【TRANSIT×酒噺】旅の“宝噺”〈メキシコ編〉
2021,8,20 更新
トラベルカルチャー雑誌「TRANSIT(トランジット)」では、毎号特集した国や地域の旅の思い出を編集部と制作に携わった取材クルーが語りあう「旅の宝話」という企画を連載しています。「酒噺」では、「TRANSIT」とのコラボ企画として不定期に、その内容を「旅の“宝噺”」としてご紹介します。
今回はTRANSIT49号「美しき古代文明への旅」特集の中でメキシコを撮影した写真家の田尾沙織さんをゲストに迎え、トルティーヤとともに乾杯しました。
今までに世界50カ国以上訪れている田尾さん。なかでもメキシコは4度の渡航経験があり、“肌に合う”国だそう。風土、料理、人びと......。メキシコの魅力について聞きました。
今までに世界50カ国以上訪れている田尾さん。なかでもメキシコは4度の渡航経験があり、“肌に合う”国だそう。風土、料理、人びと......。メキシコの魅力について聞きました。
■プロフィール
田尾沙織(写真家)たお・さおり
1980年東京生まれ。広告や雑誌、CFなど多方面で活躍中。2001年、第18回ひとつぼ展グランプリ受賞。写真集に『通学路東京都田尾沙織』『ビルに泳ぐ』(ともにPLANCTON)がある。
1980年東京生まれ。広告や雑誌、CFなど多方面で活躍中。2001年、第18回ひとつぼ展グランプリ受賞。写真集に『通学路東京都田尾沙織』『ビルに泳ぐ』(ともにPLANCTON)がある。
メキシコの旅の“宝噺”
編集部(以下T): メキシコへの初めての旅はいつですか?
田尾沙織(以下S): 友達とアメリカ南西部を車でまわっていた2002年です。グランド・キャニオンやラスベガス、ホワイトサンズ、ニューメキシコを通ってエルパソから徒歩で国境越えをして。
T: メキシコに行くつもりはなかった、と。
S: そうですね、近くて歩けるならちょっと行ってみようか、と。市場に行って半日過ごしたくらいですが。
T: 印象はどうでしたか?
S: アメリカの国境付近の治安が悪くて緊張感はありましたが、メキシコ側は人もやさしいし地元の市場の食べ物も美味しかった。
T: 今回の特集で掲載されている写真は2、3回目に訪れたときのものだそうですね。
S: はい、2回目はNYに暮らしていた2012年頃に2週間ほどユカタン半島を一人で旅しました。※セノーテが見たくて。グラン・セノーテをはじめ個人の庭にある小さな泉など、馬車でしか辿り着けない場所も訪れました。
※セノーテ…中米ユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸、泉
田尾沙織(以下S): 友達とアメリカ南西部を車でまわっていた2002年です。グランド・キャニオンやラスベガス、ホワイトサンズ、ニューメキシコを通ってエルパソから徒歩で国境越えをして。
T: メキシコに行くつもりはなかった、と。
S: そうですね、近くて歩けるならちょっと行ってみようか、と。市場に行って半日過ごしたくらいですが。
T: 印象はどうでしたか?
S: アメリカの国境付近の治安が悪くて緊張感はありましたが、メキシコ側は人もやさしいし地元の市場の食べ物も美味しかった。
T: 今回の特集で掲載されている写真は2、3回目に訪れたときのものだそうですね。
S: はい、2回目はNYに暮らしていた2012年頃に2週間ほどユカタン半島を一人で旅しました。※セノーテが見たくて。グラン・セノーテをはじめ個人の庭にある小さな泉など、馬車でしか辿り着けない場所も訪れました。
※セノーテ…中米ユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸、泉
公園横でトルタを売る屋台。地元の人々に大人気!
T: マヤの人にとって神聖な場所ですよね。
S: そうなんです。もともとマヤの生贄の場所だったこともあり、洞窟に一人で入るのはなんだか怖かったし、水が澄んでいて綺麗だけれどすごく冷たくて入っていられなかった。
T: そのあと、メキシコを再訪しようと思った理由はなんだったんですか?
S: ユカタン半島はとくに自然が豊かで独自の文化があって、人がシャイでやさしいのがよかった。タイもそうですが、やっぱり少し素朴な国のほうが好きですね。
S: そうなんです。もともとマヤの生贄の場所だったこともあり、洞窟に一人で入るのはなんだか怖かったし、水が澄んでいて綺麗だけれどすごく冷たくて入っていられなかった。
T: そのあと、メキシコを再訪しようと思った理由はなんだったんですか?
S: ユカタン半島はとくに自然が豊かで独自の文化があって、人がシャイでやさしいのがよかった。タイもそうですが、やっぱり少し素朴な国のほうが好きですね。
マングローブのカナルを海まで流れた。シアン・カーンにて
T: 料理は口に合いましたか?
S: メキシコ料理は見た目も名前も似ていておぼえられないんですけど(笑)、ウチワサボテンを細く切って焼いたものはメカブみたいで好きだったし、サルサも日本のお味噌のように店ごとに味が違って美味しかった。食べ物の種類が多くて飽きないし、サルサやワカモレなど、フレッシュな野菜をふんだんに取り入れているところがとくに気に入りました。
S: メキシコ料理は見た目も名前も似ていておぼえられないんですけど(笑)、ウチワサボテンを細く切って焼いたものはメカブみたいで好きだったし、サルサも日本のお味噌のように店ごとに味が違って美味しかった。食べ物の種類が多くて飽きないし、サルサやワカモレなど、フレッシュな野菜をふんだんに取り入れているところがとくに気に入りました。
朝食としてホテルで食べたトルティーヤ
市場で売られていた、食用のウチワサボテン
T: 現地でのとっておきのエピソードがあれば教えてください。
S: トゥルムでのある夜のこと。オフシーズンに、海辺のヴィラに泊まっていたのですが、夜の砂浜に、ウミがメの赤ちゃんがいるのを発見。よくよくまわりをみたら、生まれたばかりのぷにゅぷにゅの赤ちゃんがたくさん! ふ化するとふつうは月明かりで海の方向を目指すのですが、街灯のある道路に向かってしまうウミがメの赤ちゃんがいて、もう1組の宿泊していた家族とレストランの店員さんと、海に戻すために、無我夢中で助けました。バケツいっぱい海に返しましたよ。
S: トゥルムでのある夜のこと。オフシーズンに、海辺のヴィラに泊まっていたのですが、夜の砂浜に、ウミがメの赤ちゃんがいるのを発見。よくよくまわりをみたら、生まれたばかりのぷにゅぷにゅの赤ちゃんがたくさん! ふ化するとふつうは月明かりで海の方向を目指すのですが、街灯のある道路に向かってしまうウミがメの赤ちゃんがいて、もう1組の宿泊していた家族とレストランの店員さんと、海に戻すために、無我夢中で助けました。バケツいっぱい海に返しましたよ。
ある日の夜にトゥルムで遭遇したウミガメの赤ちゃん
T: それはスペシャルな思い出ですね。それでは最後に。いつかまた、メキシコを旅する日がきたら、何がしたいですか?
S: トルタを食べたいですね。コッペパンにお肉や野菜をはさんだメキシコ流のサンドイッチで、地元の人におすすめの屋台料理店を教わったのですが、お腹いっぱいで食べられなかった。今度は必ず食べたい!
S: トルタを食べたいですね。コッペパンにお肉や野菜をはさんだメキシコ流のサンドイッチで、地元の人におすすめの屋台料理店を教わったのですが、お腹いっぱいで食べられなかった。今度は必ず食べたい!
レストランで食べたタコス。具材も味も十店十色
メキシコ人の主食はトルティーヤと呼ばれるトウモロコシの粉で作った薄焼きのパン。野菜や肉などの具材を挟んでタコスにしたり、三角形にカットして揚げたトルティーヤチップスにチーズやワカモレをのせてナチョスでいただく。
チリを利かせた陽気なカリブの料理には、「極上〈宝焼酎〉」を炭酸で割って、ミントとライムを入れて“焼酎モヒート”に。さわやかなハーブ入りカクテルは夏にぴったり!
チリを利かせた陽気なカリブの料理には、「極上〈宝焼酎〉」を炭酸で割って、ミントとライムを入れて“焼酎モヒート”に。さわやかなハーブ入りカクテルは夏にぴったり!
TRANSITとは?
世界のさまざまな風景や歴史、ファッション、食、音楽などの文化を、“旅”というフィルターを通して紹介する、大人のためのトラベル・カルチャー・マガジン。美しいビジュアルと土地の空気感をとらえた文章により新たな視点の旅を提案しています。
URL:http://www.transit.ne.jp/
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■クレジット
田尾沙織=写真
TRANSIT編集部=文
TRANSIT編集部=文