
燗酒とともに、ゆるやかな時間を楽しむ野遊びの噺
2020,7,3 更新
夏といえば、アウトドアアクティビティ。今回の酒噺では“日本古来の”アウトドアグッズとお酒を楽しむ噺をご紹介します。
最近ではソロキャンプなども人気になって、アウトドアショップには数々の機能的なアイテムが並んでいます。
こうした最新の「アイテム」は、野外での活動を便利なものにしてくれますが、時には、古くから使われている道具に目を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。
何でもすぐにできない不便さゆえの、ゆるやかに流れる時間やひと手間かける楽しみ。
今回は、そんな贅沢な時間の使い方ができる道具をご紹介します。
その名は「燗銅壺(かんどうこ)」。
こうした最新の「アイテム」は、野外での活動を便利なものにしてくれますが、時には、古くから使われている道具に目を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。
何でもすぐにできない不便さゆえの、ゆるやかに流れる時間やひと手間かける楽しみ。
今回は、そんな贅沢な時間の使い方ができる道具をご紹介します。
その名は「燗銅壺(かんどうこ)」。
そもそも“燗銅壺”とは?

資料提供:味の素食の文化センター
燗銅壺は、江戸時代から愛されている野遊びのための道具で、「野燗炉(のかんろ)」とも言われています。
箱火鉢のような仕切りのついた金属の箱で、片側の仕切りに火のついた炭を入れ、その上に網などを載せて食べ物を焼き、もう片側の仕切りには水を入れて炭の熱で沸かし、燗をつけることで、魚と燗酒を一度に楽しめるという、何とも合理的で欲張りなものなんです。
箱火鉢のような仕切りのついた金属の箱で、片側の仕切りに火のついた炭を入れ、その上に網などを載せて食べ物を焼き、もう片側の仕切りには水を入れて炭の熱で沸かし、燗をつけることで、魚と燗酒を一度に楽しめるという、何とも合理的で欲張りなものなんです。

燗銅壺からお酒を取り出している様子が描かれている
歌川広重の浮世絵『江戸名所圖會(ずえ) 飛鳥山』にもこの燗銅壺は登場しており、桜咲く水辺にござや毛氈(もうせん)を敷き、景色を楽しみ三味線や踊りに興じながら、お酒を温めている様子が生き生きと描かれています。
燗銅壺は、江戸時代後期頃に大人気を博し、多くの飲み助がこれを片手に野山へ遊びに出たそう。今でも、その頃の燗銅壺は数多く残っており、オークションや古道具、蚤(のみ)の市でその姿を見ることができます。
とはいえ、さすがに当時のものは年代物ということもあり、ちょっと値が張ってしまうのが残念なところ。
燗銅壺は、江戸時代後期頃に大人気を博し、多くの飲み助がこれを片手に野山へ遊びに出たそう。今でも、その頃の燗銅壺は数多く残っており、オークションや古道具、蚤(のみ)の市でその姿を見ることができます。
とはいえ、さすがに当時のものは年代物ということもあり、ちょっと値が張ってしまうのが残念なところ。

でもご安心を。近頃、燗銅壺の魅力に気づいた現代の調理器具や酒器メーカーが、当時の機能はそのままに、リーズナブルな燗銅壺を販売し始めているのです。
お値段も数千円~とお手頃。まずは最近の燗銅壺で、野遊びをはじめてその魅力にハマったら、アンティークの一品を探してみるなんていうのもいいかもしれませんね。
お値段も数千円~とお手頃。まずは最近の燗銅壺で、野遊びをはじめてその魅力にハマったら、アンティークの一品を探してみるなんていうのもいいかもしれませんね。
何もしない時間を楽しむ道具

現代の燗銅壺は、折りたたみ式のものも多く、持ち運びや組み立ても手軽にできます。
さらに、チロリやぐい飲みもセットとなっていることが多いのが嬉しいところ。
今回、そんな燗銅壺を、実際に組み立ててキャンプで使ってみました。
仕切りの中に真っ赤に火の通った炭、それから水とチロリに入った、上撰松竹梅「サケパック」をセット。
炭の上の網に、ししゃもや豆腐の田楽、焼き鳥など好きな食材を乗せたら、後は出来上がりを待つだけです。
さらに、チロリやぐい飲みもセットとなっていることが多いのが嬉しいところ。
今回、そんな燗銅壺を、実際に組み立ててキャンプで使ってみました。
仕切りの中に真っ赤に火の通った炭、それから水とチロリに入った、上撰松竹梅「サケパック」をセット。
炭の上の網に、ししゃもや豆腐の田楽、焼き鳥など好きな食材を乗せたら、後は出来上がりを待つだけです。

コンパクトな作りの燗銅壺は、炭の熱が十分に伝わり食材や酒が美味しい温度になるまで少々時間がかかります。
赤く光り、パチパチと鳴る炭の音を聞きながら、今かいまかと出来上がりを待つ時間は、もどかしくも心楽しいもの。
ソロキャンプなら景色を眺めながら物思いにふけったり、気の置けない仲間と一緒なら、思い出やよもやま話に花が咲くのに十分な時間があります。
バーナーや焚き火で一気に焼いてしまえば簡単なのですが、このひと手間をあえて楽しむ感覚が、何とも粋です。
赤く光り、パチパチと鳴る炭の音を聞きながら、今かいまかと出来上がりを待つ時間は、もどかしくも心楽しいもの。
ソロキャンプなら景色を眺めながら物思いにふけったり、気の置けない仲間と一緒なら、思い出やよもやま話に花が咲くのに十分な時間があります。
バーナーや焚き火で一気に焼いてしまえば簡単なのですが、このひと手間をあえて楽しむ感覚が、何とも粋です。

また、燗銅壺の良いところは火の加減が簡単にできるところ。
人肌のぬる燗や熱燗も、炭の起こし方やチロリを温める時間で調節できます。
人肌のぬる燗や熱燗も、炭の起こし方やチロリを温める時間で調節できます。
一年通じて、あなたの野遊びのお供に

今回は、夏のキャンプサイトでの燗銅壺を使ったお酒の楽しみ方をご紹介しました。
程よく温まった松竹梅はとろりと甘く、燗銅壺から漂う炭の香りと相まって、普段とはまた違うウキウキとした楽しい気持ちでお酒を酌み交わすことができ、大満足です。
夏でも高原の夜などは、底冷えがするもの。そんなときに燗銅壺があれば、ちょっとした暖をとりながら、お腹も心もほっこりと温められます。
もちろん、夏以外にも燗銅壺は大活躍します。
むしろシンと冷えた雪降る冬の夜や花冷えのする春、うそ寒い風が紅葉を揺らす秋などにその真価は発揮されるもの。
花鳥風月、雪月花とともに楽しむ江戸の野遊びの道具、燗銅壺。
ちょっとひと手間かけながらも、抜群に楽しく、なにより今まで忙しさの中に置き忘れていた、ゆったりとした時間を思い出すことのできるこの道具を使って、おいしいお酒と食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
程よく温まった松竹梅はとろりと甘く、燗銅壺から漂う炭の香りと相まって、普段とはまた違うウキウキとした楽しい気持ちでお酒を酌み交わすことができ、大満足です。
夏でも高原の夜などは、底冷えがするもの。そんなときに燗銅壺があれば、ちょっとした暖をとりながら、お腹も心もほっこりと温められます。
もちろん、夏以外にも燗銅壺は大活躍します。
むしろシンと冷えた雪降る冬の夜や花冷えのする春、うそ寒い風が紅葉を揺らす秋などにその真価は発揮されるもの。
花鳥風月、雪月花とともに楽しむ江戸の野遊びの道具、燗銅壺。
ちょっとひと手間かけながらも、抜群に楽しく、なにより今まで忙しさの中に置き忘れていた、ゆったりとした時間を思い出すことのできるこの道具を使って、おいしいお酒と食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
マキノ高原キャンプ場
住所:滋賀県高島市マキノ町牧野931
TEL 0740-27-0936
URL:http://makinokougen.co.jp/
▽前回のアウトドアの噺はこちら
・青空の下でもお家でも、手軽に楽しめる燻製の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/gy0S6
▽その他おすすめのアウトドアとお酒の噺
・最高の「アウトドア飲み」が楽しめる「4つの達人ワザ」の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/iU8yp
▽記事で紹介したお酒はこちら
・上撰松竹梅「サケパック」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/shochikubai/josen/
マキノ高原キャンプ場
住所:滋賀県高島市マキノ町牧野931
TEL 0740-27-0936
URL:http://makinokougen.co.jp/
▽前回のアウトドアの噺はこちら
・青空の下でもお家でも、手軽に楽しめる燻製の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/gy0S6
▽その他おすすめのアウトドアとお酒の噺
・最高の「アウトドア飲み」が楽しめる「4つの達人ワザ」の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/iU8yp
▽記事で紹介したお酒はこちら
・上撰松竹梅「サケパック」
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/shochikubai/josen/