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秋の夜長にお酒と楽しむ絶品焼き鳥の噺

秋の夜長にお酒と楽しむ絶品焼き鳥の噺

朝晩に涼やかな風が吹く、本格的な秋がやってきました。 夏の間は、ついあっさりした食べ物に向きがちだった口や心も徐々に本調子を取り戻し、「そろそろじっくり腰を据えて美味しい食べ物とお酒に向き合おうかな」と思っている方も多いはず。 今回の酒噺は大衆的で、しみじみとうまいおつまみの大定番、焼き鳥。 ただしどこにでもある焼き鳥ではなく、絶品といえる一串を探しに出かけました。訪れたのは京都の小さな路地の先にある「炭火焼鳥 ちゃぶや」。 数々の飲食店がひしめく京のビジネス街で絶対的な支持を受ける、予約の取れない人気店です。

備長炭の炭火が生み出すゲイジュツ的焼き鳥

京都の台所・錦市場のある錦通りを西に進み、烏丸通りを渡って50mほど。
オフィスビルの一角にいかにも京都らしい幅3mほどの小さな路地が現れます。その小道のどんつき(最奥)まで歩くと、これまた京都らしい町家の建物が。こちらが今回訪れた焼き鳥店「ちゃぶや」です。
創業は2009年と京都ではまだまだ若手のお店ですが、わずか10年にして、夕暮れともなれば舌の肥えたビジネスマンがカウンターに鈴なる超人気店へと成長しました。
店に入るとカウンターの奥から「いらっしゃい!」の声。
出迎えてくれたのは、店長の太田和文(おおた・かずふみ)さんです。
太田さんが立っているのは、焼き鳥屋にはつきものの焼き台。しかし、ずらりと並んだカウンターや、個室となっている2階のテーブル席から矢継ぎ早に入る注文に併せて、鶏を焼いていくにはいささか小さい気もします。

すると、「ウチは、あえてこの大きさなんです。焼き台を見てください。網がなくてギリギリまで炭が詰まっているでしょう?これが『ちゃぶや』の美味しい焼き鳥の秘訣。炭の直火で一気に火を通すので短時間で、しかも遠赤外線でしっかり中まで火が通るんです。その分、扱いは難しいですし使う炭も紀州の備長炭をたっぷりと使っていますから、コストもかさみます。でも、ウチの味はこのスタイルでなければ出せません。外はしっかり火が通り、中はとろけるようなレア感。たまに、焼き鳥を食べていて中が生ぬるいなんてことがありますが、ウチでは絶対にそんなことありませんよ」。太田さんは胸を張って答えてくれました。

鮮度と技術で、驚きある焼き鳥を!

「ウチではリーズナブルな価格で食べていただきたいので、ブランド地鶏などはあえて扱っていません。そのかわり、鮮度に徹底してこだわっていますね」と太田さん。

鶏の産地として有名な鳥取の大山(だいせん)から新鮮な部位ごとに仕入れ、毎日店内で仕込み・串打ちを行っているそう。こうして、店内で仕込むことで背肝(腎臓)やつなぎ(心臓の大動脈)など希少な部位も提供できるのがポイント。この希少部位を楽しみに来店する常連さんも多いのだとか。

「ただただ、手軽に美味しいものを食べて驚いてほしいんです。私たちはカウンターの中で、串を持ったお客さんが一口食べて、その後お酒をキュッと飲んだ瞬間、“く〜っうまい!”って幸せそうな顔をするのを心待ちにしているんです。それが見られたら料理人冥利に尽きますからね。だから、私たちは絶対に手を抜きません。新鮮で安くて、ちょっと珍しくて、抜群に美味しい焼き鳥と出会っていただくために、技術と鮮度にはこだわり続けます」。

「それからね」と太田さんは話を続けます。
「焼き鳥に加えて、ドリンクの相性もしっかり考えていますよ。脂の乗った香ばしい焼き鳥に、甘すぎないサワーは本当によく合います。ウチでは、焼酎ハイボールのほか、季節の果実を使った生搾りサワーにも宝焼酎“純”を使っているんですが、本当によく出ますね。すっきりしていて、炭酸で割るだけでも美味しく飲めて、料理の味を引き立ててくれるんです。さぁ、できましたよ。そろそろ食べたくなってきませんか?」

そう話す太田さんの手元にはうっすらと焦げ目がつき、甘辛いタレが絡んだ焼き鳥が。間髪入れずに、キンっと冷えたサワーが手元に届きます。

食べれば納得!炭火と丁寧な手仕事が生きる焼き鳥

手始めに定番のねぎま(右:1本180円・税別)にせせり(奥:1本200円・税別)、特製つくね(左:1本240円・税別)。ねぎまは、弾力あるもも肉に、食感を残しつつも熱が入り甘く変わったネギが好相性。しなやかなせせりは、歯を当てると肉の繊維からジューシーな脂と肉汁がほとばしります。肉の旨味がぎゅっと詰まったつくねも必食の逸品。炭火でついた香ばしい焦げと卵黄のこってり感の取り合わせが見事です。合わせるのは、生搾りのスダチサワー(600円・税別)。すだちの酸味と香気が、強炭酸のサワーを、一層キレのあるものにしてくれます。

続いては、砂ずり(左:1本150円・税別)、レバー(奥:1本180円・税別)、はーと(右:1本180円・税別)の内臓系3種。コリっとした豊かな食感ながら、小気味好い歯切れが楽しめる砂ずり、これも炭火の力を感じざるを得ません。さらにレバーはまさに特筆もの。芯まで火が通っているのに、濃厚でクリーミーな肉質。臭みも一切感じず、爽やかですらあります。レバー嫌いの人にこそ食べていただきたい一串です。筋肉と脂の程よいコントラストが楽しめる、はーとも珍味。ややこってり濃厚な内臓系には、ドライな純ハイのレモン(450円・税別)がピッタリ。「これぞ王道」と言える取り合わせが、文句のつけようのない“口福“を呼び込んでくれます。

「他では食べられないものもどうぞ」と太田さんがオススメしてくれたのは、厚揚げ(左:1本200円・税別)と親鳥の皮(右:1本150円・税別)。香ばしく焼き目のついた厚揚げが、鶏の旨味をたっぷり含んだ秘伝のタレをまとった姿にうっとり。京都らしいしっかりとした歯ごたえの厚揚げは、肉に勝るとも劣らない力強さです。親鳥の皮は、しっかりとした歯ごたえ。ぶつりと噛み切ると、旨味が洪水のように舌の上に押し寄せます。この若鶏にはない旨味に合わせるのは、日本酒がベスト。辛口の松竹梅「豪快」純米(500円・税別)が、親鳥のこってりとして芳醇なコクを正面から受け止めてくれます。

焼き鳥だけでなくちょっとひねりのある逸品メニューがあるのも「ちゃぶや」の魅力。鶏だしを使ったおでんのトマト(380円・税別)に、揚げパン(500円・税別)。
丁寧に湯むきされダシの染み込んだトマトおでんは、焼き鳥の合間の口直しに最適。蒸しパンを揚げて粉砂糖をかけた、カリカリ&モチモチの揚げパンはデザートかと思いきや、意外にもお酒と合わせても美味しくいただける、不思議な食感と味わい。女性だけでなく男性もトリコになっているのだとか。
双方、生搾り巨峰サワーのほのかに甘くちょっと渋い味わいのお酒によく合います。

気心知れた仲間と過ごす秋の夜長、そのお供に最高のお酒と焼き鳥はいかが?

心ゆくまで焼き鳥とお酒をいただいてすっかり満足。
周りを見渡せばカウンターはすでに一杯。焼き場に向かって並ぶどの顔にも幸せな笑顔が浮かんでいます。手頃な価格なのに、どの串・どの一皿をとっても料理人の気持ちがこもったまっすぐな料理が楽しめる「ちゃぶや」の焼き鳥。
季節は秋、皆さんも夏の疲れた体に元気を取り戻すために、また長い夜を気心知れた仲間と熱々の焼き鳥をほおばって楽しく笑いながら過ごすために、京都烏丸の小さな路地の先へ足を伸ばしてみませんか?

<取材協力>
炭火焼鳥ちゃぶや
営業時間:18:00~25:00(LO 24:00)
定休日:日曜日
住所:京都市中京区室町錦小路東入ル占出山町 310-3
※ 取材データは2019年9月時点


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