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【関西食文化研究】 世界が憧れる神戸牛と日本酒のペアリング! [神戸牛 八坐和(やざわ)]で食べ・飲み比べの噺

【関西食文化研究】 世界が憧れる神戸牛と日本酒のペアリング! [神戸牛 八坐和(やざわ)]で食べ・飲み比べの噺

2024,2,16 更新

東京出身の酒場ライター・スズキナオさんとめぐる、日本酒視点で見た関西の食文化研究。今回は少し贅沢なブランド牛と日本酒とのマリアージュを楽しみます。海外からの旅行者も憧れる、至福のひとときを。

日本酒「松竹梅」と一緒に神戸牛!

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宝酒造の「松竹梅」がどんなシーンでどのように飲まれているかを探っていくこの企画ですが、今回はちょっと贅沢です。なんと神戸三宮に「神戸牛」を食べにやってきました!

神戸牛と言えば、三重県の松阪牛、滋賀県の近江牛と並んで“日本三大和牛”にも数えられる高級肉。もちろん日本国内では広く知られていますが、近年では海外からの評価も非常に高く、「神戸ビーフ」として世界的なブランドになっています。

海外から日本へやってくる観光客が急増しているここ最近、日本の観光地や名物をめぐるコースの一環として神戸牛を味わっていく人々が非常に多いのだとか。そして神戸牛の味を楽しみつつ、そこに日本酒を合わせるのが定番になりつつあると聞きました。

そこでは今回は、神戸牛を隅から隅まで知り尽くし、徹底的に美味しく食べさせてくれる[神戸牛 八坐和 阪急三宮店]を訪ね、神戸牛と日本酒が特に海外の方にどんな風に受け入れられているのかを伺ってみることにしました!もちろん、私も美味しいお肉と日本酒をいただいてきましたよ!

海外旅行者が目指す神戸牛の殿堂。

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[神戸牛 八坐和]は、神戸牛を専門に扱い、兵庫県を中心として全国各地に様々な業態を展開する「吉祥吉グループ」の系列店です。同グループのエリアマネージャーを務め、7年前から[神戸牛 八坐和]に関わっている山田幸男さんによると、このお店はグループ全体の中でアンテナショップ的な役割を担っているそうです。
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「吉祥吉グループ」のお店の中には目の前でステーキを焼いてくれるような高級店もあれば、神戸牛を使ったラーメンを提供しているお店までと幅広いのですが、こちらのお店では手頃な食べ方から高級ラインまで幅広いメニューを提供しており、神戸牛の美味しさに触れる入口のような存在なのだとか。ステーキだけでなく、すき焼き、しゃぶしゃぶのコースも用意され、好みに応じた食べ方ができるお店になっています。
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2023年の夏頃から海外からの旅行者が急増したこともあり、それ以降、鉄板焼きの業態を展開する系列店では、なんとお客さんの8割~9割が外国人旅行客になっているとのこと。ネットの口コミを通じ、神戸牛の美味しさが急速に広まっているのを感じると山田さんは言います。ここでその美味しさを味わった方はみな「アメイジング!」と驚かれるそうです。

世界に通用する神戸牛の肉質とは?

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吉祥吉グループの前身は1998年に神戸の東山商店街でオープンした和食料理の店だといいます。季節の食材を使った料理を出す小料理屋だったそうですが、ある時、テレビの取材を受けた際、「神戸牛は扱っていますか?」という質問に、当グループの会長が「やっていますよ」と咄嗟(とっさ)に答えてしまったとのこと。
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「そう言ってしまったからには」と、実際に神戸牛を使った料理を提供してみたところ、それがお客さんに大好評だったとか。その反響を受け、大胆にも神戸牛専門として路線変更をすることになったそうです。仕入れも含めゼロからのスタートでしたが、神戸牛の美味しさを広めたいという情熱で、現在のように系列店を50店近くも展開するグループ企業に発展してきました。
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神戸牛の美味しさについて山田さんに伺うと、三角形を描きながら説明してくださいました。「大きな三角が但馬牛です。ここにはAランクからCランクまで色々な質のお肉があるわけですが、三角形の上のごく一部、本当に質の高い少しの部分だけが神戸牛と呼んでもいい肉なんです」とのことで、神戸肉流通推進協議会が設けた非常に厳しい基準をクリアしたもののみが神戸牛(正確には「神戸肉」という名称だそう)とされるそうです。
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その厳しい基準があってこそ、神戸牛というブランドが守られ、世界的に有名になったということ。「吉祥吉グループ」では、その神戸牛を特定の仕入れ先から一頭買いし、部位に応じた食べ方を各業態で提供し、余すことなく使用しているそうです。山田さんいわく、その肉質の特徴は「甘み」の深さで、それゆえにお米の旨みを感じられる「松竹梅」との相性が抜群なのだといいます。

贅沢に前菜感覚で味わう神戸牛肉寿司とスパークリング日本酒「澪」。

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[神戸牛 八坐和]で提供されているコースの中には、前菜として「神戸牛ステーキ寿司」が出されるものも。今回は神戸牛の中とろを使った肉寿司と、スパークリング日本酒の松竹梅白壁蔵「澪(みお)」を合わせていただくことにしました。
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地産地消を大切にしているお店ゆえ、お寿司のシャリには兵庫県産の有機米を使い、その上にこの寿司用に仕入れてカットしているという神戸牛の中とろを、そして醤油のジュレを乗せて味わうという贅沢なスタイルです。
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ちょっと緊張しつつ頬張ってみると、脂の甘みが口の中に広がり、すっと溶けていくように感じます。まさに夢心地の味わいです。

そしてそこによく冷えた松竹梅白壁蔵「澪(みお)」をキュッと合わせると、お肉の甘い後味が心地いい炭酸と溶け合い、さらに重層的な味わいに変化していくのを感じます。飲み終えた後はすっきりとした風味が残り、この上ないマッチングだと思いました。

特に欧米の方の中には生の牛肉を使ったお寿司を敬遠する方もいらっしゃるそうなのですが、山田さんが積極的にその美味しさをアピールし、「よかったら一口だけでもどうぞ」とおすすめしているそうです。その結果、リピートするほどに気に入る方が多いのだとか。
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そしてそれは松竹梅白壁蔵「澪(みお)」に関しても同様で、最初はスパークリング日本酒というものがなかなかイメージできない方もいるそうですが、味見してもらうと「アメイジング!」の声が聞こえてくることが多いのだとか。

食べ比べ、赤身には「松竹梅白壁蔵」<生酛純米>を。

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次にいただくのは「神戸牛 食べ比べステーキ」で、こちらも普段はサラダやご飯やお吸い物、デザートまでがセットになったコースの中の一品として提供されています。

「神戸牛 赤身」と「神戸牛 フィレ」の2種をセットにしてもらったのですが、部位によってもちろん味わいも大きく異なるそうなので、まずは「神戸牛 赤身」を、「松竹梅白壁蔵」<生酛純米>と合わせていただくことにしました。
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山田さんにおすすめしていただいた通り、最初は赤身のお肉を、何もつけずにそのままいただきます。先ほどいただいた寿司のお肉よりもしっかりとした肉の味わいがしつつ、口の中に繊細な甘みが広がっていきます。これは本当に、何もつけずに食べるので十分かもしれません。うっとりするような美味しさです。

山田さんにたっぷり注いでいただいた「松竹梅白壁蔵」<生酛純米>を、まずはグラスに口を近づけていただくと、魔法のようなマリアージュ具合です。
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生酛造りのお酒というと、発酵の力を強く感じるような香りとコクが特徴というイメージがあるのですが、「松竹梅白壁蔵」<生酛純米>は、米本来の旨さをしっかり感じさせつつも、まろやかで、アタックが強すぎない味わいに思えます。赤身のお肉の、しっかりとしつつも繊細な味わいとまさにぴったりのバランスだと思いました。
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ちなみに、ついさっき「そのまま食べるので十分」と書いたばかりですが、淡路島産の玉ねぎをたっぷり使ったオリジナルソースをつけて食べるのも、塩を振ってわさびを少しつけて食べるのも、どちらもまた違った味わいがありました。

霜降り肉には「松竹梅白壁蔵」<純米大吟醸>で。

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さて、もう一方の「神戸牛 フィレ」、霜降り肉の方をいただいてみましょう。肉の表面にツヤがあり、明らかに上質な脂の旨味を感じさせてくれそうです。先ほどと同じく、まずは調味料を何もつけずにそのままいただきます。……うまい!ほんの少し噛んだだけで、上質な
脂が沁みだして来るのがわかります。
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お肉の風味が消えないうちに、急いで「松竹梅白壁蔵」<純米大吟醸>を味わいます。華やかな香りと、お米の旨みが広がり、これもまた極上の融合っぷりです。このお店で提供されている日本酒の中でも海外の方に一番の人気で、「ボトルごと買って帰りたい」という方もいるというのも納得です。
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ちなみに、海外の方からすると、日本酒を下の升にこぼれるほどにグラスになみなみと注ぎ、まずは口を近づけて飲み、升にこぼれた分をグラスに入れて飲んで、という行程自体が一つの体験として面白がられるそうです。そんな体験を通じて、日本酒の楽しみ方が世界中に広がっていくのだろうなと思います。
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お肉の味わいのことばかり書いてきましたが、ドレッシングに淡路の玉ねぎをたっぷり使っているというサラダも、パティシエが手作りしているという抹茶ブリュレも美味しかったです。個人的には、兵庫県産の有機米にステーキダレをちょっとつけて食べるだけですでにかなり美味しくてびっくりしました。
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「今後も海外からの旅行客は増えていくでしょうね」と山田さんは言います。「神戸牛にしても日本酒にしても、ここで初めて味わうという方が多いんです。まずはこの美味しさを広げて、たくさんの方に知っていただく、そのお手伝いをしたいと思っています」と、頼もしい山田さんの言葉を聞くことができた取材でした。

<取材協力>

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神戸牛 八坐和 阪急三宮店
兵庫県神戸市中央区北長狭通1-6-1 ASA三宮ビルB1~2F
078-322-0830
営業時間 11:00~16:00(ラストオーダー15:30)、16:00~22:00(ラストオーダー21:00)
定休日 無休
(取材日:2024年1月15日)

▽記事で紹介したお酒はこちら
・松竹梅白壁蔵「澪」 
・松竹梅白壁蔵<生酛(きもと)純米> 

▼【関西食文化研究】バックナンバーはこちら
・京都[わらじや]で、日本酒と味わう「うなべ」と「うぞふすい」の噺
・京橋のアミューズメント酒場!?[酒房まつい]の錫器(すずき)で味わう日本酒の噺



   

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