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日本から世界へ、形を変え拡大する“日本食”の噺
2023,1,13 更新
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的に認知が高まっている和食。「SUSHI」や「TERIYAKI」などの料理名は、既に多くの国で使用され、「うま味」もそのまま「UMAMI」として認知されています。
ただし、日本人がイメージする日本らしい食事と海外の方がイメージする「日本食」には少し違いがあるようで、それぞれの国の事情や食習慣によって、各国で新しい「フュージョン※日本食」が生まれているようです。今回の酒噺は、アメリカ、ヨーロッパで主に拡大している日本食の現状についてご紹介する特別編です。
※様々な国の料理や食材、調理法の融合
日本食ってなんだろう?
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■日本食と和食の違いって?
私たちは普段、日本食と和食という言葉をあまり区別して使用していません。
実のところ、和食には明確な定義はありません。ただし、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された際には、和食の定義として
(1)多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
(2)健康的な食生活を支える栄養バランス
(3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
(4)正月などの年中行事との密接な関わり
が挙げられましたが、もちろんこれだけが日本で食べられている食事ではないのです。
ラーメンやカレー・餃子など、元は海外で生まれたものの、日本で独自にアレンジされたメニューなども海外では日本の料理として認知されていますし、わたしたちも海外の方に日本の食べ物として紹介することがあります。
独自の解釈ではありますが、本記事では、古来より日本人の間で食されてきた伝統的な料理を「和食」とし、伝統的な和食に加え、ラーメンやカレー・餃子なども含めた料理を「日本食」として話を進めていきます。
世界における日本食の広まり
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世界で生まれつつあるフュージョン日本食
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例えば、アボカドなどを使ったカリフォルニアロールやドラゴンロール、照り焼きサーモンなどはその最たるもの。これらが生まれた経緯にはさまざまなものがあり、例えばカリフォルニアロールは海苔や生魚の食感が苦手な海外の方のために、巻き寿司の表裏を反対にした酢飯を外に露出させた具に、アボカドなどを使用したのがきっかけ。このほかにも、フュージョン日本食が生まれる背景には、日本の食材が手軽に手に入りにくい環境であったり、現地の人がより気軽に抵抗感なく食べられるようにとの配慮があったようです。
その結果、私たちが想像する「日本食」とは異なる料理が生まれることもありますが、実はこれは日本も通った道。
日本の中華料理店に中国にはない天津飯があったり、本場とは似ても似つかないラーメンがあったり、イタリア人にとっては奇異に映るナポリタンや明太子スパゲティ、もっと言えばドリア、ハンバーグ、ハヤシライスなど、お馴染みの洋食もその多くが、日本の事情に合わせて変化した料理なのです。
今、海外ではかつての日本と同じように、日本食が特別な料理であった時代から、自国の文化を取り入れ、今は楽しむステージに入っていると言えるのかもしれません。
現地で人気の日本食をご紹介
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冒頭でもご説明した通り、日本食レストランの数も増えており、宝グループの海外事業も大きく成長していますが、それは和食だけではなく、現地の嗜好に合わせた“日本食”を提供するレストランが増えていることも一つの要因として考えられます。では実際、どのような日本食が人気となっているか想像がつきますでしょうか?今回、現地で食されている人気の“日本食”の一部を再現しましたので、ご紹介します。
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海外では日本の食材が持つ独特な食感が人気を博しています。また一方で、ヴィ―ガン(完全菜食主義)やベジタリアンや宗教上の理由から食肉が食べられない方に向けた植物性の食材にも注目が集まっています。
具体的なメニューは以下の通りです。
【ワカメとキクラゲ ナムル風】
茎わかめときくらげのコリコリとした食感が楽しく、ごま油の香ばしさをプラスすることで、海藻の香りが苦手という方でも食べやすく仕上げられています。
【白滝のサラダ ポン酢ソース】
欧米では「Zen Pasta」とも呼ばれる、ヴィーガンやベジタリアンだけでなくダイエットフードとしても人気の白滝。独特の食感を活かしつつ、前菜らしくポン酢でさっぱりといただけるようにアレンジ。さらに松の実を加えることで、コクをプラスしています。
【プラントベースの鮪の刺身】
こちらもヴィーガンやベジタリアンなどに人気の高い、見た目がまるで刺身の“もどき料理(精進料理などで出される肉や魚に似せて作られる食品)”。こんにゃく粉から作られており、マグロやサーモンの筋まで見事に再現されています。欧米では既にこの刺身を利用した握り寿司も登場しているそうです。
この前菜には、宝酒造インターナショナルが海外専用の商品として欧州向けに輸出している、松竹梅「Kaori」を合わせていただきます。
2022年9月、国内事業を担う宝酒造との協業により、ヨーロッパ向けに輸出を開始した海外専用商品。独自酵母により、爽やかな果実のような香り高さを最適なバランスで実現したお酒です。フルーティーな香りとフレッシュな口当たりと、海外の現地ニーズに合わせた斬新なデザインが特徴の日本酒。
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銀鱈の脂やマヨネーズのコク、西京味噌やゆずの香りと個性の強いこの料理を、アメリカの米国宝酒造(カリフォルニア州バークレー市)で製造している松竹梅「Junmai Dai Ginjo」でいただきます。
米国産山田錦を全量使用した、米国宝酒造の技術の粋を結集させた清酒。2020年「全米日本酒歓評会」の「大吟醸B部門(精米歩合50%以下)で唯一、米国産商品で金賞を受賞するなど、品質の高さを誇る。
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それだけに現地化された料理も数知れず。アボカドやカニカマを裏巻きにした代表的な「カリフォルニアロール」は、1960~70年代初頭にロサンゼルスで生まれたと言われています。「クランチロール」は「揚げ玉」をまぶした巻き寿司で、少しオイリーなコクと、サクサクとした食感が人気なのだとか。トロにも似た食感で、魚の風味が苦手な方にも、寿司らしさを感じていただけます。「ドラゴンロール」はうなぎを使った巻き寿司で、甘辛いタレが特徴。照り焼き風味にも似たこのタレは、テリヤキ好きの欧米の方にも親しみやすい味わいです。また、海苔に代わるものとして、近年人気を博している大豆製のシートも、少し硬めの湯葉のような食感で、これが手軽に手に入る環境であれば、海藻嫌いの方にも日本食はグッと身近になるでしょう。そのほか、カリフォルニア米を使った握り等、海外仕様の寿司を、現地でよく使用される船盛りで豪華に演出しました。
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1983年の米国宝酒造設立以来、30年以上にわたり米国産の米・水を使い、全米で親しまれてきた定番の純米酒。
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「ポケ丼」は、19世紀に移民した日本人の文化に、アメリカ本土やハワイ地域の食文化が融合されてできたメニュー。”ポケ”はハワイ語でもともと「切り身」という意味ですが、現在ではサーモンやマグロなどの海鮮と野菜を入れた料理を意味し、世界中で専門店ができています。さらに、マグロとアボカドをご飯の上に乗せて醤油などで調味する試みは、今や日本に逆輸入されるほど人気となっています。
海外での日本食人気の実態とその先にある未来とは?
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そして、「他にも、海外のシェフなどが日本で料理を見聞したり、柚子胡椒やかんずり※といった日本独自の調味料をアレンジし、日本食のみならず各国の料理の中にも日本食のエッセンスが溶け込んでいるんです。健康意識の高い海外では、星つきのレストランでもヴィ―ガンやベジタリアン向けのメニューが当たり前のようにあり、非肉食という点から親和性の高い日本の食材がよく使われています。またグルテンフリーという観点からたまり醤油が愛用されているといった日本人の観点からはちょっと違う視点で、食材を考える風潮も生まれているんです」と教えてくれました。
※塩漬けの唐辛子を雪に上にさらしてアクを抜き、柚子やこうじなどで混ぜて発酵させたもの
さらに安東さんは
「日本食の魅力はその携帯性にもあるんです。寿司などは鮮度の良い食材を冷たいままか常温でテイクアウトしてどこでもすぐ食べられます。また、マグロやサーモン、様々な食材を使用したロール寿司をワンプレートでどこでも手軽に食べられて、家族や友人とシェアも出来きます。コロナ禍でも世界中で寿司のテイクアウトは大人気でした。また当社でも、こうした風潮にあわせて、折りたため、輸出にも飲食店での保管にも便利な折詰を提案するなど、さまざまなアプローチをしてきました」と続けます。
![(8321)](https://cdn.clipkit.co/tenants/433/item_images/images/000/008/321/medium/9c568377-76d8-4f61-8c93-dfa0adfff9d6.jpg?1673351179)
宝グループは、今後もこの流れを推し進め、さらに多くの方に和酒や日本食材を含めた日本の食文化を広めていくという取り組みを、今後も続けていきます。