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お酒と地元グルメを楽しむ京都の下町屋台村の噺

お酒と地元グルメを楽しむ京都の下町屋台村の噺

かつては居酒屋と並んでお酒好きの憩いの場であった屋台。 しかし近年では、法規制の問題から、一部の地域を除いて路上で屋台の姿を見かけることはほとんどありません。現在私たちが、屋台を楽しめるのはもっぱらお祭りや縁日のみ。お祭りのちょっと浮き立った気分の中、羽目を外して買い食いするのはなんとも楽しいものです。この楽しさを年中気軽に楽しめる“屋台村”が、京都駅から徒歩5分ほどの崇仁地区に期間限定で登場しています。

京都に誕生した屋台村、崇仁新町って?

JR京都駅の北東にある祟仁新町。京都の中でも下町感の漂うこの地区に、2023年に「京都市立芸術大学」の移設が決まりました。その工事が始まるまで、移転予定用地に2018年から2020年までの期間限定で誕生したのが屋台村「崇仁新町」です。
地元グルメやお酒が揃い、連日賑やかな笑い声が聞こえる崇仁新町を、モデルのあけみさんが訪れました。

夕暮れ時ともなれば提灯に火が灯り、どこからともなく一仕事終えたと思わしき人たちが集まります。飲食スペースはしきりの少ない開放的な空間のため、屋台に面した歩道からもお酒と料理に舌鼓をうつ人々の姿が見え、それを見ているとつい、屋台村の中へと足を運んでしまいます。

2019年8月現在は16もの飲食店が並び、エスニックからホルモンまで目移りするほどの料理が揃うこの屋台村ですが今回特に紹介したいのは、この崇仁地区で長年愛されてきた地元のソウルフード「ちょぼ焼き」を販売する屋台。

京都に古くから住んでいる人であれば「懐かしいな」と思う料理なのですが、みなさんどんなものかご存知ですか?

古き良き京都のソウルフード「ちょぼ焼き」

屋台村の一角にある「やきやき崇仁新町」は、ちょぼ焼きを提供する屋台です。百聞は一見に如かず、さっそくお店でちょぼ焼きをオーダー。料理が出来上がる間に、店主の片岡実(かたおかみのる)さんにこの不思議な名前の料理について聞いてみました。

「ちょぼ焼は、京都の一銭洋食のルーツといわれるもので、そこから発展してたこ焼きやお好み焼きになったと言われている食べ物なんです。半円形のくぼみがついた銅板に、水で溶いた小麦粉を乗せて、ちくわや沢庵(たくあん)、こんにゃくや豆なんかを好みで入れて、焼き上げたものがちょぼ焼きです。見た目は、お好み焼きとたこ焼きのちょうど中間という感じ。違うのは、ソースではなく醤油で味付けをするところ。もともと大正時代に生まれた料理と言われていて、京都のこのあたりでは少し前まで、家の庭先で作られている様子が見られたものです。今では、家でやるという方も少なくなりましたし、お店で出しているというところも京都市内ではめずらしいんじゃないでしょうかね」(片岡さん)

片岡さんは、この崇仁地区に古くから住んでいて、地域の寄り合いの際に料理を出すのが趣味だったそう。中でもちょぼ焼きは「懐かしい」と地域の方に好評を博しており、それがきっかけで、この場所に屋台村ができる際にお店を始めたのだとか。つまり「やきやき崇仁新町」のちょぼ焼きは、この町で愛されてきた料理をその町の人が作る正真正銘のソウルフードというわけ。

と、ご紹介をしているうちに、ちょぼ焼きができあがりました。
ハガキ大の銅板の上に乗せられたちょぼ焼きはカラフル。現在は昔懐かしのレシピに加え、明太子チーズや肉そぼろ、餅などのトッピングもあって食べ応えも抜群。このボリュームで、3枚セット300円〜550円(トッピングによって異なる)と言うのですからお値打ちです。

「お好み焼きとはまた違う感じ。醤油だけの味かと思ったんですが、沢庵の歯ごたえやすじ肉の甘みが感じられて面白いですね。チーズが入るとまたこってりしてイメージが変わります。本当に昔懐かしい駄菓子みたいですが、お酒と一緒に食べても美味しいですね」(あけみさん)

一緒にいただくのは、同じく下町で愛されてきた焼酎の炭酸割り。元祖・焼酎ハイボールが、甘辛いちょぼ焼きによく合います。

この町のもうひとつの味

「やきやき崇仁新町」のもう一つの名物が「すじ煮込み」。
この料理にもしっかりと歴史があります。
「もともと、この辺りは下町で、高価なお肉より、手軽に手に入るすじ肉やホルモンなんかがよく食べられていたんです。固いすじ肉をしっかり炊いて柔らかくし、美味しく食べられるように工夫していたんですよ」(片岡さん)。

その言葉通り、ふるふると柔らかく煮込まれたすじ肉は口の中でとろけるよう。
何度も煮こぼして臭みを抜くので、後味もさっぱり。クセなど全く感じません。気取らない料理ではありますが、それだけに工夫と真心が感じられます。相性のいいお酒はキリっと冷やした日本酒。すっきりとした辛口の味わいが、コラーゲンたっぷりなすじ肉のこってり感を爽やかにまとめ、旨味だけを何層にも膨らましてくれます。

他にもたくさん!崇仁新町のソウルフード大捜索!

美味しいちょぼ焼きとすじ煮込みで、しばし幸せな気分に浸っていたあけみさん。「せっかく崇仁新町に来たのだから、もっとこの町らしい食べ物を探したい!」と他の屋台も見て回ることに。

片岡さんにお話を聞きご紹介いただいたのが、崇仁地区で30年以上にわたり味を守り続ける中華料理店「清華園」の屋台。ラグビーの聖地・花園で名選手としてならした店主が開いたお店だけあって、ボリュームたっぷりのメニューやヤカンで提供されるお酒などが人気です。
ここでいただくのが、すじ肉と同じく崇仁地区のソウルフード「ホルモン」。
ホルモンといえば焼肉が相場ですが、崇仁地区ではなんとフライが一般的。
通称白天と呼ばれるミノのフライと、赤天と呼ばれるレバーのフライがいただけます。からりとした衣の下から甘い脂が染み出すミノの白天と、香ばしい香りの中から濃厚な旨味が染み出すレバーの赤天。自家製の甘辛こってりソースが泣かせる旨さです。

「お酒は甘口でスッキリしたスパークリング清酒の澪がぴったり。ホルモンのフライは初めてですが、嫌な香りが全くせず、香ばしくてクセになりそうです。ソースをたっぷりつけていただくと、お酒がどんどん進んじゃいます」(あけみさん)

さらに続けてもう一軒。JA全農グループ・エーコープ京都中央直営と京都嵐山・中村屋総本店がタッグを組んだ、「鉄板ダイニング A・COOP Labo」へ。
ここでいただくのはホルモン焼きそば。エーコープ京都中央ならではの新鮮な和牛ホルモンに、コチュジャンベースの甘辛ダレ。野菜もたっぷり入った焼きそばが人気の一品。ピリ辛濃厚な味わいを引き立てるのは、クラフトチューハイの「寶CRAFT」<京都うめ>。程よい甘さが、辛さを優しく包み込んでくれます。

「ホルモンの油が甘い!ソースは辛さがしっかりと際立って、メリハリが効いていて私は、この焼きそば大好きですね。チューハイが舌をリフレッシュしてくれるので、一口食べるごとに素材やソースの味を感じられます。美味しい、でも辛い〜」(あけみさん)

この町にしかないソウルフードを味わうなら、崇仁新町へ急ごう!

崇仁新町が営業しているのは、2020年の8月まで。後1年ほどで閉店です。
それ以降は、新たに場所を移して屋台村の味を届けていくことも検討されているそうですが、まだ確定ではないそう。

京都ではここでしか食べられない、地元のソウルフードが楽しめるのも残りわずか。

まだ崇仁新町に出かけたことがないという方は、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがですか?

〈取材協力〉
崇仁新町
営業時間:17:00~23:00(土・日曜12:00~23:00)
定休日:無休 (店舗によっては不定休あり)
住所:京都府京都市下京区上之町(塩小路通)19-6
※取材データは2019年7月時点


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