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「第二の我が家」的立ち飲みの噺

「第二の我が家」的立ち飲みの噺

ふらりと立ち寄り、気軽に心を和ませながらお酒を楽しむ立ち飲み。京都にある「我が家」のような居心地のお店のご紹介です。

立ち飲みといえば、ふらりと立ち寄れてリーズナブルな価格でお酒と料理が楽しめる気安さが魅力。
皆さんの中にも、行きつけの立ち飲みを持っている方は少なくないはず。
いつもの時間に暖簾をくぐると、お店の中には見知った顔がちらほらと。
お酒が進むと共に、常連同士や店員さんとの会話も弾む…そんな我々庶民の味方が立ち飲みです。

京都にもお酒好きの心をほっと和ませ、まるで我が家のように心を解いて楽しめる、立ち飲みのお店があります。
酒噺スタッフは、その人気立ち飲み店「BOND(ボンド)」を求めて、京都市上京区へと向かいました。

親子と町の絆が結んだ立ち飲み

京都の中心からやや西。二条城の北に位置する上京区革堂前之町。
1000年の歴史を持つ行願寺 (革堂)の門前として栄えた地域で、観光都市・京都ではなく、古くから人々の生活が紡がれてきた、庶民的な顔を持つ町です。
この街にオープンするや、その気安さと美味しい料理の数々で、たちまち大人気となった立ち飲み、それが「BOND」。

この人気店を切り盛りする店主の辻依子(つじ・よりこ)さんは、これまた京都の大宮にある伝説的な人気立ち飲み「庶民」でかつて働いておられました。
「庶民」で働いていた頃から、自分の店の立ち上げを考えていたものの、その大きな決断に悩んでいた時に、依子さんの背中を押してくれたのは3人のお子さんたちだったそうです。

ある時、悩む依子さんを見て2人の娘さんが尋ねたのは「お母さんの夢はなに?」という一言。
「お店を持つことだよ」と依子さんが答えると、すぐに「私たちの夢も一緒、だから一緒にお店を始めようよ!」と返ってきたのだそう。
心強い味方を得てからはお店のオープンまで実にスピーディーに進みました。
店名の「BOND(絆)」もこの時の親子が一つになって生まれた絆の思い出と、地域の絆を結べるようにとの願いが込められているそうです。
現在は長女の娘さんが嫁がれ、次女の娘さんと長男の息子さんが依子さんそっくりの笑顔で、忙しくも楽しそうに働いています。

用事の前に立ち寄って、用事が済んだらまた寄って

BONDの開店は午前10時。夜勤明けやお休みの日に、朝からのんびりお酒や料理を楽しみたい方が、待ちきれない様子でお店に訪れます。
そのお客さんが楽しみにしているのが、マグロをはじめとした鮮魚のお造り。
「マグロの角が立ってるよ」と声が聞こえるそれは、仕入れたて、造りたての証拠。

依子さんは京都中央卸売市場で毎日仕入れをし、朝8時には店に戻って仕込みを始めます。BONDでは、料理の作り置きは一切なし。お造りも焼き物も揚げ物も全て注文が入ってから調理します。
「やっぱり美味しいものを食べて欲しいから、手抜きはできませんよね」と笑う依子さん。これだけ手間がかかった作りたての料理の数々、そのほとんどが200〜300円代というのだから驚きます。

「オープン当初はもう少し高かったんですが、毎日気軽に来てほしいから少し価格を下げたんです」(依子さん)。

このご時世に価格を下げるという決断、なかなかできるものではありません。お店と、お客さんを大事にしている姿勢が伝わってきます。
午前はもちろん、午後になってもBONDには多くのお客さんが訪れます。
その客層は実に多彩。20代の学生はもとより、上は86歳のおじいちゃんまで、用事の前に立ち寄って、用事が済んだらまた寄ってなんてヘビーローテーションをする方も少なくないのだとか。

価格だけじゃない!ボリュームにも大満足な料理&お酒

毎日食材を仕入れ、丁寧に仕込まれる料理の数々。
お話を聞いているうちに実際に味合わずにはいられなくなってきました。

手始めはもちろん、お店の一押しであるお造り&鮮魚。
依子さんの目利きで選ばれたマグロは脂がキラリと光り、なるほど角がピンと立っています。マグロの旨味、歯ごたえを良くするため部位ごとに包丁の筋を変えているのも嬉しい限り。
さらに今が旬の鱧は落とし、炙り、天ぷらの3種でいただきます。梅の薫るさっぱりとした落としに、ほろほろと口で解ける天ぷら、京都の夏を感じさせてくれる風情ある肴。立ち飲みで、このクオリティは脱帽です。

始まりの一杯は、「抹茶ハイ」。鼻に抜ける甘い抹茶の香りで、ほのかな苦味がマグロの脂にはさっぱりとした後味を、鱧では優しく淡い旨味を幾層にも膨らませる見事なバイプレーヤーぶりを見せてくれます。

続いては、常連さんが必ず頼むという、「よりこの唐揚げ」。その名の通り、依子さんが以前働いていた「庶民」時代のオリジナルレシピで、それまで唐揚げを扱っていなかった同店で、一躍人気メニューとなったものなのだとか。

醤油とニンニクが効いたしっかり目の味わい、よく引き締まった鶏肉の奥から溢れる脂が、カラッと揚がった衣と出会うと、言葉が出なくなるほどのうまさ。
マヨネーズを付けて、醤油&マヨのゴールデンコンビを楽しむのも少しジャンクで、抜群にうまい居酒屋ならではのお作法です。

コクと脂を楽しむ唐揚げには、甘味のあるサワーも意外と良く合うものです。
海外では、肉にフルーツのソースを合わせるのは一般的ですが、チューハイの「寶CRAFT」滋賀アドベリーとも相性ばっちり。しっかりとした果実の香りと炭酸、舌に優しく残る甘みが、なんとも不思議に調和します。

お酒が進んできたところでちょっとペースを落として一休み。
「お酒と一緒にチビチビとつまむのに最適なものを」とオススメいただいたのは炙りセット。季節ごとの干物をゆったり炙りながらいただきます。この日はエイヒレにホタルイカ、貝ひも、スルメにサヨリのみりん干し。
スルメが熱で膨らんでパチンと爆ぜる音、焦げたサヨリの皮目から漂う甘く香ばしい香り、炙る時間はもどかしくも楽しい、大人の遊び心をくすぐる趣向のセットです。

熱々になった干物を、キンキンに冷えたお酒と味わうのもオツなもの。
舌が火傷しそうな干物を一口、その後にシャリシャリとした食感が楽しめる、スパークリング清酒「澪」<FROZEN>をひと匙。
舌にシュワっと冷たい日本酒が溶けて、その後に干物の塩気が心地よく広がると、温度が料理の顔を変えてくれるのが実感できる、ミスマッチのようで味わい深い取り合わせです。

〆にはしっかりとした料理をと思ったらBONDの隠れた人気メニュー・かき揚げタワーがオススメ。
高さ10cmはあろうかというそびえ立つかき揚げ、これだけの大きさになると揚げるのにも技術が必要です。
外はカリリと香ばしく、箸を入れるとしっかりと火が通った玉ねぎやかぼちゃ、ニンジンなどの野菜の優しく甘いジュースがほとばしる滋味深い一品。
少しずつほぐしながら、天つゆに泳がせて食べるとこれだけで延々とお酒が飲めそう。天つゆの中で、サクサクから、ふわふわトロリまで衣が変化するのも面白い食べ方です。

かき揚げの食感・味わいに寄り添うのは、松竹梅白壁蔵澪「一果」。
バナナのような濃密な香りは、衣とも野菜の素直な甘みともよく合います。

大人の社交場は第二の我が家

地域に根ざしたBONDは、お酒と料理を楽しむ社交場でありながら、どこか日常の延長を感じさせてくれる穏やかな空気のあるお店。

「うちは常連さんも多いですから、毎日のように来ていただいてる方のお顔が見えないと心配になりますね。高齢の方で、何日かいらっしゃらない場合は、おうちまで従業員が様子を見に行ったりすることもあります」と依子さん。

そんなお客さんを大事にするお店だからこそ、昨今のコロナウイルスの蔓延に際してはいち早く休業を宣言し、従業員とお客さんの健康維持に努めました。

「閉めたシャッターの前で、お客さんから“早く開けてよ、待ってるんだよ”なんてお話しいただいたときは、申し訳なくも嬉しく思いました」。

感染状況が落ち着いた現在は、消毒やカウンターの仕切り、ゆとりある店内のスペース確保を行いながら営業を再開しています。
今では、お店にまたお客さんたちの和やかな笑顔が戻ってくるようになりました。

日に何度も訪れたくなる、そんな立ち飲み。
京都を訪れた際には、観光地から足を伸ばしてBONDを訪れてみては?きっと「うちの近所にこの店があればなぁ」なんて言ってしまうこと請け合いですよ。
皆さんの町でも、そんな行きつけを探してみませんか?

<取材協力>

BOND
住所:京都府京都市上京区革堂前之町117-2
営業時間:10:00~22:00
定休日:日曜

▽料理と一緒にご紹介したお酒はこちら
・「寶CRAFT」滋賀アドベリー ※滋賀・京都・福井・石川・富山地域限定発売
https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/takara_craft/

・スパークリング清酒「澪」<FROZEN>
http://shirakabegura-mio.jp/ 

・松竹梅白壁蔵澪「一果」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/ichika/

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