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会館飲み実践編① 四条大宮・新宿会館の噺【後編】

会館飲み実践編① 四条大宮・新宿会館の噺【後編】

2023,10,7 更新

京都市内を中心に、密かに人気を集める「会館飲み」。
今回の酒噺は「会館飲み実践編」の後編となります!
後編では、お酒を酌み交わす人々はもちろん、会館飲みの文化的な側面を感じられる出会いもありました。

明るく、楽しく、常連が繋がる焼き鳥「てら」

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会館の狭くて薄暗い廊下の中にパッと明るい光が灯り、店の外まで楽しい話し声が溢れています。

ただ、私たちが訪れたのは19時を回った繁盛時、「店主さんもお忙しく働いている中で、お話を伺うのも野暮」と思っていると、目の端に見覚えのある方が。
先ほどまで「すたんでぃんぐBarAchi’」にいらっしゃっていた常連さんです。

せっかくですから、じゅうじゅうと焼ける焼き鳥と、宝焼酎「純」の“純ハイ”をお供に、お話を聞いてみます。
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「また会いましたね、はしごする魅力わかってきました?
会館ではみんな軽口を叩いてますけど、それ以上にお互いを認め合っているんです。
何度も同じ店で顔を合わせていると、3〜4日顔を見ないだけで、心配になってきて“あいつ体調崩しとんちゃうか”なんて他の常連と言い合ったりもするんですよ。この距離感は大切にしたいですね。
遠方から来る方はちょっと難しいかもしれませんが、帰り際に“次はいつごろ来るよ!”なんて笑顔で話しかけてくれると、意外と覚えているもんです。楽しいところですよ、本当に」。

「で、次はどこに行かれるんですか?
あぁ、“オーバーナイトセンセーション”ですか。あそこはインパクトありますよ。いってらっしゃい」。
「てら」さんでの短い再会を楽しんで、次のお店へ向かいます。

好きになぶっていい町家を最大活用「オーバーナイトセンセーション」

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前回の会館飲みの特集で、立命館大学の加藤教授は「町家や会館のスタンスはいくらなぶってもいい(好きにしていい)」ため、リノベーションが容易とおっしゃっていました。
その真骨頂と言えそうなのが、新宿会館2階の「オーバーナイトセンセーション」です。

もともとアパレル店に勤めていたという店長の運天紀行さんが切り盛りするこの店は、前述の3店とは雰囲気が大きく違い、天井は鏡貼り、モルタルを打ち放しにしたスタイリッシュな空間で、ドリンクは500円〜とリーズナブル。
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一見すると、若者が好んで集まりそうな場所で、この日隣にいたお客さんも20代の若いカップルだったのですが、40代以降の方が、締めの一軒として訪れることもあるそう。

「若い人もご年配の方も、ぼくもフラットに話してるから、気を遣わないで来てくださいね。酒場でする話なんて、下らなくたっていいんです。顔馴染みと話してワイワイしているだけで十分なんですよ」と語る運天さん。その独特の風貌と口調に、4軒立ち飲みをハシゴしているということも忘れて、なんとも癒されてしまいます。

摩訶不思議な空間を楽しむ「会館飲み」。まずは最初の一歩を踏み出す勇気を!

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4軒のはしご酒をしても、歩く距離は100歩ほど。それなのに、それぞれ個性いっぱいの世界観を持つお店を堪能できる、なんとも不思議な体験ができた今回の「会館飲み」。前編・後編に分けてお届けしました。

新宿会館を出る頃には、入る時の緊張感はどこへやら。
ほのかに酔いの回った心地よさ、そして何より、出会った人たちの笑顔と温かさに触れられて、心も足取りも軽く帰路へ着きます。

皆さんも、京都を訪れた際には、ぜひ市内の会館に訪れてみてはいかがでしょうか。
ちょっと時代のついた町家間口を潜ってお店に辿り着くのは勇気がいりますが、その向こうにはとびきり楽しいお店と人々が待っていますよ。

<取材協力>

【新宿会館】
〒604-8366
京都府京都市中京区七軒町470-32

協力店舗
〇てら
〇オーバーナイトセンセーション
   

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