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【colocal×酒噺】焼酎ハイボールのアテ探し旅~〈レンバイ〉のピクルス&さつま揚げ&焼き鳥の噺

【colocal×酒噺】焼酎ハイボールのアテ探し旅~〈レンバイ〉のピクルス&さつま揚げ&焼き鳥の噺

2023,5,5 更新

「colocal(コロカル)」はマガジンハウスが発行するWebマガジン。酒造りの伝統を守りつつ次世代につなげる宝酒造と、ローカルな素材を活かしてとっておきのつまみを提案する「colocal」とのタッグで、企画を連載しています。

「酒噺」では、「colocal」とのコラボ企画として不定期に、その内容をご紹介します。
※この記事は「colocal」で2023年2月27日に掲載されました。
全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
そこでしかお目にかかれないおいしいものとの出合いも楽しみのひとつです。
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉にあう最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
これぞ! というアテをテイクアウトして、焼酎ハイボールとの相性をレポート。
思わず喉が鳴る至極の組み合わせをご覧あれ!
今回は、神奈川県鎌倉市の〈鎌倉市農協連即売所(通称レンバイ)〉です。
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冬の寒さに耐えた鎌倉野菜をピクルスで堪能

2月初旬の鎌倉。
寒空の下でも、ちゃんと太陽は微笑み、鶴岡八幡宮から海岸へとまっすぐに伸びる、昨年、大河ドラマで描かれたあの時代の面影を感じられる若宮大路を歩けば、吹く風はなんだかやわらかい。
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この時期の鎌倉の楽しみのひとつが、冬の鎌倉野菜だ。
焼酎ハイボールのアテとして野菜がいけるのは、このシリーズで訪れた淡路島の洲本56商店街と砂町銀座商店街でも実証済み。
ここに並ぶ野菜を見れば鎌倉の四季がわかるともいわれる“レンバイ”を訪ねよう。
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昭和3年に開設以来、鶴岡八幡宮の参道、若宮大路の茶屋の休憩所と移転し、昭和32年からこの場所に。その間、出店する農家も3代目、4代目に。
鎌倉野菜といえば、地元の飲食店だけではなく、都内の有名レストランやこだわりのビストロなどでも使われる、ブランド価値も高い野菜。
それが一般の方でも、観光客でも気軽に入手できるのがレンバイ。正式名称は〈鎌倉市農協連即売所〉。
鎌倉市内と古くは鎌倉エリアだった横浜市長尾台町の農家が、自分たちで生産した農作物を、自ら販売している直売所だ。
歴史は古く、開設は昭和3年。外国人牧師から「ヨーロッパでは、農家が自分で生産した野菜などを決まった場所で直接消費者に販売している」と聞いたことがきっかけだったという。
現在、農家の組合員は23軒で、1~4班に分かれ交替で出店。
つまり同じ店は中3日での出店となり、毎日訪れても違う農家の野菜が入手できる。これもレンバイのおもしろさ。おおむね朝8時頃までには販売準備が整い、朝どれの新鮮な野菜が並ぶ。
閉店は野菜が無くなるまでということで、日没くらいまで残っていることもあるが、やはり狙いは午前中。
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4班に分かれてローテーション。1班5~6軒、定番品はもちろん、農家ごとのスペシャリティ的な野菜が並ぶ。朝早い時間は飲食店、10時近くになると近隣の一般の方が集まってくる。
この日は4班の農家が出店。お目当ては〈山森ファーム〉。
午前10時に売り場をたずねると、まだ野菜は豊富に並んでいた。
「これでもだいぶなくなってしまったんですよ」と、山森圭子さん。
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レンバイの奥側、一番広いスペースでズラリと野菜を並べる山森ファーム。年間120種類以上の野菜を生産するというから驚き。この日も根菜を中心に、5キロ以上の重量感ある三浦大根、珍しい西洋野菜など、多種多様。
普段何種類並んでいるのかと聞けば、
「数えたことはないんですけど、30種類ぐらいはありますね。
にんじんだけでも今日は6種類あります。味わいが結構違うんですよ」


香りが強く、野菜スティックなど生食に向く白人参から、逆に香り少なくてお子様でも食べやすいもの、グリルや煮込みに向くものなど、それぞれ個性があるという。
鎌倉野菜は、特に“これが鎌倉野菜”という品目があるわけではない。
だが、鎌倉の土壌、気候、そして農家の心意気は、季節ごとに多品目の野菜を生み出し、それが鎌倉野菜の特徴となっていた。

「祖父の代から3代目ですが、その頃は定番品。
ここまで多品種になったのは10年ほど前からでしょうか」

レンバイは鎌倉野菜を購入できる市場というだけではなくプロ同士の交流の場。
「料理人の方からご要望いただいて、そこからいろいろ試して。
やってみたいんですよ。時間かかって失敗したものもありますけれど(笑)」

「失敗も楽しい冒険」と山森さんは笑う。
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ただ並んでいるものを買うのではなく、生産者と話しながら買えるのがレンバイの魅力。逆に山森さんもお客さんとの話のなかからいろいろなヒントや、冒険心をもらう。
さて、目的のアテは山森さん手づくりの「鎌倉野菜 マダムのピクルス」。
旬の野菜にローリエやクローブなどのハーブを効かせたもので、実はこれも地元の有名レストランとの会話から生まれ、レシピを提供されたもの。物語ごといただくとしよう。
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新鮮な野菜はもちろん、「鎌倉野菜 季節野菜のお漬物」と、「鎌倉野菜 マダムのピクルス」といった手づくり品も名物。塩分は、野菜の風味を引き出すために控えめ。だから酒にもよく合う。

湘南の海の幸もいただきます

続いてレンバイに隣接、いや、一体化しているといってもいい、ベーカリー、スイーツ、デリ、カフェ、輸入食品など、個性的な10店舗ほどが集まる〈鎌倉中央食品市場〉へ。
まずは、稲村ガ崎で絶品朝ごはんが食べられると、地元の人にも観光客にも愛される人気カフェ、〈ヨリドコロ〉の直売店を覗いてみよう。
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古い建物の中で、良く磨かれたショーケースにスタイリッシュなインテリア。古民家をベースにしたおしゃれな空間づくりは稲村ガ崎のカフェと同様だ。
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名物の厳選された干物は天日干し無添加にこだわる。お店を切り盛りする恵さんによれば「近隣のレストランさんが野菜を買った帰りにまかない用に買っていかれることも多いですね」とのこと。まかないでもいいものを。そのこだわりも鎌倉らしい。
鎌倉・湘南エリアの大切な食文化である干物がメインで、もうひとつの逸品がオリジナリティあふれるさつま揚げ。この日は、なんこつとごぼう、シャキシャキキャベツと枝豆、紅しょうが入ったものなど5種類。
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つなぎを使った2種類と、つなぎを使わないグルテンフリーの3種類が並ぶ。季節によっても変化。魚、脂、具材といった素材の良さとボリューム。1枚の満足感がすごい。
「魚の良質なたんぱく質を多くの人に食べていただきたいので、時間をかけていろいろ試行錯誤しながらつくりました」と、お店を仕切る恵(めぐみ)由美子さん。
具材のユニークさだけではなく、つなぎを使わないグルテンフリーのものも提供するなど、さつま揚げを通して、思いが伝わってくる。
「そのままでもおいしいですし、少し炙ったらお酒にも合うと思いますよ」
というひと言で、焼酎ハイボールとのからみあいに期待が高まる。
次は焼鳥の〈秀吉〉。
地元の人々が、普段着でテイクアウトの注文をする傍らで、酒を飲みながら焼き鳥をつまむ人たちもいる。
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まちにとっても大切な店であり、来訪者を迎える酒場でもある名物店だ。
大将の高橋秀吉さんが脱サラし、奥様の孝江さんと始めて26年目。
手が足りなくなって、由佳さん、由実さんふたりの娘さんが加わり、現在の“フォーメーション”が完成。家族ならではの阿吽の呼吸、チームワークも魅力のひとつだ。
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20種類を超えるメニューが並ぶ。ねぎ間やもも肉、つくねといった定番のほか、あればラッキーという希少な白レバーや、ジューシーで酒が止まらなくなる合鴨ロースなどの名物料理もねらい目。
もちろん、地元の人、酒旅の目利きからも長く愛されている理由は、「おいしい」ということ。国産の鶏を生の状態からから丁寧に仕上げるなど、気軽な雰囲気ながらも、焼き鳥に対するこだわりは強い。
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孝江さんが仕込み秀吉さんが焼く。変わらぬリズムが愛される美味を生むのだろう。
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店前のテーブルで吞みながら焼鳥をつまむ。これも秀吉の楽しみ方。
サワー、焼酎、日本酒のほか、ビールやワインも充実。「お酒もひと通りないとつまらないですから。焼き鳥に合うようなお酒を選んでいます」と由実さん。

鶏の良さが伝わる塩系と、愛されてきたタレ物、どちらもいただこう。
豊富な焼鳥メニューのなかで異彩を放つのが「秀吉玉子」。

ウズラの玉子を焼鳥のタレで色がしっかりつくまで煮込んだもの。
実はこれ、玉子好きの由佳さんからのリクエストに、秀吉さんが何とか応えたいと生み出されたものだった。もともとは家族のためのもので「おいしいからお店でも!」となった。物語のある一串は、はずせない。

驚きとおいしさが幾重にも重なって

さあ、焼酎ハイボールと鎌倉の美味をいただこう。アテの一番手は鎌倉野菜のピクルス。
強すぎない酸で締まった野菜、そこからじわっと甘み、丸み。鎌倉野菜の根菜たちは、滋味深いながらもどこか明るいように感じる。
これが太陽の力なのだろうか。
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軽やかながら複雑さをもたらすハーブは、野菜だけではなく焼酎ハイボールにもいいアクセントを与える。焼酎ハイボールをぐっと飲みこめば、炭酸とピクルスの酸味が爽やかに通り抜け、余韻に再び野菜の明るさ、甘みがやってくる。
さつま揚げはアドバイス通り少し炙ってからいただく。炙った外側とほわほわの内側、そこに根菜や軟骨と、食感が目まぐるしく変わり、驚きとおいしさが重なっていく。定番のさつま揚げではなく、鎌倉・湘南スタイルの新しい練り物か。
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野菜の甘味の次は良く練られた魚の甘み。
陸と海、この地の恵みと焼酎ハイボールの相性は見事だ。
秀吉玉子はなんだかパワーストーンのようにも見える。艶のある黒光り。ここまでの色をつけるには相当な時間がかかりそうだが、頬張れば白身はぷりんとしていて黄身に煮崩れはない。甘辛いタレの風味は、熟成感はあっても強すぎずもうひと串いきたくなる。
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熟成感があり、力強さはあっても、爽快でついもうひと口。焼酎ハイボールと同じ世界じゃないか。
鎌倉野菜も海の恵みも、自然の環境だけを頼りにするわけではなく、鎌倉というコミュニティ、文化から生まれてきたように思う。
そのまちの文化を味わうのもまた、アテ探しの楽しみなのだ。
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Information

鎌倉市農協連即売所(レンバイ)
住所:神奈川県鎌倉市小町1-13-10
営業時間:おおむね8:00~夕方 
定休日:1月1~4日

ヨリドコロ レンバイ市場店
住所:神奈川県鎌倉市小町1-13-10
営業時間:9:00〜16:00
定休日:月曜
Web:ホームページ https://yoridocoro.com/

秀吉
住所:神奈川県鎌倉市小町1-13-10
営業時間:11:00~20:30(肉がなくなり次第終了)
定休日:火曜(水曜不定休)

クレジット

・ライター:岩瀬大二
(プロフィール)
●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆

・撮影:黒川ひろみ
   

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