酒噺 ~もっとお酒が楽しくなる情報サイト~

日本酒の新時代を拓く「然土」の噺

日本酒の新時代を拓く「然土」の噺

2024,3,22 更新

いい日本酒とは。
そう聞かれたら、10人に10通りの答えが返ってくるでしょう。しかしその中には、好きな銘柄や土地、仕込み方法とともに、「よく磨いたお酒」という回答もあるはずです。

米を「磨く」とは、酒米の表面を削る精米工程のこと。
米の表層近くには、脂質やタンパク質、ビタミンなどが多く含まれ、これらが多すぎればお酒の香りが損なわれたり味のばらつきが生まれてしまうことも。そこで、表面を削り、米の中でも最もでんぷん質の多い中心部の「心白」という部分に近い場所だけを使うことで、お酒をすっきりと、香り高いものにするのです。
この精米歩合が60%以下、つまり酒米の4割以上を削って作られたものが吟醸酒、50%以下のものが大吟醸と呼ばれます。

こうした吟醸や大吟醸のように、磨き抜かれた美しくすっきりしたお酒は、華やかな香りでとても美味しいものです。果たしてそれだけが日本酒の価値なのでしょうか。

今回は、多くの人がよく磨いたお酒を求める傾向がある中で、松竹梅が本気で「本当にいい日本酒」を模索し生み出した、生酛(きもと)造りの日本酒“松竹梅白壁蔵「然土(ねんど)」”と、そのお酒がどのような反響を呼んでいるかのお話です。

「然土(ねんど)」とは

 (11219)

2023年10月に続き、3月にも数量限定で販売された、生酛造りの日本酒“松竹梅白壁蔵”「然土」”。
これは “いい酒=米の旨味を感じ、飲み飽きない食中酒”と定義した「松竹梅プロジェクト」が生み出した、松竹梅を象徴する日本酒です。

この「松竹梅プロジェクト」の背景には、日本酒業界の純米大吟醸や大吟醸が珍重される風潮や、「大手メーカーが造るのは安価な酒」という固定観念を覆したいという思いがありました。
そこで、マスター・オブ・ワインであると同時に、酒類専門店「株式会社山仁(やまじん)」の代表として日本酒への造詣も深い大橋建一(おおはし・けんいち)氏とともに、本当に美味しく、またサステナブルな日本酒の追求が始まったのです。

そのこだわりは醸造だけでなく、有機肥料の使用や農薬の削減をはじめ、環境負荷が少なく、また旨味を最大限に感じられる酒米・山田錦の追求から発揮されました。

「然土」はまさに、松竹梅、そして宝酒造が掲げる「宝は、田から」を表現する日本酒として産声を上げたのです。

「然土」の生酛造りが料理に合う理由

 (11222)

「米の旨みがある食中酒」を追求しつづけてきた松竹梅白壁蔵が、「然土」を生み出すために選択したのが「生酛造り」でした。
乳酸菌をはじめ微生物の力を借り、手間と時間をかけて造られる江戸時代からの伝統製法「生酛造り」の酒は、米の旨味が最大限に引き出され、深い味わいと凜とした香気が感じられるのが特徴。
さらに、「然土」では山田錦の精米歩合をあえて定めず、その年にできた酒米に適する精米歩合をその都度確かめながら決めていくというスタイルをとっています。これによって、大吟醸など米を磨き抜いたお酒にはない、個性とふくらみのある味わいが実現。

こうして「然土」は、私たちが普段いただいている米が多くの料理と優れた相性を見せるように、米本来の包容力を持ちつつ、酒としての美味しさを兼ね備えた食中酒となったのです。

シニアソムリエが認める「然土」の魅力

2023年10月に限定400本で販売された「然土」を取り扱ったスモールラグジュアリーリゾート「ふふ 京都」。京都の岡崎エリアにあり、山縣有朋の別荘であった無鄰菴(むりんあん)に隣接するこのホテルでシニアソムリエを務める太田和宏(おおた かずひろ)さんは、「然土」の魅力をこう語ってくださいました。
 (11226)

「はじめてテイスティングしたとき、純粋に“美味しい”と感じました。
また“米をそれほど磨いていないのでは?”と感じるほどに、米の旨味や甘味、ふくよかさが引き出されていますね。非常にフードフレンドリーな一本で、確かな骨格と風味があり食中酒としても料理と相性が良いと感じますし、“然土”だけで飲んでも楽しめます」。

「然土」との相性が良い料理は?

太田さんは、「然土」はバランスの取れたお酒で、風味に凹凸が少ない分、多くの食材と相性が良いと感じたと言います。その中でも、特に相性の良い料理を「ふふ 京都」のお食事処「京野菜と炭火料理 庵都(いほと)」のお料理からお教えいただきました。

「私は日本料理の組み立ての中で、できるだけ一品に一杯お酒をご案内するようにしています。それで言えば“然土”は4番バッターですね。食前酒ではなく、あっさりとしたお椀物と合わせるのももったいない。やはり、お客さまがワクワクとする、味覚が並ぶコースの中盤におすすめしたい日本酒です。庵都でいえば、看板メニューの“鮮と炭(ひ)遊び”や前菜の“京の恵”がペアリングとしておすすめです」。
【造里】鮮と炭遊び

【造里】鮮と炭遊び

「鮮と炭(ひ)遊び」は、季節の鮮魚の刺身と、卓上の炭で焼きながらいただく魚介類が華やかに並ぶメニュー。「京の恵」は、京野菜や京都産の山海の幸が並ぶ煌びやかな前菜です。
「然土」の持つ米本来の旨味やバランスの良い風味は、鮮魚の香りを損ねることない風味と、また炭の香りに負けることのない力強さで、料理の魅力を引き立てます。
【前菜】「京の恵」

【前菜】「京の恵」

「バランスがよく、膨らみがあるのに、料理よりも強くならない。料理の引き立て役となるのが“然土”ですね」と太田さんは語ります。

日本酒は、まだ進化する

「“磨きすぎていないお酒”が私は好きです」と太田さん。
数量限定であることから「ふふ 京都」では、「然土」をメニューには載せず、本当にお酒が好きな方だけにご紹介しているそう。そのとき太田さんは、お勧めする売り文句が“熱くなりすぎないように”気をつけているのだとか。

実は、太田さんはシニアソムリエでありながら、かつてはワインを立ち飲みで楽しめる気軽な店のオーナーを務め、また今でも気軽な居酒屋に足を運ぶお酒好き。そんな心からお酒を愛する太田さんを、熱くさせるほどの力が「然土」で実現できたのです。松竹梅の踏み出した一歩は、ひとまずの成功を収めたと言えるでしょう。
 (11236)

しかし、本当に美味しい日本酒への挑戦はこれで終わりではありません。
「然土」のネーミングに込められた意味は「N・end(Never・end)」。絶えることなく、日本酒の文化と豊かな米作りの環境が続いていくように、「然土」の進化も続いていくのです。

毎年収穫される酒米の性に合わせて、精米歩合や仕込みを変える伝統と革新の酒、日本酒の新しい道を切り拓くかもしれない「然土」。
こうした日本酒造りは、奇しくも世界の名だたるワインを造る醸造家たちの思想にも近しいものなのです。しかも、「然土」をはじめとする生酛造りの酒は、海外でも高い評価を獲得し始めています。造り手の情熱が込められ、収穫された作物と対話するように造られるお酒は、今後日本のみならず世界のお酒好きの方を驚かす日も近いかもしれません。

今後も進化を続け、世界へも羽ばたく野望をもった松竹梅の酒造りに、ぜひご期待ください。
<取材協力>
 (11239)

ふふ 京都
〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町41
0570-0117-22
営業時間 朝食:8:00~11:00/ランチ:11:30~14:30/夕食:18:00~22:00
※朝食と夕食はご宿泊者限定

(取材日:2024年2月16日)
▽記事で紹介したお酒はこちら
・松竹梅「然土」
   

\この記事をシェア/

  • twitter
  • facebook

関連記事