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京都の街中にある港の噺

京都の街中にある港の噺

2019,6,28 更新

東山、北山、西山に三方を囲まれる京都は、海から縁遠い街。
京都で鯖寿司や夏のハモ料理が名物になっているのも、塩蔵にした鯖を遠く若狭などから運んできたり、生きたまま輸送するには生命力の強いハモが最適だったからという事情があります。
ただし、それは今や昔の話。現在の京都にはそれこそ漁港近くの魚市場からそのまま持ってきたような鮮度抜群の魚が食べられるお店があるのです。
しかも、烏丸六角(からすまろっかく)という京都のビジネス街の中心に。
そのお店の名前は「夢処 漁師めし 雑魚(ざこ)や」。今回は美味しい魚と、うまい酒と出会うために、このお店を訪問しました。

格子の奥に並ぶ鮮魚たち

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京都のビジネス街・烏丸六角にある、町家を改装した風情ある建物。

ここが今回訪れた「夢処 漁師めし 雑魚や」さん。格子の引き戸を開けると、京都らしい長く続く玄関土間が出迎えてくれます。

驚くのはその玄関土間から上がり框(かまち)にかけての空間。鮮度を保つたっぷりの氷とともに、大ぶりの魚や貝の数々が並んでいます。この光景は、まさに漁師町の魚市場や卸売りの魚センターそのもの。

もちろん、この魚介類はただのディスプレイではありません。
こちらのお店ではグランドメニューを除いて、決まったメニューは存在しません。そのため、訪れるお客様はまずこのずらりと並んだ魚介の中から「今日はどの魚を食べたいか」を選んで、調理してもらうのです。
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このお店を取り仕切るのは、代表社員の大西崇也(おおにし・たかや)さん。

京都という海から遠い立地でこのお店を立ち上げた理由を伺ってみました。

「内陸の都市である京都でも、リーズナブルで美味しい魚を味わってほしくてこの業態にしています。今は、毎日オーナーが京都の中央卸売市場に出向いて目利きした魚を10種類以上取り揃えています。仕入れに際しては、まず旬の魚を仕入れること、さらにスーパーなどでは見かけることのない、ちょっと珍しい魚や大きなサイズのものを選ぶようにしています。魚を指名していただくスタイルですが、もちろん一匹丸々ご注文いただかなくても大丈夫です。半身だけ食べたいだとか、2名様での来店に合わせておふたり分に切り分けてのご注文も承っています」と話してくださいました。
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確かに、ショーケースやトロ箱を覗くと、おなじみのアジやカサゴ、スズキにキンメダイなどに混じって、アカヤガラやカンモンハタなど市場でしか見かけないような珍しい魚も数多く並んでいます。そのいずれもが、私たちの知っているサイズより大きく、カサゴに至ってはなんと60cmを超える大物も!

突き出しから驚かされる豪快&繊細な鮮魚料理

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大西さんに早速、今日仕入れた魚の中からオススメのものを選んでいただき、調理してもらいました。

しかし、初めに出てきたのはなんと並べられた魚ではなく、巨大なマグロの中落ち。なんとも豪快なこのマグロが実は突き出し。中骨に付いた身をスプーンでこそげ取りながらいただきます。
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程良く脂が乗っていながら、しまった肉質と旨味が堪能できる突き出し。

何より、スプーンで肉を救っていくのがなんとも楽しいのです。突き出しというと小鉢に少量でさっと食べた後は手持ち無沙汰なんてこともありますが、これなら次の料理が来るまで場が持つこと請け合いです。
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カウンターの中の厨房では、鮮やかな手さばきで夏に旬を迎えるイサキがさばかれていきます。ほどなくして、艶やかなお造りとなったイサキが運ばれてきました。抜群の鮮度を表すかのように、歯を押し返すような弾力。生臭さとは一切無縁の魚本来の香りが鼻へと抜けていきます。
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イサキの鮮度に驚いていると、厨房からはなにやらパチパチと音が聞こえてきます。

続いて登場したのは、さっと身を炙った穴子の刺身。

穴子といえば天ぷらや蒲焼きが相場ですが、鮮度の良いものは刺身も抜群のうまさ。たっぷりと乗った脂がとろりと溶けていくのですが、全くしつこさを感じさせず、香ばしい香りとともにあっさりと食べられます。これも炙るという一手間のおかげ。鮮度だけにこだわらない、魚を美味しくする工夫も光ります。

鮮魚とレモンサワー? 意外な組み合わせがうまい!

「魚料理には意外とこれが合うんです」と大西さんがオススメしてくれたのは、なんとレモンサワー。
実は「夢処 漁師めし 雑魚や」さん、魚料理専門店でありながら「レモンサワーフェスティバル2019」の大阪会場に出店されていたお店なんです。
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提供しているのは定番のレモンサワーと、粉末緑茶をたっぷりと入れた「濃茶レモンサワー」の2種類。いずれも、「こだわりのレモンサワー用<宝焼酎>」を使用しています。

飲んでみる前は「魚とレモンサワーなんて…」と思うのですが、合わせてみるとこれがなかなか悪くない。悪くないどころか、魚の匂いをさっぱりと洗い流してくれて、次の料理が一層美味しくなります。

特に、「濃茶レモンサワー」は程よい苦味がアクセントとなって、よりすっきりとした味わいとなっています。

「鮮魚ともよく合うんですが、おつまみ系との組み合わせもいいですよ」と大西さん。
テーブルに運ばれてきたのは、大定番のポテサラと、白えびの唐揚げ。
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ポテトサラダの中に入っているのは、ジャガイモにタコ、カリッとした歯ごたえはカシューナッツです。さらに全体を緑色に染めているのは香り豊かなバジルのソース、「これとレモンサワーが合わないわけがない」という安定の美味しさです。
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北陸名産の白えびの唐揚げは、うっすらとついた衣が美しい仕上がり。レモンサワーと合わせると、香ばしさだけでなく、白えびのもつ甘さがしっかりと感じられます。確かににベストな組み合わせです。

初体験の驚きを、味わいに

次々と登場する料理とお酒にすっかり夢中になっていたものの、ふとカウンター越しの厨房に目をやると先ほどとはまた別の鮮魚が刺身や焼き物、様々な料理に形を変えてお客様の元へ運び出されていきます。
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「やっぱり、お料理で驚いていただきたいし、ここでしかできない体験というのを味わってほしいですね。

魚も種類やどう調理するのがおすすめかわからないという場合は、どんどん私たちに聞いていただきたいですし、そのやりとりからお店を気に入っていただいた方に、“今度は自分で目利きをしてみようかな”なんて言っていただけたらこんなに嬉しいことはないです。

これからも、いろいろな魚料理とお酒を通じて、皆さんを驚かせていきたいですね」と大西さん。
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内陸の都市、京都にあって新鮮な魚の魅力で勝負する「夢処 漁師めし 雑魚や」さん。皆さんも京都にいらした際は、ぜひお店の格子戸をそっと開けてみてください。潮の香りに満ちた土間の奥で、鮮魚とレモンサワーとの不思議な出会いがきっと、皆さんを出迎えてくれるはずです。
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【取材協力】
夢処 漁師めし 雑魚や
営業時間:ランチ11:00~14:00 ディナー17:00~23:00(LO22:00)
定休日:不定休あり
住所:京都市中京区六角通烏丸西入ル骨屋町147-3
※ 取材データは2019年5月時点




夢処 漁師めし 雑魚や さんが登場する記事はこちら
晴天の似合う一杯、レモンサワーフェスの噺 後編
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/1p8wo

他にも京都で美味しいお酒を楽しめるお店はこちら
京都でみつけた、大人の秘密基地の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat3/IvJo3
   

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