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おうちで手軽に「蕎麦屋飲み」を楽しむ噺

おうちで手軽に「蕎麦屋飲み」を楽しむ噺

お酒好きならいつかはやってみたい「蕎麦屋飲み」。今年の年末は、家でゆっくりと自分のペースで蕎麦屋飲み気分を楽しんでみませんか?

蕎麦屋で飲む。
蕎麦屋で慌ただしく蕎麦を食べるのではなく、“つまみと酒をゆったりと楽しみながら飲む”その粋な様は、お酒好きならばいつかやってみたい飲み方のひとつです。
とはいえ、周りが蕎麦を食べているなかで一人お酒を楽しむというのは、なかなかハードルが高いもの。また、「蕎麦屋飲みは通が好む」という印象から「自分にはまだ早いのでは」と思ってしまう方もいるかもしれません。

それならば、まずはおうちで蕎麦屋飲みを実践してはいかがでしょうか。
折しも今は年末。年越しそばにかこつけてお酒にぴったりな「蕎麦屋のつまみ」も用意して、お酒と一緒に楽しみましょう。その味わいや楽しさに気がついたら、次は実際に蕎麦屋へ!

酒噺では、正真正銘蕎麦屋でのお酒を楽しむ作法についても紹介しておりますので併せてご覧ください。
蕎麦屋で粋に一献“蕎麦屋飲み”の噺

そもそもなぜ蕎麦屋でお酒を飲むの?

蕎麦屋でお酒を飲むというスタイルが始まったのは江戸時代と言われています。
超男性社会の江戸の町には独身男性が多く、蕎麦屋はお勤め帰りの江戸っ子たちがちょっとお酒を“ひっかけ”つつ、お腹も満たせる格好の場所だったのです。
またその軒数も江戸末期には市中に 3,700軒を超える蕎麦屋があったと言いますから、今以上に蕎麦屋は庶民にとって通いやすい、親しみやすい場所だったと言えます。

では、蕎麦屋に日本酒があるのはなぜか、というと、その理由のひとつは短気な江戸っ子の気質。
江戸の蕎麦屋では、客の注文が入ってから蕎麦を蒸したり茹でたりしていたので、どうしても提供までに時間がかかってしまいます。
そこで蕎麦屋は、気忙しい町人にその時間を繋いでもらうため、鴨や海苔、卵など蕎麦の具にも使える素材を使って、ささっと出せる簡単なお酒のつまみとして提供していたのです。
また、蕎麦屋でお酒を飲む時間は、蕎麦が出てくるまでのわずかな時間なので深酒になりにくく、蕎麦屋では蕎麦の前に提供する酒のことを「蕎麦前」と呼び、居酒屋などよりも良い酒を揃えていたと言います。

今回は江戸の蕎麦屋の流儀に従って、蕎麦を使った定番のおつまみを用意。最後に蕎麦でしっかりと締める、蕎麦屋飲みの黄金パターンをご紹介します。

まずは定番、板わさ

蕎麦の上に乗っていて、冷蔵庫がない時代でも比較的保存がきき、切るだけですぐに提供できる「かまぼこ」は、蕎麦屋の基本のおつまみ。おうちで楽しむときは、ちょっと値の張る、プリプリと弾力のあるものを選ぶとお酒に良く合います。
また、お酒好きな方であれば、わさび漬けなどを合わせるのも美味しい組み合わせです。
魚の持つ旨味と、みりんのほのかな甘さ。ピリッとしたわさびが食欲を刺激してくれて、「さぁ飲んで食べるぞ!」という気分になってきます。

蕎麦屋の力量がわかる?だし巻き

蕎麦屋といえば、蕎麦と並んでだしにもこだわるものです。だから蕎麦屋のだし巻きは、その店のだしの良し悪しを見極める一つの目安になることも。
ご家庭でも、だしを引いて卵焼き器でふんわりと巻いていただきたいのですが、気軽に楽しむのであれば“だしの素”や、お惣菜のだし巻きを買ってきてもOK。
ふんわりとして甘い卵の食感の奥からしみ出るだしの風味、そこに日本酒をキュッと注ぐと、香りが一気に広がります。
だしと日本酒ってどうしてこうも相性が良いのだろう、と不思議になる美味しさ。
だしの香りと、米の甘さはきっと日本人の身体と心に染みついた味覚なのでしょうね。

実は蕎麦屋のつまみの中でも古株だった、蕎麦味噌

蕎麦屋のつまみの中でも、ちょっと異彩を放っているのが蕎麦味噌(焼き味噌)。
今でこそ蕎麦つゆは醤油がベースですが、1700年代のいわゆる江戸時代中期まで醤油は関西から船を使って運ばれる高価な調味料でした。
では当時の人々が何で蕎麦を食べていたかというと、味噌。味噌だれ(煮貫・にぬき)といわれる煮込み味噌を濾(こ)したもので蕎麦を食べていたのです。

蕎麦屋で味噌というと、馴染みがないようですが、実は醤油以上の長い付き合いだったというわけです。蕎麦味噌は、白味噌に鰹節、みじん切りにしたネギ、すりごま、揚げた蕎麦の実などを入れてよく混ぜ、しゃもじに塗って焼いたもの。
ただ、ご家庭で作るとなると問題になるのは蕎麦の実の入手。蕎麦の実が手に入らない場合は、スーパーやお茶屋さんで売っている「蕎麦茶」を使ってみましょう。これは蕎麦の実を焙煎したもので、そのまま食べても美味しいものです。
味噌の甘みと塩気、ネギの香りに鰹節の旨味、プチプチと弾ける蕎麦の実の食感がなんとも心地よい蕎麦味噌。少々手間はかかりますが、ご家庭でもおつまみの定番になること請け合いですよ。

お酒の締めはやっぱり蕎麦で

冬のこの時期は温かい蕎麦が恋しくなるもの。
特にお酒を飲んだ後は、だしの効いた蕎麦がことさら美味しく感じられます。
年末の大晦日に食べるなら、ちょっと奮発して鴨南蛮にしてみてはいかがでしょうか。鴨のこってり甘い脂が蕎麦つゆに溶け込んで、身体がぽかぽかと温まります。また、こんがりと焼き色のついたネギのシャキシャキとした食感と、芯のとろりとした甘さのコントラストが美味しい名脇役。
蕎麦の具だけでもお酒が飲める、だしと蕎麦でもまた飲める、お酒のお供として最適な一品です。

蕎麦飲みをもっと楽しくする「そば焼酎」

蕎麦屋飲みのお酒の定番は日本酒なのですが、酒噺がおすすめしたいのは「そば焼酎」との組み合わせ。今回は、そば原料100%のそば焼酎「十割(とわり)」をチョイスしました。
そば本来の香ばしく爽やかで、キレの良い「十割」をつまみと合わせると、日本酒の時とはまた違った酒とつまみの相性を楽しめます。
定番、かつ、おすすめの飲み方はやはりロック。蕎麦の香りと味わいをしっかりと楽しむことができますよ。

また、もう一つのおすすめの飲み方は「蕎麦湯割り」。
蕎麦粉をしっかりと使った二八蕎麦や十割蕎麦なら、茹で上げた鍋の中にはとろりとした蕎麦湯が残っているはず。
食べ終わった蕎麦つゆに入れて楽しむのも良いのですが、お酒好きの方であれば「そば焼酎の蕎麦湯割り」もぜひ試していただきたい飲み方です。
おすすめの作り方は、蕎麦湯6:そば焼酎4。
同じ蕎麦からできた蕎麦湯とそば焼酎、相性が悪いはずがありません。
焼酎の香りと、度数の高いアルコールを蕎麦湯がやんわりと包み込んで優しく飲みやすい味わいに変化しますよ。

一年間お疲れ様の気持ちで、大晦日はお家で蕎麦屋飲みを

新型コロナウイルスの蔓延などで、気忙しかった一年も残りわずか。
大晦日は、大変な一年を乗り切った皆さんとご家族の今年を振り返りながら、来年こそは、大手を振って美味しいお酒を楽しめる年になるよう、美味しい蕎麦とつまみ、それから温かい日本酒やそば焼酎でのんびりと蕎麦屋飲みをお楽しみください。

▽蕎麦と一緒におすすめのお酒
松竹梅
そば焼酎「十割」
宝酒造オンラインショップ

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