居心地のよい角打ち&立ち飲みと出会うための噺
2018,10,19 更新
何軒か立ち飲みや角打ちのお店を巡ってみると、気がつくのはそれぞれの店には個性があるということ。その個性を作るのは、内装やお店の得意とする料理やお酒の種類であったり、時にはお店の方や常連の作る場の空気であることも。今回は、そんなお店の雰囲気を作る常連さんやお店の方々のお話。訪れたのは、大阪北区の天神橋筋商店街の上谷商店。ここにはどんな「お店の雰囲気」があるのでしょうか。
日本一長い商店街の角打ち
この店の看板は笑顔の素敵な女将の上谷秀子(うえたに・ひでこ)さん。さらに、息子さんである隆太(りゅうた)さんが手がける料理の数々も評判なのだそう。
当初はカウンターに秀子さんだけだったのですが、数年前に足を怪我した時から、隆太さんもカウンターの中からお店を支えるように。
常連が残すお店に残す思い出の品々
小説もあればエッセイもありジャンルはバラバラ。この本はどこから仕入れたのかと秀子さんに聞いてみると「それは“上谷文庫”。お客さんが持ってきて、ここで読んで置いていくんです。ウチではカウンターで本を読むお客さんが結構多いんです」とのこと。
カウンターの風景になるお客を目指せ
さらに「常連さん同士の仲も本当によくって、この店で出会って結婚した方もいるんです。それから、常連さんのお一人にお医者さんがいるんですが、その方がいるときに“今日は主治医がいるから安心だ!”なんて飲み始める人もいたんです。しばらくしたらそのふたりが本当に主治医と患者の関係になっていたり。いろんな出会いがあって、お客さん同士つながりあえるのがこの店のいいところですね」(秀子さん)
お話を聞いているうちに、カウンターにはお客さんが並び始めました。隣り合ったお客さん同士やカウンター越しにおかみさんと「あいつは来ていないの?」とか「今度、仕事でどこそこへ・・・」など親しげに話し始めるお客さん。
上谷商店はカウンターの中も外も距離が近く、不思議な一体感が生まれています。
「自分にとって居心地のよい店」を探そう
それを聞いた秀子さんは「よかった。でも、スミレさんがしっかり目を見て楽しそうに話してくれるから、こっちも話しかけやすいんですよ。ウチは親子ふたりでやっているからやっぱり家庭的な雰囲気がウリ。人によって好みはあるけど、常連さんはみんなこの雰囲気を好きだと言ってくれるんです」さらにそれを聞いて、お店の魅力を口々に語り始める常連さん達。スミレさん、すっかりお店の一員になっています。
「立ち飲みや角打ちは敷居が高そうで行ったことがない」、「行ってはみたけれど、いつの間にか足が遠のいてしまった」そんな方は、まずはいろいろなお店を訪ねてみて「自然と店の雰囲気が肌に合う」場所を見つけてみては?
<取材協力>
営業時間:10:00~22:00
休日:日・祝休
住所:大阪府大阪市北区天神橋4-6-17
※取材データは2018年9月時のものです。