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一升瓶を持参してのご挨拶を、粋に演出する “風呂敷”の噺

一升瓶を持参してのご挨拶を、粋に演出する “風呂敷”の噺

昔は、どのお宅にも必ずあった風呂敷。最近めっきり使う機会が少なくなったと思いませんか? ただ、この風呂敷が最近日本人や日本を訪れる海外の方の中で徐々に人気が高まっているのだそう。その人気の秘密を探りに、この風呂敷ブームを牽引する、京都紫野の「ふろしき研究会」を訪ねました。

風呂敷の魅力を伝える「ふろしき研究会」

「ふろしき研究会」はその名の通り、風呂敷を現代の生活の中で活かす方法の研究、普及を行う団体。



京都を中心に、日本各地で講演を行っているほか、2005年の3Rイニシアティブ閣僚会合では、各国の閣僚の前でワークショップを開催するなど、精力的に活動しています。



この研究会を立ち上げたのが、コピーライターでもある森田 知都子(もりた・ちづこ)さん。

この会の発足のきっかけは、1989年にさかのぼります。



あるとき森田さんの目に、京都の街中で風呂敷を携えて歩く一人の外国人の姿がとまりました。



「子供の頃は私の家でも風呂敷を使っていましたが、それ以降は使うことも、意識することもなくなっていました。それが、その外国の方が風呂敷を使うのを見て、“いいものだな”と改めて思ったんです。」(森田さん)



当時は、バブル崩壊直後。日本人の多くがヨーロッパやアメリカに憧れを持ち、日本の伝統的な文化は“古臭いもの”と敬遠されてきた時代でした。


コピーライターとして大手アパレルの広告などを手がける中で、モノや情報が次々と消費される様を見続けてきた森田さんの心に、日本の伝統的な生活用品を使う外国人の姿は今後の風呂敷の可能性を感じさせるものでした。

【昔ながらの和柄や魚をデザインした斬新なものなど、様々な風呂敷がある】
これを機に、1992年にふろしき研究会を立ち上げた森田さんは、風呂敷の魅力を伝えるべく活動を開始。



伝統的な風呂敷の使い方や包み方の紹介はもとより、自身でも新たな包み方や、現代のファッションの中に取り入れられる使い方などを開発していきました。

男性でも使える風呂敷の魅力って?

とはいえ、現代の我々が風呂敷を日常使いするというのは、なかなか想像がつかないものです。また風呂敷の柄には可愛らしい和紋が多く、やはり着物を着る機会の多い女性の方が合わせやすいのではと感じてしまいます。
そうした疑問に対して森田さんは、幾つもの風呂敷を広げながらこう答えてくださいました。



「和柄といってもシックなものもありますし、最近では男性向けの柄の風呂敷を作る風呂敷デザイナーも増えてきました。それに、今から少し前の風呂敷がよく使われていた時代には、お正月の挨拶に一升瓶を抱えて男性が挨拶に出かけるということも当たり前にあったんです。今でもパーティー等に、男性がお酒を持参するときは、味気ない紙袋に詰めていくよりもずっと素敵ですよ」(森田さん)



確かに、気心の知れた友人や大切な人との会食に飲み物を持参するなら、おしゃれな風呂敷に包んだ方が気持ちは伝わりやすいかもしれません。特におすすめのお酒を渡すのであれば、相手の手前で風呂敷を解くことは、“お披露目”という演出にもなりそうです。



しかし、ここでまた一つ不安なことが。
風呂敷で物を包むのって、難しくはないのでしょうか?



そうした疑問に対して森田さんは、幾つもの風呂敷を広げながらこう答えてくださいました。

瓶も缶も、気持ちも包める懐深い風呂敷

「では、一升瓶と缶チューハイ、それから小さな瓶の包み方を一緒にやってみましょうか」と森田さん。大小様々な風呂敷を取り出して、私たちの目の前で実演していただきました。



出来上がった風呂敷包みは、どれも風呂敷の柄を生かしつつ、結び目を持ち手に利用したり、着物のような見せ方となっていたりと、とても綺麗で機能的。

「確かに風呂敷で包むのはちょっと面倒くさいんですが、それも慣れるまで。この一升瓶の結び方なんかは、昔は子供さんでもできたものですから慣れてしまえば素早くできますよ。それに、風呂敷で包むという手間をかけることにも意味があると思いませんか?相手のことを思って包んで、相手に見せて、相手の前で解く。その動作全てに思いがあって、会話が生まれる。風呂敷は、包装であるだけでなく、人の縁を紡ぐコミュニケーションツールでもあると私は思っています」(森田さん)

まずは一度風呂敷を使ってみませんか?

「ふろしき研究会を立ち上げる少し前、京都のふとん屋さんにコタツ布団を探しに行った時、店主さんに風呂敷をいただきました。はじめは、銭湯に行く時の桶などを包むのに使っていましたが、大抵のものは包めてしまうし、バッグのようにも使えるし、畳んでしまえば簡単に持ち運べるし…ということでその便利さがすっかり気に入ってしまったんです。私にとって、風呂敷は先生です。忙しさにかまけて忘れてしまっていた、手をかけることや、気持ちを込めること、なによりものを大切にする気持ちを思い出させてくれましたから」(森田さん)と嬉しそうに話してくれました。

私たちにとってかつては身近であったものの、いつの間にか忘れてしまっていた風呂敷の文化。それが今、見直されつつあります。



あなたもぜひ、これから迎える年末年始のご挨拶や、パーティー、友人・知人のお祝いに、お気に入りの風呂敷包みを持って出かけてみませんか?

粋な包み方を学べば、着物はもちろん、普段着やスーツとあわせても大丈夫。



あなたの気持ちが伝わるだけでなく、伝統やものを大切にする心もった人として周りから一目置かれるかも知れませんよ。

包む動画はFacebook上で公開しています

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