。業界の安全・安心への取り組み、新旧ママさんのサポート、令和の時代における新しいスナック業態の推進など、さまざまな活動に取り組んでいます。その設立者であり、会長を務める玉ちゃんに誕生の経緯などを聞きました。

「きっかけは『玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ』っていう、スナックに飛び込んで紹介する番組から。その時、勝手に『全日本スナック連盟会長の玉袋です』って名乗ったのよ。そのうち『スナック玉ちゃん』ってイベントを毎月やるようになったんだけど、だんだん周りの仲間が面白がってくれて、『じゃあ一般社団法人にしちゃおう』つって始まったの」

そして業界をより深く知り、サポートすべく「スナック玉ちゃん」が実店舗になったのが2017年2月。やはり、今日までの歩みには“筋書きのないドラマ”があったようで。
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「いちばん大変だったのは、やっぱりコロナ。協力金とかもあったから、店の運営は何とかなったけど、お客さんのライフスタイルが変わっちゃったからね。赤坂のオフィスワーカーもリモートになってさ。こっちまで来る習慣がなくなった人も多くて、そこでうちのお客さんにも入れ替えがあったのは事実。だからこそ、コロナ前から来てくださっている常連さんには大感謝よ」

玉ちゃん流スナックの楽しみ方

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あらためて、スナックの楽しみ方と初心者の心得を玉ちゃんに聞くと、「スナックは“ママの部屋にお邪魔する”気持ちで入ることが、いちばん大事!」と教えてくれました。

「スナックってのは、ママを行司とした公共空間なわけ。その場の空気を読んで、それでもわかんないことがあったらママに聞けば大丈夫。あとは時の流れに身をまかせ、あるいは川の流れのように、おだやかにこの身をまかせてね、ママの色に染まっちゃえばいいんだから」

“筋書きのないドラマ”は全国津々浦々、毎夜繰り広げられており、そのストーリーを楽しむのがスナックの醍醐味だと、玉ちゃんは再度熱弁します。

「毎回寝ちゃう常連さんとか、泣き出すおじさんとか、そしてそれをいさめるママね。この、リアルなノンフィクションが面白いわけよ。で、通っていくうちに、いつもは脇役だった自分が主役になる時があったりしてね。そうなれば、もう一人前だよね」

玉ちゃん直伝!スナックになじむテクニック

ママや常連さんとの距離の縮め方について聞くと、裏技を教えてくれました。それは、オープンの少し前に顔を出すこと。
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「忙しかったらできないし、ママがOKならの話なんだけどね。ちょっと早めに店に行って入れてもらえれば、じっくり話できるからさ。あと、これは俺の若いころの手口なんだけど、前に行った時に店を観察して、切れそうな電球とかチェックしとくのよ。で、その電球を買っておいて、ちょっと早く行った際にプレゼントする。これで一気にママとの距離を縮められるから(笑)。

ママと仲良くなれば、常連さんともすぐに仲良くなれる。ママを中継して会話のキャッチボールをすりゃいいんだから。で、ネタに困ったら、地元バナシね。『観光や出張で来てるからおいしい店を教えてください』とか、『僕ここに引っ越してきたばかりなんですよ~』とか。間違っても政治、宗教、野球の話はしない方がいいね」

カラオケの選曲に関しても裏技がありました。それは、デンモク(カラオケ用のリモコン)の履歴を見ること。つまり、そのリストこそがよく歌われているナンバーだということです。
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「スナック玉ちゃん」のデンモク。梅田サイファーから越路吹雪まで、ジャンルも年代も幅広い。
「意外に、令和の曲が選ばれてたりするのよ。これは若い人にとっては安心ポイントだよね。でもまあ、自分が歌わないにしても、70~80年代の大ヒット曲くらいは知っておいたほうがいいかな。シティポップはもちろん、歌謡曲もね。でも、自分が歌うタイミングは受け身であると心得て。わたし待~つ~わ、ってね!」

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玉ちゃん流、お店の探し方

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とはいえ、いざスナックで飲みたいと思っても、お店の扉を前にするとハードルが高いと感じてしまう人は多いはず。ビギナーはどんなスナックに行けばいいのでしょうか? それに、そもそもどうやって探せばいいのでしょうか?

「やっぱ、前もって料金がわかる店がいいよね。最適解は、地元の人にオススメを聞くこと。飲み屋の大将とか、タクシーの運転手さんとか、ホテルのフロントとかね。それが難しい場合は、まず料金が掲示してある店を選んで。もし、それもない場合は表に出てる空き瓶の箱。そこに『宝焼酎』が置いてあったら、良心的に飲ませてくれる店だね(笑)!」

ただ、空き瓶の箱もなく、お店の雰囲気を探る選択肢が少ない場合もあります。実は、これにも裏技があると教えてくれました。それは、電話をしているふりをしながらドアを開けること。
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最終手段「電話をかけながらお店を確認」の図。
「入ったお店が高級店の場合、内装や照明とかでわかると思うのね。あと、良心的なお店はだいたい、混んでても接客が明るくて心地いいのよ。笑顔で『いらっしゃいませー!』ってね。電話するふりしながらガチャッてドア開けて、もし『違うかも』って思ったら、『あれ? いない? すいません! 間違えましたー』って謝れば大丈夫(笑)。でもこれ、あくまで最終手段よ」

おつまみに関しては、基本はおまかせ。食事は一軒目(居酒屋など)で済ませておくのが一般的で、それでも料理をオーダーしたい場合は、お品書きが置いてあったり、壁にメニューが書いてあったりすればOK。

「なかには出前を注文できるスナックもあってね。そこからオーダーしたい場合も、ママに聞けばいいから。あとは、常連さんが土産とか差し入れを持って来てくれるケースもあるのよ。ああいった粋なサプライズは、黒帯(常連客)になってからだよね」

そしてドリンクの割り方についても、より詳しく教えてもらいました。割り方や味の濃淡調整なども、ママにお願いすればいいのでしょうか?
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「ママがワンオペじゃなければ、チーママ(ママのサポート役スタッフ)やスタッフさんに伝える感じだね。もしお酒の種類や割り材のリストがなければ、それも聞いてみるといいよ。お酒は、リストがなくてもハウスボトルはだいたいテーブルやカウンターに置いてあるから。で、カタさ(お酒の濃さ)に関しても自分の好みを伝えれば大丈夫」

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スナックは宝の山

最後に「全スナ連」の会長として、スナック初心者に向けてメッセージをいただきました。

「なんだかんだ、スナックってハードルが高いと思われがちだけど、中にはレトロだなんつって、楽しんで来てくれる若い子もいるのよ。それに、他の酒業態にはないクセがあるから、わかる子には刺さるんだろうな。

ぜひ、いくつか好みの店を見つけてほしいね。で、4枚ぐらい“カード”を持っておくといいよ。しっぽり飲みたい時はここ、にぎやかに飲みたい時はここ、ママに相談したい時はここ、手料理が食べたい時はここ、みたいな感じでさ。 スナックは宝箱。そのフタを開ければ、きっと未知なる体験が待っている。スナックは宝の山でもあるんだから!」
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お店の数は減少しているものの、だからこそ年々希少な存在になっているスナック。玉ちゃんの活躍とクラシカルなネオンにより、円熟の光はますます輝いていくでしょう。次回は、昭和のレガシーを継ぎつつ進化した「ネオスナック」のママと玉ちゃんが、その魅力を語り合います。

<取材協力>
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スナック玉ちゃん 赤坂本店
住所:東京都港区赤坂4-2-3 ディアシティ赤坂 B1 102号
営業時間:20:00~翌1:00
定休日:土、日曜、祝日
http://snatama.com/akasaka/

撮影/鈴木謙介

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【玉袋筋太郎イベント】
スナック玉ちゃん〜玉袋筋太郎という芸名とともにうっかり40年〜
出演:玉袋筋太郎(マスター)、桐畑トール(チーフ)
日時:2026年3月28日(土)
会場:東京カルチャーカルチャー(東京都渋谷区1-23-16 cocotiSHIBUYA 4F)
チケット:前売り4000円(※peatixにて発売)
【イベントの詳細はコチラ

【玉袋筋太郎YouTube】
玉チャンネル
毎週(木)17時配信予定。ほか不定期。

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KADOKAWA・刊
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