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【関西食文化研究】 京都焼肉の革命児[アジェ]の名物に合わせて日本酒で一献の噺

【関西食文化研究】 京都焼肉の革命児[アジェ]の名物に合わせて日本酒で一献の噺

2024,3,15 更新

関西の食文化のなかで、日本酒がどのように楽しまれているかを探求する連載企画も今回で最終回。酒場ライターのスズキナオさんも初体験という京都焼肉・ホルモンの名店で、日本酒との相性の可能性を探ります。

京都発の焼肉カルチャーを初体験。

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こんにちは。宝酒造の清酒「松竹梅」がどんなシーンでどのように飲まれているかを知るべく、あちこちを訪ねている当企画ですが、今回は宝酒造のおひざ元、京都に来ました。

やってきたのは、「気軽に立ち寄れるホルモン屋」をコンセプトに掲げ、新鮮なホルモンを庶民的な価格で食べさせてくれる[焼肉・塩ホルモン アジェ]の松原本店です。美味しいお店だとは前々から聞いていたものの、本店にほど近い場所にある支店、木屋町団栗店とともに、行列ができているのを見かけては諦めてきた私。今回、ついに食べに来ることができました。

ホルモンももちろん楽しみなのですが、この[焼肉・塩ホルモン アジェ]では、焼肉と日本酒とのマリアージュを堪能していくお客さんが多いと聞きます。

宝酒造の「松竹梅」とホルモンとの組み合わせ、果たしてどんな味わいなのでしょうか!胸が高鳴ります。

高瀬川に面した西木屋町の[アジェ松原本店]。

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1997年創業の[焼肉・塩ホルモン アジェ]は、京都を拠点に、岐阜や金沢、東京・有楽町にも支店を持つ人気店。その創業の地が、ここ松原本店です。高瀬川に面したこの立地を気に入ったオーナーが、当初は一人で切り盛りしていたといいます。
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オープン当時はテーブル席が少しあるだけの小さなお店だったそうですが、お客さんが増えるにつれて店舗の敷地を拡げ、今ではカウンターやテーブル席をあわせて約40人が収容できる規模になっています。
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店長の長田大さんによれば、この店の客層は幅広く、年配の方、お勤め帰りの方、カップルや若い方と、まさに老若男女が訪れるそうです。また、ここ最近は特に海外からの観光客が多く来店しているとのこと。ホルモン自体を初めて目にするという方も多く、最初はおそるおそる食べつつ、その美味しさに驚かれるそうです。
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また、ホルモンをおつまみに、日本酒を飲んでいく方も多いのだとか。まずは長田さんにおすすめしていただいた、「ホソ」と「澪」の組み合わせを試してみることにします。

名物のホソ(塩)とスパークリング日本酒「澪」に舌鼓。

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最初にいただく「ホソ塩」は、このお店の一番の人気メニューです。長田さんいわく「今は看板メニューになっているんですけど、うちがそうしたというより、お客さんが看板メニューにしてくれたんです」と、その美味しさが口コミで広がり、「アジェと言えばホソ塩」と認知されるまでになったのだとか。
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ホソとは、牛の小腸のこと。関東では「マルチョウ」と呼ばれることも多い部位です。塩とタレ、二つの味付けが選べますが、ダントツで人気なのは塩の方で、網で焼いたものを、ホソ塩専用に作られた“洗いダレ”にサッとつけて食べるのが流儀だそうです。
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皿に盛られてきたのは一人前というのが信じられないほどのボリューム。よく「二人前と間違っていませんか?」と聞かれるそうですが、本当にこれで一人前です。この店のメニューはどれもサービス満点なボリューム感で、色々食べたい人向けに半人前(ハーフ)も用意されています。

長田さんに教わった通り、マメにひっくり返しながら焼いていき、焼き目がついたところで洗いダレにつけていただいてみます。ふわっと柔らかな食感で、噛むたびに上質な脂の甘みが溶けだします。ポン酢が決め手だという洗いダレの酸味が後味をさっぱりさせてくれます。
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そこに合わせるのが、よく冷えたスパークリング日本酒「澪」です。ホソ塩のあくまで繊細な後味に「澪」の華やかな甘みと炭酸の心地よさが驚くほどよく合います。お互いがお互いの味を引き立てあうような、素晴らしいペアリングです。
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聞くところによると、この店で焼肉用に提供しているホソは仕入れたその日のものだけだそうで、それだけ新鮮さが重要なのだとか。ホルモンといえば臭みを消すために濃い味のタレに絡めて焼くのが普通で、塩味で食べられるほどに新鮮なホルモンを厳選し、このような方法で提供したのは非常に画期的なことだったそうです。

希少!上タンスジから、侮れないキムチで箸休め。

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次に、「お酒にすごく合いますよ」と長田さんがおすすめしてくれた上タンスジを、やはり塩でいただきます。
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黒毛和牛の上タン一本から少しだけとれる希少な部位だそうで、見るからに美しい鮮やかな色合いです。
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絶妙な厚みにカットされているため、適度な歯ごたえを感じられ、程よい脂感もあって、なるほどこれはお酒が進む味わいです。「澪」にもよく合い、思わずいいペースで飲んでしまいます。
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箸休めにと注文した「キムチ3種盛り」は、これもまたすごいボリューム。白菜、長芋、聖護院大根のキムチが、たっぷりな盛りで出てきました。ちなみにこの店のキムチは、熱心なファンがついていて、通販も受け付けているほどに愛されているのだとか。どれも自家製で、素材一つ一つを手作業で丁寧に漬けているそうです。奥深い甘みがあって、それほど辛みはきつくありません。これだけでいくらでもお酒が飲めそうな、すごく好みのキムチでした。

松竹梅「豪快」に極厚のハラミがフィット!

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さて、ここでさらに、「豪快」に合わせるのにおすすめのお肉ということで、ホソ塩に並んで人気だという上ハラミを“塩”でいただくことにしました。
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驚くほど厚くカットされていて、海外の方にもすごく人気なのだとか。ここ最近、質のいいハラミは、焼肉店でも取り合いになるほど希少になってきているのだそうです。[焼肉・塩ホルモン アジェ]は、長いおつき合いのある仕入先だからこそ、いいものを仕入れられるのだといいます。
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こちらも長田さんに焼き方を指南してもらって食べてみると……こんなに厚いのに柔らかく溶けていくような食感で、甘みと旨味が混然となった肉汁が溢れ、感動のあまり思わず涙が出そうになってしまいました。
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そうだ、日本酒だ!と慌てて合わせたのは松竹梅「豪快」生酒<本醸造>辛口。よく冷えた状態でいただきます。鮮やかな香りと、キリッと辛口な後味。冷酒というのがまた最高の相性です。「ホルモンと豪快の組み合わせ、ぜひ皆さんにも味わって欲しい!」と心の底から感じた瞬間でした。

お猪口片手に手づかみでテールにかぶりつく。

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次におすすめしてもらった「テール塩」は、骨の周りのお肉にかぶりついていただく、まさに“豪快”な一品。数に限りがあるため、すぐに売り切れてしまう人気の品だとか。
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牛テールというと、スープに入っているものという先入観があったのですが、このお店ではそれを適度な厚みに輪切りにカットして提供しています。
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両手で持ち上げてかぶりつくと、骨の周りの肉はほろほろと柔らかくほぐれます。ニンニクをきかせた特製の塩だれが引き締まった肉質によく合い、これもまた「豪快」の風味と見事に溶け合ってくれました。片手にテール、片手におちょこと、ワイルドな気分で堪能しました。

クラフトチューハイ「寶CRAFT」も。

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長田さんによれば、当然ながら他にもまだまだおすすめのお肉があるとのこと。先ほどいただいた上ハラミを“塩”ではなく“タレ”でいただくと、これはこれでまったく違った味わいに。
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タレで味付けたお肉には、タレ専用の洗いダレが用意されています。みりんのような甘みを感じるさっぱりした洗いダレの中にスライスされた玉ねぎが入っていて、お肉で巻いて食べると極上の味わいでした。私にとってはこの“洗いダレ”というもの自体が新鮮だったのですが、京都の焼肉店ではこのようにして食べる店が多いのだとか。味の濃さがちょうどよくまろやかになって、これはいいですね。
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この店では、「寶CRAFT」の「京都ゆず」と「滋賀アドベリー」がいただけるとのことで、お肉に合わせてみることにしました。

「寶CRAFT」は日本各地のご当地素材の特長や個性を生かしたクラフトチューハイのシリーズで、現在、全国で41種類が展開されています。
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「京都ゆず」も「滋賀アドベリー」も、フルーツの香りと酸味がしっかり感じられ、樽貯蔵熟成焼酎が隠し味になっているというのも納得の豊かな味わい。そして宝酒造のチューハイらしく、後味がすっきりしているところが好きです。

[焼肉・塩ホルモン アジェ]のサービス満点な盛り付けゆえ、お腹を減らして来たはずが気づけばすっかり満腹になってきました。人気店ですが、平日の開店時間はねらい目だと聞いたので、またすぐに食べに来てみたいと思います!
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<取材協力>

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焼肉・塩ホルモン アジェ 松原本店
京都府京都市下京区西木屋町通松原上ル東側 美松会館1F
075-352-5757
営業時間 17:00〜24:00(ラストオーダー23:00)※売り切れ次第終了
定休日 水・木曜
(取材日:2024年2月20日)

▽記事で紹介したお酒はこちら
・松竹梅白壁蔵「澪」 
・松竹梅「豪快」(飲食店ルート限定)

▼【関西食文化研究】バックナンバーはこちら
・京都[わらじや]で、日本酒と味わう「うなべ」と「うぞふすい」の噺
・京橋のアミューズメント酒場!?[酒房まつい]の錫器(すずき)で味わう日本酒の噺
・世界が憧れる神戸牛と日本酒のペアリング! [神戸牛 八坐和(やざわ)]で食べ・飲み比べの噺

   

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