酒噺 ~もっとお酒が楽しくなる情報サイト~

ちょっと加えるだけで、いろんな料理がグレードアップ! 実は便利な本みりんの噺

ちょっと加えるだけで、いろんな料理がグレードアップ! 実は便利な本みりんの噺

本みりんは和食に欠かすことのできない調味料ですが、普段料理をしない人にとっては、醤油や味噌などとはちがって使い道がわかりにくいものかもしれません。今回は、ちょっとお酒から離れて料理の話。本みりんの正体を探りながら、思わず試したくなる使い方を京都市左京区にあるイノシシバル「ボタン」の店主・望月明宏(もちづき・あきひろ)さんにうかがいました。

そもそも、本みりんとは?

本みりんとは、もち米、米こうじ、醸造アルコールを仕込んだもろみを、ゆっくりと糖化熟成させたあとに搾ってできる酒類。

糖化熟成中に米こうじが、もち米に含まれるでんぷんを糖やアミノ酸などに分解し、あの独特の甘みや香りが出てくるのです。

現在は調味料として使われていますが、みりんの文字や名称が初めて文献に現れるのは今から400年余り前の安土桃山時代で、当時は「美琳酒・密琳酒」と呼ばれ、女性や下戸向けの甘いお酒として親しまれていました。

調味料として使われ始めたのは、江戸時代頃から。
当時は高級品とされており、庶民が気軽に使えるものではなかったそうです。
一般家庭の台所に登場しだすのは、昭和になってからなのだとか。

日本人の心とからだがよろこぶ、本みりん

和食のイメージが強く、使いこなすのが難しいと思われがちな本みりん。
しかし実は、和食以外でも使い勝手のいい調味料だと話す料理人も。
それが、今回おじゃました「ボタン」の店主・望月さん。

ボタンはイノシシ料理をメインに提供するレストラン。

イノシシといってもお鍋に限らず、ソーセージやパテ、煮込み料理などさまざまな形で目と舌を楽しませてくれます。

本みりんの使い方をうかがっているなかで望月さんが「ほら、例えばこれ」と出してくれたのは和食とはかけ離れたイノシシのワイン煮込み。

「和食の煮物だけでなく、洋風の煮込み料理にも本みりんはよく合うんです。やさしい甘さで、角がない丸みのある味なので本当に使いやすいんです」(望月さん)

たしかに望月さんのイノシシのワイン煮込みには、イノシシの野趣(やしゅ)溢れる香りを生かしつつも、ワインの濃厚なうま味やコクの奥に、どこか懐かしい甘みが感じられます。
これが、望月さんが表現する本みりんの効果なのだとか。

「洋食だと、ちょっと甘みがほしいときに炒めた玉ねぎを使うことが多いですよね。もっと甘みがほしいときは砂糖を使ったりもします。でも、玉ねぎは香りが強いし、砂糖は甘みが際立ってしまう、そんなときに便利なのが本みりん。甘みだけでなくうまみがプラスされて、煮込み料理の味がぐっと深くなる。しかも、砂糖のように想像しやすい甘さではなく複雑なコクがあるので、自分でも“おっ”と驚くような味わいが生まれることもあるんです」(望月さん)

「本みりんは食材と喧嘩をしない調味料。味をうまくまとめてくれて、おいしくしてくれる。でもそれだけじゃなくて、日本人の心とからだがよろこぶ深い味が隠されているんです。僕も料理を始めたころは正直、本みりんの使い方がよくわかっていませんでした。でも、今では、普段のメニューはもちろん、ちょっと味の決まらないときの切り札として欠かせなくなっています。きっと、ほかの洋食屋さんでも使っているんじゃないかな?」(望月さん)

カレーやミートソースも本みりんでおいしくなる!?

本みりんは和食に限らず、なんと洋食にも。

しかし、それを使いこなすには、やはりプロの腕が必要なのではと思っているところに、望月さんからうれしいアドバイス。

「たとえば、カレーやミートソースの仕上げにちょっと本みりんを加えると、いつもの料理がグレードアップします。これは市販のものでも一緒。できあがったカレーやパスタのソースに本みりんをほんのひと垂らし。そのあとに5分ほど火を通して、アルコールを飛ばしてやれば完成です。簡単でしょ? 気軽に加えてみてください」

たしかに、本みりんは醤油や味噌と比べると目立たない存在かもしれません。
でも、その理由は主張しすぎることなく、料理に寄り添い、引き立てる縁の下の力持ち的な存在だからかもしれませんね。

みなさんも「今日のカレーはちょっとコクが足りないな」という時には、台所のにある本みりんを使ってみては?

いままで本みりんに抱いていたイメージが一変するかもしれませんよ。

<取材協力>

イノシシ料理とワインのお店 ボタン
営業時間:
(月〜水曜日・土曜日)17:00~22:00(ラストオーダー)
(木〜金曜日)12:00~14:00、17:00~22:00(ラストオーダー)
※日曜日定休日
所在地:京都府京都市左京区 聖護院山王町41

関連記事

この記事のキーワード