初めて訪れる店での「コミュニケーション」の噺
2018,10,5 更新
角打ちや立ち呑みの、賑やかなのにどこか落ち着く雰囲気を作る大きなポイントは常連客の存在。行きつけの店で常連となり、気心の知れた仲間やお店のスタッフと親しく話すひとときは、酒飲みにとっての「理想の時間」といえます。では、お店の人やお客さんと仲良くするためにはどうしたら良いのでしょうか? 今回は、「立ち飲みで会話の糸口を作る方法」を探りに、新大阪の老舗角打ち「橋本商店」にお邪魔しました。
明治から続く酒屋の立ち飲みは、常連客でいっぱい
昭和47年ごろに店舗に併設した立ち飲み屋をオープンし、現在では地域の人々はもちろん、出張で新大阪を利用するビジネスマンにも愛される人気店となっています。
このお店の人気は店を切り盛りする気さくな女将さんである足立真紀さんの人柄と、もうひとつ、カウンターに並べられた美味しそうなおつまみの数々。
名物のポテトサラダや肉じゃがなど家庭的で心癒されるその味には、数十年来のファンも多いそう。
開店時間ともなれば、常連が引きも切らず訪れて店内はすぐに満員に。あちらこちらで客同士やカウンター越しの会話に花が咲き、賑やかな時間が始まります。
秘訣その1 無理をせず、自然と話せるテーマで会話を始めよう
「そうですね、一人で飲んでいる方でちょっと手持ち無沙汰なら、お声がけすることはありますよ。そんな時は、お店のテレビで流れている野球やニュースの話、お天気の話が多いですかね。ちょっとご機嫌を伺うような感じです」(真紀さん)。
しかし、賑やかに談笑する常連さんのように場の雰囲気を盛り上げるような楽しい話をした方が良いのでは?
橋本商店では、一緒に旅行に出かけたり、お誕生日を祝ったりと親しく付き合っている常連さんがたくさんいらっしゃるそう。そんな方々も、かつては緊張しながらお店の戸を開けて、カウンターに着いていたのかもしれません。
大切なのは肩の力を抜いて、酒場を愛すること。
会話のネタや談笑のポイントは、その後に自然と生まれてくるようです。
秘訣その2 常連さんの“スタイル”を観察しよう
カウンターの端でテレビを観ながら、缶チューハイとツマミを楽しむ常連さんは「ここに来たらまずは、ポテトサラダ食べな。ここのは旨いで。初めての人だって一緒のものを食べて“うまいな”って言えたら、そこで話は始まるもんや。
食べもんでなくとも阪神タイガースの話題や酒の話だってええ。ちょっと隣見て、旨そうなもの食べてはんなて思ったら“それなんでっか”て聞いてくれたら答えるわ。それから酒場の話は忘れやすい。1回ではお互い顔も覚えられん。だからよう来てや。3回顔つき合わせたらもう忘れんから」
続いて、カチッとしたビジネスマン風の方にもちょっと質問をしてみます。
常連さんとのつながりを作る方法は、その様々な楽しみ方に共感して、共通の話題を見つけること。そして時にはお店の雰囲気を大切にしながら、常連さんがしない注文をしてみるのも良いのかもしれません。
秘訣その3 本当に大切なのは、お店の空気を愛する気持ち
橋本商店でのお客さんの滞在時間はおおよそ1時間で、平均予算は1000円ほど。
決して長居はせず、それでもスタッフも常連同士も家族のように繋がり合える立飲みという空間。その輪の中に入るために必要なのは何より、お店の料理やお酒だけでなく、そこに集う人々も大切にし、一緒に楽しもうという気持ちです。
<取材協力>
住所:大阪市東淀川区東中島1-16-12
営業時間:17:00~21:00
休日:土日祝
住所:大阪市東淀川区東中島1-16-12
※取材データは2018年8月時のものです