【兵庫・達人と巡る角打ち】神戸魚崎・濱田屋の噺
2022,8,12 更新
兵庫の角打ちを、達人芝田真督さんと巡る、角打ちシリーズ第5回。
今回芝田さんが案内してくれるのは、阪神魚崎駅近くにある老舗角打ち・濱田屋。
なんでも、そこには日々お酒好きが集う“アルコール研究所”なるものがあるのだとか。
何やら楽しそうな雰囲気を感じながら、そのお店を目指します。
芝田真督さん
日本ペンクラブ会員。神戸の下町に古くからある大衆酒場や大衆食堂、純喫茶などの魅力を伝える文筆家。
著書『神戸ぶらり下町グルメ」『神戸立ち呑み八十八カ所巡礼」『神戸懐かしの純喫茶』(以上神戸新聞総合出版センター)のほか、『兵庫下町まちあるき(兵庫図書館)」『純喫茶で学ぶ食のルポルタージュ( KAVC )」『下町グルメのススメ(下町芸術大学)』などの案内役など精力的に活動する。
現在、サンテレビWebサイトにてコラム「神戸角打ち巡礼(https://sun-tv.co.jp/column/kakuuchi)」 を連載中。
【書籍】「神戸角打ち巡礼」(https://sun-tv.co.jp/column/kakuuchi)
【Webサイト】 http://msibata.org/
【神戸立ち呑み巡礼】 http://msibata.org/tachinomi/
【ブログ】 https://ameblo.jp/msibata/
創業380年!?魚崎の老舗角打ち
ここは全国的に知られた酒造の街であり、阪神電鉄・魚崎駅の周辺にも数多くの酒造メーカーが並んでいます。今回訪れた角打ち「濱田家」は、店舗の日よけの上に「HAMADYA」と描かれたお酒を注ぐ人の腕を模した看板を掲げるなんともインパクトのある酒販店。
しかし、その斬新さとは裏腹に、なんと380年近く前からこの地で商いを続けているという老舗中の老舗なのです。
「いらっしゃい」と、笑顔で出迎えてくださったのは、店主の濱田栄司(はまだ・えいじ)さん。
アルコール研究所の掟
アルコール研究所という名前は、お客さんに自分の舌や鼻でお酒を味わい、おつまみなどとの取り合わせを吟味し、研究してもらいたいという思いを込めており、濱田さんのお酒に向き合う真剣さと、ユーモアが感じられるネーミングです。
常連さんはここへ、店内で購入した焼酎ハイボールやビールに加え、4合瓶の日本酒やワインとおつまみを持ち込み、シェアしながらその味わいや取り合わせを“研究”するわけです。
壁にはお酒にまつわる知識を掲載した資料、さらに種々様々な書籍が並べられています。
その中で一際目を引いたのが、「濱田アルコール研究所 四規則」と書かれた貼り紙。
2. 研究終了後はきれいにかたづけて帰るべし
3. 大声、奇声は慎み静かに研究すべし
4. 喧嘩したる者百年間出入りを禁ず
お酒とおつまみの研究をしてみよう
濱田屋さんでは、缶詰やスナック以外のおつまみは手作り。このポテサラも、ほのかに温かく、程よく潰されたものと、形を残しているじゃがいものバランスも取れたなかなかのお味。仕上げに添えられた黒胡椒の香りが、ピリリと弾けてお酒が進みます。
ポテサラには辛口な味わいのタカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>が人気。
芝田さん「さっぱりとしたチューハイの味わいと、マヨネーズのコッテリ感、胡椒の香りを膨らませてくれる強い炭酸が、抜群の好相性ですね」。
先代手製の絶品、だし巻き卵
「これはうちの定番のおつまみの一つですね、それにうちの父の生きがいでもあります」と笑顔を浮かべる濱田さん。
箸で持つとプルプルと震えるだし巻き、含ませる出汁がたっぷりでないとこうはいきません。口に含むと、ジュワッと滲み出る出汁の香り。
こちらもタカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>の爽快な喉ごしと合わせることで、この出汁の風味を存分に楽しめるため、お客さんに好評です。
芝田さんもしみじみと「いやこれは美味しいですね」と舌鼓を打っていました。
日本酒でつくる酒蔵パン?
酒蔵パンは、日本酒をつくる際の酵母を培養するための酒母の技術を応用して作ったパンだそう。
「海外だと、パンとワインを合わせて楽しむことが多いですよね。ならば、これを日本酒でもできないかと思って研究して作ってみたんです」と濱田さん。
手に持つとなかなかにボリュームのあるパン。ふわふわというよりも、しっとりとしてドイツなどの田舎のパンに似た面持ちは、口に入れると、確かに酒饅頭のようにふんわりと日本酒が優しく香ります。
日本酒にちょっとつけて召し上がる常連もいるそうですが、ここはタカラcanチューハイ<レモン>でいただきます。
ほのかなレモンの香りが、酵母と相まって奥行きの深い味わいに。
パンとお酒という、珍しい取り合わせも、なかなか美味しいと気付かされる研究結果となりました。
職業も様々、四方山話が交差する研究所
と笑って答えます。
お酒を飲む場所。と言ってしまえばありきたりの言葉。でもこれを「アルコール研究所」と気の利いた言葉で言い表し、世のお酒好きの人々に居場所を与えてくれる濱田屋。
みなさんもぜひお気に入りのお酒や、未だ見ぬ一杯の探究のために足を運んでみませんか?
地酒とワインの濱田屋
住所:兵庫県神戸市東灘区魚崎南町4丁目15−13
営業時間:10:00~21:00 日曜休 祝日13:00~19:00
WEBサイト:https://www.jizakeya.co.jp/
▽記事で紹介したお酒
・タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>
・タカラcanチューハイ<レモン>
▽兵庫・達人と巡る角打ちシリーズ
・第1回 垂水・フジワラ酒店
・第2回 神戸西元町・須方酒店
・第3回 苅藻・飯田酒店
・第4回 神戸東川崎・石井商店