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倉嶋紀和子オススメ「焼酎の美味しい飲み方」と“オリジナルチューハイ”の噺

倉嶋紀和子オススメ「焼酎の美味しい飲み方」と“オリジナルチューハイ”の噺

2024,2,26 更新

【意外と知らない焼酎の噺15】2022年から始まった「意外と知らない焼酎の噺」では、「ホッピー」や「ホイス」といった割り材メーカーの代表者から歴史や美味しさの秘密を教えてもらったり、ディスペンサーメーカーにもお話を伺いました。今回も引き続き“総集編”(後編)として、荻窪(東京都杉並区)の「チューハイ倶楽部C」で、『古典酒場』編集長の倉嶋紀和子さんにチューハイの歴史や割材について振り返ってもらいつつ、「オリジナルチューハイ」を考案してもらいました。

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●倉嶋紀和子/雑誌『古典酒場』の創刊編集長。大衆酒場を日々飲み歩きつつ、「にっぽん酒処めぐり」(CS旅チャンネル)「二軒目どうする?」(テレビ東京)などにも出演。その他にもお酒をテーマにしたさまざまな活動を展開中。俳号「酔女(すいにょ)」は吉田類さんが命名。令和4年(2022年度)「酒サムライ」の称号を叙任

倉嶋紀和子の「オリジナルチューハイ」

「『宝焼酎』はどの銘柄も、樽貯蔵熟成酒とのブレンド具合が絶妙ですよね。樽香があるからコクやうまみのフックを感じさせてくれますし、でも逆に樽香が強すぎると甲類焼酎の良さが消えて飲みにくくなってしまうと思うんです」と、魅力を振りかえる倉嶋さん。ここからは、倉嶋さん考案のオリジナルチューハイを教えてもらいます。

●「NIPPON×ホッピー」

まず1品目は「NIPPON×ホッピー」。長年、親交があるホッピーミーナさん(ホッピービバレッジ代表取締役社長の石渡美奈さん)と対談をした第8回の『ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺』を振り返りつつ、味の特徴を教えてもらいました。
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「私の場合『ホッピー』のベースアルコールは甲類焼酎。ちょっと気分を変えたい時にはフレーバード・ウォッカで割って呑んでいたのですが、、『NIPPON』と出会ってからは、甲類焼酎の桜樽熟成のものもいいなぁと。『NIPPON』がもつ、桜樽由来の甘やかな熟成香が、『ホッピー』の麦芽の風味に合うんです。そのうえ、桜ならではの上品なニュアンスがあって、贅沢な『ホッピー』になるんですよね」(倉嶋さん)
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「ホッピーミーナさんと久々にゆっくりお話しができたのはよかったですね。もう10年以上親しくさせていただいてますが、ホッピーのルーツや、なぜ東京以外の横浜や横須賀にもホッピーの聖地があるのかなど、改めて勉強になりましたね」(倉嶋さん)

【関連記事】
【意外と知らない焼酎の噺08】ホッピーミーナが語る! 焼酎のベストパートナー「ホッピー」の噺

●「極上〈宝焼酎〉×炭酸水×フローズン葡萄」

2品目は、丸ごと凍らせた葡萄の実をアクセントにした「極上〈宝焼酎〉×炭酸水×フローズン葡萄」。まずは、味わいについて語ってもらいました。
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「フローズン葡萄を入れるきっかけは、2022年の春に発売された『極上〈宝焼酎〉の炭酸割りタンチュー』なんです。そのままでも『極上〈宝焼酎〉』の豊かなコクがフックになって美味しいんですが、ちょっとアレンジしてみようと思いまして」(倉嶋さん)
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「それで、氷代わりにもなるからと、凍った葡萄を入れたらドンピシャだったんです。使うのは黒葡萄のほうですね。果実そのままだから甘すぎず、葡萄の風味も自然でちょうどいいバランスだなと。以来、特に夏は愛飲しています!」(倉嶋さん)
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「チューハイ倶楽部C」店主の山下さんにニットクのディスペンサーでつくられた強炭酸を入れてもらい完成!
本シリーズでは「チューハイ」についても深掘りしてきましたが、倉嶋さんが印象に残っている取材について伺いました。

第12回で、チューハイディスペンサーを製造するニットクさんにお邪魔しましたね。強炭酸を楽しむには、ガスが弾け飛ばないように、注ぎ口をグラスに付け、氷に当たらないように傾けながら静かに注ぐなど、島田昭専務のお話はとっても勉強になりました」(倉嶋さん)。
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ニットクでは、炭酸の注ぎ方のコツなども教えてもらいました!
「ほかにもチューハイについては、それぞれいろいろな方にお話しを伺いましたが、どの回も印象的です。藤原法仁さん(大衆酒場の有識者)とは『村さ来 中野北口店』で対談させていただき(第7回)、同店のチューハイの豊富なバリエーションには驚かされました。濃いめに注文できるのも魅力で、すごく楽しかったです。

第9回の『レモンサワー発祥の店「もつ焼き ばん」で語る、焼酎「割り材」の噺』では、『居酒屋礼賛』主宰の浜田信郎さんと『もつ焼き ばん 中目黒本店』に行きました。とにかく同店発祥のレモンサワーが絶品で、もつ焼きや『激辛豚美(とんび)豆腐』といった名物にも合うんです。また、このレモンサワーをヒントに生まれた『ハイサワー(株式会社博水社)』の田中秀子社長にもお話を伺いました。米国への視察旅行で見たカクテルを飲む光景が、開発のきっかけだったというのは、なるほどと思いましたね」(倉嶋さん)
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『もつ焼き ばん 中目黒本店』のレモンサワー
「『ハイサワー』の博水社もですが、『ホイス』(第10回)と『バイス』(第11回)も住宅街のなかにオフィスを構えていたのがなんとも下町的で素敵でした。『ホイス』の後藤竜馬社長(有限会社ジィ・ティ・ユー)は、創業者のおじいさまから受け継ぐ味をひとりでつくるという、まさに一子相伝だなと。それに、おじいさまが戦前にシベリア鉄道で欧州へ行った知見が『ホイス』の味につながっている、という話もロマンがありましたね」(倉嶋さん)
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「『バイス(正式名称:コダマバイスサワー)』の池澤友博社長(株式会社コダマ飲料)は2代目で、初代で下戸のお父様と酒好きの2代目で一緒に開発したというお話が興味深かったです。また『コダマ』の由来が、池澤社長が幼少期に特急列車『こだま号』が大好きだったからというエピソードも、家族愛があってほほえましいですよね」(倉嶋さん)
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●「レジェンド×豆乳」

3品目は「レジェンド×豆乳」。第13回『「お茶割り」のプロに聞く「焼酎×お茶」組み合わせの妙を楽しむ噺』の取材の感想を交えながら語ってもらいました。
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『レジェンド×豆乳』は、かつて西巣鴨(東京都北区)にあった老舗のもつ焼き酒場『高木』に甲類焼酎の『牛乳割り』というドリンクがありまして。それが大好きだったので、自分でもやってみようと思ったのがきっかけです。ただ牛乳より豆乳のほうがヘルシーということで、私の場合は豆乳。

特に、樽貯蔵熟成酒が20%使われた『レジェンド』で割ると、バニラやはちみつのような甘香ばしさが豆乳の甘みとマッチして、デザート感覚で飲めるところが好きです。それでいて、濃厚なもつ焼きも食べたくなるんですよね。この点は甲類焼酎の素晴らしさかなと」(倉嶋さん)
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「第13回では、松ちゃん(松木恵美さん。倉嶋さん主宰のカルチャースクール『古典酒場』の生徒)が営む『酒と茶と 襤褸(らんる)』に行きましたね。一番興味深かったのは、同じお茶を使っても、焼酎が変わると味だけでなく色にも違いが出るところ。アルコール度数も一緒なのに、樽貯蔵熟成酒の量でpH(水素イオン指数)の値が異なるからではないかというお話でしたよね。やっぱりアルコールって奥が深いなと、勉強になりました」(倉嶋さん)

家でより美味しく飲むためのコツ

最後は、甲類焼酎を家で美味しく飲むためのワンポイントアドバイスを紹介します。まず、ベースとなる焼酎やグラスは冷蔵庫で冷やしておきましょう。なぜなら、冷たいほうが氷が解けづらく、味が薄まりにくいから。

なお、チューハイの場合はロックアイスも用意。もちろん、お湯割りで楽しむ場合は冷やす必要はありません。ただ、事前に焼酎と水を前割りしておき、湯煎で温めておくとまろやかな口当たりになってより美味しく楽しめます。

チューハイをつくるための炭酸水は、ガス圧が強い強炭酸タイプがオススメ。注ぐ際は、勢いよくではなく、氷に当てないようグラス内側に沿わせるようにやさしく入れ、マドラーで混ぜるのもゆっくり1回程度で十分です。

焼酎は容量や容器にも様々な種類がありますが、冷蔵庫で保存しやすいタイプは、牛乳パックと同型の「900ml紙パック」。冷蔵庫のドアポケットにも収納しやすい形状となっています。

レモンサワーが好きな方は、カットしたレモンをそのまま凍らせることで氷代わりとなり、味が薄まりにくいレモンサワーを楽しめます。味を薄めないという点では、氷代わりになるアイスキューブを別途購入するのもアリ。また、役立ちツールとしては炭酸ガスを抜けにくくする専用のキャップも売っているので、適宜使ってみてください。

割り方で無限に楽しめる酒が焼酎だ

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最後に再び、これまでの「意外と知らない焼酎の噺」を振り返った感想を倉嶋さんに聞きました。

「甲類焼酎の面白さは割り材との組み合わせにあり、その味わいを支えているのが、絶妙なバランスでつくられた宝焼酎。樽貯蔵熟成酒のブレンド比率などによって様々なつくり分けがされていて、そこからの掛け合わせで無限の美味しさが楽しめるという。本当にスゴいお酒です!」(倉嶋さん)

本シリーズによって倉嶋さんの焼酎知識が一層深まるとともに、吞兵衛人生の転機になったとも。読者のみなさんもぜひ奥深い魅力に触れ、より豊かな焼酎ライフを楽しんでください。
<取材協力>
チューハイ倶楽部C
住所:東京都杉並区天沼3-6-22
営業時間:17:00~24:00
定休日:月曜


撮影/鈴木謙介


記事に登場した商品の紹介はこちら▼
・宝焼酎
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/
・極上<宝焼酎>
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/lineup/gokujo-takara-shochu.html
・宝焼酎「レジェンド」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/legend/
・宝焼酎「NIPPON」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/nippon/
・極上〈宝焼酎〉の炭酸割りタンチュー
https://www.takarashuzo.co.jp/products/shochu/takarashochu/gokujo/tanchu/


【意外と知らない焼酎の噺】バックナンバーはこちら▼
【意外と知らない焼酎の噺01】「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
【意外と知らない焼酎の噺02】「甲類焼酎の製造方法」を工場で学ぶ噺
【意外と知らない焼酎の噺03】いろんな「甲類焼酎」を飲み比べて味わいの違いを実感する噺
【意外と知らない焼酎の噺04】芋焼酎のつくり方を知り、味わいを楽しむ噺
【意外と知らない焼酎の噺05】麦焼酎の歴史とつくりを知り、味わいを楽しむ噺
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