酒噺 ~もっとお酒が楽しくなる情報サイト~

お酒と楽しむ土用の丑の日の噺

お酒と楽しむ土用の丑の日の噺

2019,7,19 更新

ジリジリと日差しが暑くなってきたこの頃。この季節に食べたいものといえばやっぱりうなぎ。特に「土用の丑の日」が近づいてくると、なぜかあのじわっと脂が乗り、甘辛いタレが絡まったうなぎが恋しくなってしまうのは、日本人の性なのでしょうか。とはいえ、近年ではうなぎの価格が高騰していることもあり「気軽に食べられなくなったなぁ」と嘆いている人もいるのでは? そんなあなたのために、リーズナブルで抜群に美味しいうなぎが楽しめるお店を探してきました。しかも、今回ご紹介するのは美味しいお酒と組み合わせられる居酒屋スタイル。今までうなぎといえば、うな丼・うな重だけだと思っていた皆さんも必見です!

大阪駅直結の商業施設で味わううなぎ串

今回訪れたのは、大阪駅に隣接した商業施設「LUCUA osaka(ルクア大阪)」の地下にある飲食店街「バルチカ」。この一角に店を構えるのが「うなぎ 串料理 いづも」。大阪駅直結という抜群の立地にありながら、バラエティ豊かでリーズナブルなうなぎ料理を提供してくれるお店です。
 (1606)

店舗の暖簾をくぐると、まず目に飛び込んでくるのは店の中央に設置されたカウンター。その上には出雲大社の千木(ちぎ)を思い起こさせるメニューボードが設えられています。なるほど、このお店の「いづも」とは出雲のことなのでしょう。しかし、ここは大阪。うなぎの産地といえば、愛知や静岡が相場ですが、なぜ出雲なのでしょう。
 (1608)

この疑問に答えてくれたのが、この店を運営する株式会社スパイスワークスの事業部長である宇佐川卓司(うさがわ・たくじ)さん。
 (1610)

「江戸時代、大阪や京都に運ばれてくるうなぎの多くは出雲産だったんですよ。島根県の安来港などでは当時うなぎがよく獲れ、これを陸路で岡山へ運び、そこから海路で大阪に輸送していたと言われています。そのため、私たちの店はもとより、関西には“出雲”と名のつくうなぎ料理屋店が多いんです。江戸時代、うなぎはリーズナブルな大衆食で、串焼きのスタイルでした。それが、後にうなぎの価値が高騰し、なかなか手に入らなくなってくると次第に“鶏”に変わっていった。これが現在の焼き鳥屋の原型です。今でも、老舗の焼き鳥屋さんにはうなぎの串焼きを置いている店が多いんですよ。
私たちは、かつてのようにお出かけ先や何かの用事のついでに、気軽な気持ちでおいしいうなぎを楽しんでもらおうと、大阪駅すぐのこの場所に店舗を作ったんです」(宇佐川さん)

原点から新作まで多彩に揃ううなぎ料理

宇佐川さんの言う通り、ここではうなぎの串焼きを中心に、うなぎ料理をはじめスタミナのつきそうな馬肉や牛タン、カキなどの80種類ものメニューが並んでいます。しかし、土用の丑の日を控えたこの時期。ここはうなぎ料理を中心にご紹介いただくことにします。
 (1614)

まず登場したのは、うなぎを筒切りにして焼いた「鰻の蒲(ガマ)の穂焼き」380円(1串、税別)。うなぎの蒲(がま)の穂焼きのがまとはガマの穂のこと。串に刺さったうなぎの胴体がガマの穂に見えたことが名前の由来。つまりこれは、古来から食べられている本来のうなぎの蒲焼きというわけ。こちらの特徴は食べやすいよう、丁寧に骨を抜き一口大で提供されているので、そのまま骨を気にすることなく丸かじりで楽しめます。焼き上がった皮目はパリッと香ばしく、魚醤でさっぱりと仕上げられた風味豊かなうなぎ。お供にするお酒は、松竹梅「豪快」。すっきりとした飲み口が、野趣あふれるうなぎの香りを引き立ててくれます。
 (1616)

続いては「肝」240円(1串、税別)。うなぎの肝を串に刺して焼いたシンプルなものながらコクが深く、ほろ苦い肝は他にない味わい。甘辛いタレはいわずもがな、ピリリとした山椒の風味が料理の味を引き立てます。実はうなぎの肝は、うなぎの身の4倍以上のビタミンAを含んだ栄養価の高い部位なんです。ぜひお試しあれ。
この濃厚な味に見合うお酒はやっぱり焼酎。芋焼酎の優しい香りと、キレのある口当たりが、肝の濃厚さと好対照です。
 (1618)

うなぎ串は他にも。
定番の「短冊」290円(税別)はうなぎの蒲焼きそのものを串にした安定の味わい。背中の肉を波打たせて串に刺した「くりから」300円(税別)は、脂ののった部位だけを堪能できる贅沢な品。この不思議な名前は、不動明王の持つ龍が巻きついた倶利伽羅剣(くりからけん)に似ているからなのだとか。さらに変わり種としては、「鰻バター」330円(税別)。焼きあがった短冊に、たっぷりのバターをかけてトロっととけた瞬間をいただきます。うなぎの脂とバター。2つのコクある脂がこってりと口の中で混ざり合うと思わず笑みがこぼれます。
 (1620)

なお、注文したうなぎ串はそのまま食べる以外にもちょっとしたアレンジが可能。うなぎのタレがかかった「勝手ご飯」150円(税別)に乗せれば、即席&自分好みのうな丼が完成します。
 (1622)

うな丼以外にも、ご飯もの、締めものとして人気なのが、「うなサンド」580円(税別)。
うなぎをサンドしたものと思われがちですが、こちらはタレのたっぷりしみたご飯を白焼きのうなぎでサンドした、逆転の発想が嬉しい一品。あまから&濃厚な味わいの奥から立ち上がる、わさびの香りと辛味がなんとも爽快です。
 (1624)

日本酒や焼酎ではなく、ちょっと軽めのお酒を楽しみたいという方は、レモンサワーという選択も。うなぎはもちろん、こちらで提供されているスタミナ料理との相性も抜群。オススメは定番のポテトサラダに、カリッと焼き上げた牛タンをまぶした、「牛タンポテサラ」390円(税別)。
この他にも色々なお酒&料理がメニューブックにひしめく“いづも”。訪れた際はみなさん好みの組み合わせを見つけてくださいね。

この夏はコストパフォーマンス抜群の、うなぎ料理で乾杯!

 (1627)

「昔のように、うなぎをもっと身近な食材にしたいんです。お客様にはとにかく、気負わず、気楽に、滋養あふれる料理で元気になってほしいですね」と語る宇佐川さん。
その想いに応えるように、夕刻になると近隣のビジネスマンや買い物帰りのご夫婦などが暖簾をさっと上げて、お店の中へと入ってきます。

しばらくすると焼き場には、白い煙があがりうなぎの脂が焦げるなんとも言えない香りが店中を包み始めました。古くから名店は「煙を食わせる」といううなぎ料理。鼻をくすぐる香りに、どのお客さんも喜色満面で、今や遅しとうなぎの登場を待っています。

今年の土曜の丑の日は7月27日、いつもはうな丼・うな重という皆さんも、今年はちょっと趣向を変えてうなぎ串とお酒で暑気払いをしてみてはいかがですか?

<取材協力>

 (1630)

うなぎ 串料理 いづも
営業時間:11:00~24:00
定休日:施設定休日に準ずる
住所:大阪市北区梅田3丁目1−3 ルクアバルチカB2



他にも大阪駅から近いお店の噺もどうぞ

奇をてらわないから一番うまい!?本格チューハイの噺(大阪堂島)
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat3/njKN5

バリエーション豊かなレモンサワーと相性のよい料理の噺(大阪北新地)
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat3/aqL0o
   

\この記事をシェア/

  • twitter
  • facebook