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レモンサワーを美味しくする、「レモンの魅力」の噺

レモンサワーを美味しくする、「レモンの魅力」の噺

近年ブームのレモンサワー。お酒売り場には、レモンサワーをはじめ、数々の果物を使用したチューハイがたくさん並んでいます。そんな、果物を使った美味しいお酒について掘り下げる噺です。

お酒に合う果物は数多くありますが、やはり私たちに一番馴染み深いのはレモン。
爽やかな香りで、さっぱりとした口当たりのレモンは、お酒の名脇役です。焼酎で作るレモンサワーはもちろん、ハイボールなどとの相性も抜群。特に暑さが厳しくなってくる季節の一杯には欠かせなくなってきます。

近年のレモンサワーブームを反映してか、スーパーなどでもお手軽な果汁タイプから、国産のブランド物まで数多くのレモンサワーを見かけるようになりました。

今回は、そんなレモンにまつわる噺。
京都南部・木津川で、レモンをはじめとする果物の搾汁や加工を行う工場に、美味しいレモン選びや旨味の秘密を探りにお伺いしました。

レモンの成分と旨味の秘密

レモン果汁を搾汁する現場へ向かう前に、レモンについて触れておきましょう。

レモンの美味しさは「果肉」、香りは「皮」、風味は「内皮」にあると言われています。
柑橘類の中でも特に酸っぱい部類に入るレモンですが、この酸味こそレモンの美味しさで、これは果肉に多く含まれるクエン酸によるもの。
クエン酸は、健康食品やちょっと変わったところでは、お掃除用品としても使用されています。このクエン酸の酸っぱさは、口をさっぱりとさせてくれるだけでなく、油物などのしつこさを和らげ、食欲を増進させてくれる効果もあるそうです。また、化学でクエン酸回路について学んだ方はご存知かと思いますが、クエン酸は私たちの体の中でエネルギーの生成や疲労回復にも役立ちます。

レモンの魅力は酸味だけでなく、ほろ苦い後味にもありますが、これはリモノイドという成分。これはレモンの皮や種、皮と果肉の中間にある白い内皮の部分に存在します。
なお、レモンの鮮烈な香りの正体は、レモンの皮に含まれるリモネンという精油成分によるもの。
クエン酸の「クエン」の語源は、中国原産のレモンの一種「枸櫞(クエン)」によるもの、またリモネン、リモノイドはそれぞれレモンから派生した言葉。
研究対象となるほどに、興味を惹かれ、また多くの人に親しまれてきたレモン。その香りや味、酸味は、古くから、そして世界中で人々を魅了してきたのですね。

早速、果物の加工現場へ!

そんな美味しく、身体にも良いレモンの搾りたての果汁を求めて、私たちが訪れたのは、京都・木津川にある「株式会社日本果汁」の京都南センター。同社は2009年に設立された比較的若い会社ですが、多くの飲料・食品や化粧品メーカーに向け、果実のジュースや果肉や果皮、種から生まれる加工品を製造・販売しています。

工場を訪れると、すぐにレモンの爽やかな香りが漂ってきます。
見ればコンテナに山と積まれたレモンが、コンベアに乗せられ工場内へ運ばれていく真っ最中。興味津々で眺める私たちに、声がかかりました。

「ようこそいらっしゃいました。ここにあるレモンは、果汁用。ちょっと大きかったり形がいびつだったりもしますが、果汁には影響ありません。腐敗したものがないかなど選別して、洗浄工程へ流すところですね」。

そう話すのは、代表取締役の河野聡(かわの・さとし)さん。
「せっかくレモンの搾汁のタイミングに来ていただいたことですし、まずは工場内を見ていただきましょう」と促されて、私たちは工場内部へと向かいました。

白衣に帽子とマスク、専用の長靴に加え、入念な消毒と空気による付着物の除去など、何重もの対策を経て工場の中へ潜入。

すると早速、先ほどコンベアに乗せられ洗浄されたレモンが、搾汁機の中へどんどん運ばれていきます。搾汁機の手前には作業員の方が待機し、レモンを搾汁機の中へと押し込んでいます。
河野さんいわく「レモンは形状が丸く、果実の中では皮も硬めなので、搾汁機の速度や搾る幅を調整する必要があるんです」とのこと。

搾汁機の中では、レモンに刃物が入り、さらに左右から圧力をかけられて果汁が搾られます。おおよそレモンの重量の3割ほどが果汁になるそう。
しばらくすると搾汁機の底からは、爽やかな香りとともに、見るからに酸っぱそうなレモン果汁が流れ出てきました。

こうして搾り取られたレモン果汁は、種や皮、繊維を丁寧にろ過し、素早く充填されます。この工場では、果実が運ばれてから搾汁し、パッケージングをして出荷するまでに必要な時間は2〜3日ほど。この日のレモンもわずかな時間で、果汁となり丁寧にパッケージングされていきました。

まさに捨てる場所なし、優れた可能性を秘めたレモン

レモンを搾った後には大量の皮が残ります。この皮や種は捨ててしまうのかと思いきや。
「いえいえ、そんなもったいない!搾った後のレモンもまだまだ活用できます!」と河野さん。

ペーストにされたレモンの皮
この日集まったレモンの皮は丁寧に集められ、すりおろしてペースト状にされ、そこから蒸留工程を経て、レモンエキスとオイルに分けられます。

レモンの皮から抽出されたオイル成分
さらにこちらの工場では、顧客の要望に応じて、レモンピールの乾燥や糖漬け、酒類加工なども行っているそう。

「果肉や皮、オイルなどは一般的な加工品になります。近年では種子を化粧品などに使うことも検討されているそうですよ。レモンはまさに捨てる場所のない果実なんです」。

と河野さんは誇らしげに語ります。

美味しいレモンサワーの秘訣は丸ごと使うこと

写真左から、代表取締役の河野さん、工場長の佐々木さん
工場見学が終わる頃にはすっかりレモンの効いたサワーが飲みたくなってしまいました。ここで、レモンと日々向き合っている河野さんと工場長の佐々木康介(ささき・こうすけ)さんにレモンの美味しさや魅力についてお話を伺いました。

まずお話を聞いたのは佐々木さん。

「レモンは、みかんやイチゴと違ってそのまま食べることが少ない果実ですが、爽やかな風味がありますよね。それが魅力です。また、果実・内皮・タネとそれぞれに異なる味わいや香りがあるのもポイントです。
最近では丸おろししたレモンを使用した商品が多くなってきていますが、これはレモンを丸ごと使うことで、内皮やタネの個性を感じられる立体感のある味が楽しめるからだと思います。私も、家でレモンを使ってサワーを作るときは、果汁だけでなくレモンを丸ごと使います。カットしたレモンを絞るときは、皮を下にして果汁が皮を伝わるようにするんです。そうすると、サワーの中に香りの高いオイルや、内皮のほのかな苦味が移って美味しくなるんですよ」。

続いて、河野さんには美味しいレモン選びのコツを伺いました。

「当社では広島県や愛媛県、千葉県、神奈川県、京都府などで栽培されている、リスボン・ユーレカ・ヴィアフランカといった品種のレモンと、東京都の小笠原諸島、三重県、宮崎県産のマイヤー系のレモン(レモンとオレンジの自然交雑で生まれたといわれ、一般的なレモンに比べ酸味が少なくまろやかな味わいの品種)を主に扱っています。ほとんどが国産で、皮まで安心して使うことができるんです。
私たちは果実を仕入れる際、必ず農家さんの元を訪れて、どのような方がどのような方針、思いをもって栽培しているかを確認します。農家さんと話をすれば、その方が作るレモンが如何に素晴らしいかわかります。
ただ、一般の方にも農家さんの事をもっと知って頂きたいので、スーパーなどでレモンを選ぶ際は、農家さんの顔が見えるような果実を選ぶとより良いと思います。また、手前味噌ですが、私たち日本果汁の商品も一部スーパーなどで販売されていますので、お選びいただけたら嬉しいですね」。

レモンを丸ごと使用した、レモンサワーを体験してみよう!

今回は誠実に果実と向き合って事業を展開する日本果汁の皆さんから、レモンに関する素敵なお話を聞くことができました。

コロナウイルスの影響で、なかなか外出ができない日々が続きますが、みなさんも自宅で丸おろししたレモンを使った缶チューハイや、果実を丸ごと使って自作するフルーツサワーに挑戦してみませんか?
これからじりじりと暑くなる季節。極上のレモンサワーで、口と喉に爽快な幸せを呼び込んでみましょう!

<取材協力>
株式会社日本果汁
〒600-8428 京都府京都市下京区弁財天町331
URL:http://www.japan-juice.co.jp/