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【せんべろnet監修 】“ひとり飲み”初心者が「角打ち」に挑戦する噺

【せんべろnet監修 】“ひとり飲み”初心者が「角打ち」に挑戦する噺

2024,1,26 更新

「酒噺:東京・大衆酒場の名店シリーズ」で一連の酒場知識を習得したお酒好きタレント・中村優さん。本企画は、実践編ということで、女性一人(初心者)でもできる「酒場」の楽しみ方を、「せんべろnet」管理人のひろみんさんに教えてもらいながら体験していく第3回目。今回は、神田(東京都千代田区)にある人気の酒屋さんで角打ち(かくうち)に挑戦します!

角打ちに挑戦してみたい……

これまでの体験で、それなりの経験値を積んだ中村さん。最近よく耳にする「角打ち」って何だろう? ぜひ一度行ってみたいと思い、ひろみんさんにLINEで「角打ち」について聞いてみることに。
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すると、ひろみんさんから早速返信が!

「簡単にいえば、角打ちは酒屋さんの一角で飲むこと。または飲める酒屋さんのことなどを指します! 発祥は、製鉄業で栄えた時代の北九州らしいです。いまは多様化が進み、おつまみに凝ったりお酒に特色を出したり、お店のバリエーションも豊富ですよ」とのこと。

加えてひろみんさんは「角打ちは東京にもたくさんあって、初めて行くなら神田の藤田酒店さんがオススメです!」とも。

そこで中村さんは早速、「藤田酒店」で「角打ち」にチャレンジするために神田へ向かいました。

そもそも角打ちとは?

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そもそも「角打ち」とは元来“升に酒を入れて飲むこと”を指しますが、時代とともに“酒屋さんでお酒を買い店内で嗜む”という意味が一般的になりました。その多くは立ち飲みスタイルですが、座席で飲めるお店もあります。発祥は、福岡県北九州市であるという説が有力。その背景には、官営八幡製鐵所に勤務していた労働者の文化が関係しているといわれています。

1901(明治34)年に操業を開始した官営八幡製鐵所は、24時間交代制で稼働していました。お酒好きの労働者にとって、仕事後の飲みは癒しの時間でしょう。ただし当時、夜勤明けの朝は居酒屋などお酒を飲める店が営業していません。そこで労働者たちは朝から営業している酒屋さんでお酒を買い、店頭で飲むようになった――。これが北九州における「角打ち」のルーツです。

「角打ち」の魅力のひとつは、酒屋さん自体が飲食店に卸す立場の業種でもあるためお酒が比較的に安価なこと。おつまみは、乾き物や缶詰などが主体のお店もあれば、なかには飲食店営業許可証を取得して、自家製の料理を提供する店も。いずれにせよ、気軽に一杯楽しめるのが醍醐味です。

また、「角打ち」は立ち飲みスタイルが多いため、お店の人やお客さん同士の距離が近く、自然と会話が生まれやすい業態です。加えて、お酒の種類やラインナップが豊富で、気に入った缶やびんのお酒があればその場で購入できるのも、酒屋さんならでは。近年は日本酒やワインに特化した店や、少量ずつの飲み比べセットを用意するお店も登場するなど、お酒好きにとってのパラダイスとなっています。
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いざ!藤田酒店へ

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「藤田酒店」に到着した中村さん。ひろみんさんによると、こちらは気軽な雰囲気なので初めてでも安心なのだとか。ということで「せんべろnet」の記事を参考に、いざ入店。
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恐る恐る扉を開けると、すぐにご主人の坪田維修さんが「いらっしゃい!」と迎えてくれました。

中村 ひとりなんですけど大丈夫ですか?

坪田 もちろんですよ。お好きなところへどうぞ!
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ご主人の坪田維修さん
中村 (まずは注文、どうしよっかな?)さすが、メニューが豊富ですね! お酒もズラリと並んでて。
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坪田 ありがとうございます! うちは初めてですか?

中村 はい、実は「角打ち」自体が初めてで。

坪田 それはそれは、うちを選んでいただき光栄です! では一応、簡単にうちの注文方法をお伝えしますね。お酒は冷蔵庫から出していただいて構いませんし、冷蔵庫の外にあるものはお伝えください。

中村 わかりました! お会計はキャッシュオンですよね?

坪田 はい。その都度カウンターのレジでご精算となります。おつまみのオーダーもあればご一緒に。お品書きからでも、ぜひご覧になっていただけたら。

中村 そしたらまずは、このタカラ「焼酎ハイボール」をお願いします。
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タカラ「焼酎ハイボール」5%〈特製グレープフルーツ割り〉350ml(300円)
坪田 5%の〈特製グレープフルーツ割り〉ですね。300円になります。ほかになにかわからないことがありましたら、なんでも聞いてくださいね。また、細かい点はそこに貼ってある「初めてのお客様へ」にも書いてありますので。
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中村 ほんとだ! これはすごくありがたいです。では、まずは乾杯ッと……。うん、レモンとは違った柑橘の爽快感があって美味しい! アルコールが5%の絶妙な飲みごたえ!
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坪田 甘くない缶チューハイの代名詞ですよね。タカラ「焼酎ハイボール」は、うちにもファンが多いです。アルコール7%の<ドライ>が一番人気ですけど、最近5%の<特製グレープフルーツ割り>がよく出るようになったので2列に増やしました。

中村 おつまみにも相性抜群ですよね。ということで、「うるめいわし」と「シマアジ」「干し甘エビ」をお願いします。あっ「シマアジ」は2つで。「炙ります」と書いてあって、気になっちゃいました。
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坪田 お任せください! 炙るので、少々お待ちくださいね。こちらはあわせて250円になります。
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中村 ヤッター! この、駄菓子屋さんっぽい入れ物に入ってるのもいいですよね。私、昔からこういった小魚が大好きなんです。いまでも、見つけるとすぐ買いますし。

坪田 そうなんですね。でも確かに、おやつでよく食べていた、とおっしゃるお客様は多いです。ではどうぞ。
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「うるめいわし」「シマアジ」各1尾50円、「干し甘エビ」1尾100円
中村 炙ってあるから香ばしくて、より美味しい! それにお酒が進みますね。タカラ「焼酎ハイボール」とも相性抜群。

坪田 ありがとうございます。こちらは価格も駄菓子屋感覚で提供させていただいています。

中村 お酒もおつまみもサイコーに美味しくて、雰囲気も非日常感がありながらアットホームであったかい。「角打ち」、すごく楽しいです!
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角打ちのルールとは?

「角打ち」は、独自のルールを設けているお店が多めです。もしもルールの掲示がなく、注文方法などがわからない場合には、お店の方にたずねてみましょう。

よくあるルールのひとつが、現金×キャッシュオンのシステム。最近はキャッシュレスに対応されている「角打ち」も見かけますが、千円札や小銭は用意しておいたほうがいいでしょう。

また、酒屋さんなので、基本的にはセルフサービスです。冷蔵庫から飲みたいお酒を選んで取り出したり、飲食後の食器やゴミを片付けたりといった部分は協力しましょう。
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なかには「1グループ2名まで」など、来店人数にルールを設けている「角打ち」も。テーブルはカウンタ―のみというお店も少なくないので、グループで訪問したい場合は事前に調べておくことがオススメです。

なお、乾き物やお菓子などを手で食べるシーンが多いのですが、おしぼりは無いのでウェットティッシュを用意しておくと便利です。

そして、混んできたら詰めて譲り合い、長っ尻はせず飲み終わったら帰るのがマナー。お店にもよりますが、滞在時間は最大1時間ぐらいがベストです。酒屋さんの店頭であるためお手洗いがないことも多いので、その意味でも短時間で切り上げる意識をもって「角打ち」を楽しんでください。
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藤田酒店にはトイレもあるので、いざという時も安心
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意外な「おつまみ」でますますお酒が進む!

気さくな店主のおかげで、すっかり緊張もほぐれた中村さん。お酒も進んでトークにも花が咲きます。
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中村 お店はいつから営業されてるんですか?

坪田 1928(昭和3)年です。私たち夫婦は三代目で、角打ちは2013年から始めました。そのあと2016年にちょっと改装して広くなりましたね。

中村 「角打ち」になったのは比較的最近なんですね。

坪田 当初は、乾きものが中心のおつまみだったんですけど、オープンから1年半ぐらいしてから徐々にバリエーションを増やしたんです。お客様の期待に応えたいなと思って。
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中村 なるほど! 一番人気はどのメニューですか?

坪田 実は「焼ソバ」なんです。

中村 あっ、目の前にあるこちらのカップやきそばですか? 気になるので、お願いしてもいいですか?
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坪田 かしこまりました! 400円になります。少々お待ちくださいね。

中村 はい! では一緒にお酒も。タカラ「焼酎ハイボール」をおかわりで。

坪田 「焼ソバ」もお待たせしました! どうぞ。

中村 わっ、この野菜は水菜ですよね。特別感があって、ますます美味しそう!
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「焼ソバ」(400円)
坪田 水菜はちょっとしたアイデアなんですけど、おかげさまで好評です。箸休めにもなるかなと思って入れさせていただいているんですけどね。

中村 いただきますっ……やきそばと水菜って合いますね! 香ばしくて酸味の効いたソースと、シャキッとしてさっぱりした水菜がマッチ。これまたお酒が進みます!
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坪田 ふだんはカップやきそばを食べないけど、うちに来ると必ず召し上がる、というお客様も結構いらっしゃるんですよ。

中村 その気持ち、わかります! 私、カップのインスタント麺って山頂で食べるのが世界一のロケーションだと思ってましたけど、「角打ち」で食べるのも最高。いい場所、見つけちゃいました!

坪田 また「焼ソバ」をつまみながら飲みたくなったら、ぜひお立ち寄りください(笑)!

中村 絶対また来ます!
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「角打ち」は“大人の駄菓子屋”だ

中村さんにとって、初めての「角打ち」は大満足の体験に。ひろみんさんにお礼のLINEを送ると、「気に入ってもらえてよかったです! 角打ちはお店ごとに作法が違ったりしますけど、それも魅力。名店は全国にあるので、いろいろ巡ってみてくださいね」と返信が。

酒屋さんならではのお酒とつまみが種類豊富に揃う「角打ち」は、いわば“大人の駄菓子屋”。童心に帰った気分で飲めるのも、また魅力といえるでしょう。次回もひろみんさんのアドバイスをもとに、せんべろ系の人気店と、その作法を紹介します。
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撮影/鈴木謙介


<取材協力>
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藤田酒店
住所:東京都千代田区内神田2-10-2
営業時間:17:00~21:00
定休日:土曜、日曜、祝日

※価格はすべて税込みです

記事に登場した商品の紹介はこちら▼
・タカラ「焼酎ハイボール」
https://shochu-hiball.jp/


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