酒噺 ~もっとお酒が楽しくなる情報サイト~

ひとり酒を楽しむ、花見酒の噺

ひとり酒を楽しむ、花見酒の噺

2022,3,18 更新

春と言えば「花見」と、桜を眺めながらの宴会。ですが、コロナ蔓延以降、そのような光景を見かけることが少なくなりました。なかなか派手に宴会ができない今だからこそ、春を感じる手弁当やつまみと共に「花見酒」を楽しむ「花見」に想いを馳せてみませんか?

寒さが緩み、日差しの温かさが増してくるこの季節。公園や川沿いの桜は、その蕾が弾けそうなほどに膨らみ、早いものはちらほらと可愛らしい花びらを見せてくれるほどの陽気になってきました。こうなると、気になるのはやはりお花見。
日本人の多くが心待ちにする春の恒例行事ですが、時節柄、まだ仲間たちと桜の木の下で、会話にも花咲く宴を設けるというわけにはいかないようです。
とはいえ、折角の花見の機会をみすみす逃すのはあまりにももったいない。
今年は仲間とわいわいお酒を楽しむのはぐっと我慢して、お家や桜の見える公園などで十分に人との距離をとって、こじんまりとひとり酒を楽しんでみませんか?
もちろん、そのお酒のお供には花見の季節の定番となっている、おつまみの準備も是非忘れずに。

花見の歴史って ?

 (6482)

『千代田大奥 御花見』 出典:国立国会図書館デジタルアーカイブ
花見を楽しむ前に、まずはお花見の歴史の勉強から始めてみましょう。

「花見」の起源には諸説あるものの、「日本後紀」には嵯峨天皇が、京都の神泉苑で「花宴之節(かえんのせち)」を開き、これが宮中行事として定着したと言われています。
貴人の間で広まった花見の風習ですが、当時は花を愛でつつ歌を詠むといった風雅なものでした。
これが、酒食を伴う宴に変わっていくのは室町〜安土桃山時代。
貴族の風習が武士の間にも伝播し、豊臣秀吉によってかの有名な「醍醐の花見」や「吉野の花見」が開催されます。この「醍醐の花見」には1300もの人々が参加したとされ、京都の醍醐寺には大名や奉行が開く8つの茶屋が設けられ、人々はそこでお茶や料理を楽しんだといいます。

もう一つの起源は、平民発祥のもの。「桜」の語源は「稲(さ)」の「座(くら)」とも言われており、古来稲の神様は冬には山におり、春になると田畑のある里に降りてくるとされていました。人々は春に桜が咲くのは神が帰ってきたからだと考え、一年の豊作を願って祈り、祭りを開いたといいます。

いくつかの起源と言われるものはあるものの、春に桜をめでる行事は緩やかにとけあって、現在の花見の形になっていったのでしょう。
江戸時代には身分などを問わず、多くの人々が花見を楽しむようになり、「花見酒」や「頭山(あたまやま)」など、花見を題材とした落語が生まれたり、浮世絵に花見が描かれるほどに流行しました。

花見につきものの料理&飲み物って ?

 (6485)

『江戸むらさき名所源氏御殿山花見 見立花の宴』 出典:国立国会図書館デジタルアーカイブ
「花より団子」の言葉もある通り、食べ物や飲み物は花見の宴に欠かすことのできないもの。
現在では、お花見にお弁当やお重を持参するのが定番ですが、この花見弁当が庶民に広まったのは江戸時代。当時は黒豆やたくあん、卵焼きに蒲鉾などがおかずの定番。裕福な商家や武家などは、桜鯛やヒラメの刺身、きんとんなども詰められていたといいます。
この頃の花見弁当の容器は「提(さ)げ重」という手提げ式の重箱で、料理だけでなく日本酒も一緒に持ち運ぶことができました。
この頃はお酒といえば日本酒で、江戸の人々は冷酒を好まなかったため、野外でも燗酒を楽しむために燗銅壺(かんどうこ)と呼ばれる酒器も盛んに利用されていました。
この燗銅壺については以前、酒噺でも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

 (6487)

また、花見の屋台などでは3色の団子が売られていることがありますが、これは「花見団子」と呼ばれるもの。
花見団子の配色は、桜色・白・緑が一般的ですが、この色には「縁起の良い紅白に邪気を払う緑を足したもの」、「春(桜色)・冬(白)・夏(緑)」の配色で、秋がない(飽きない・商い)」の語呂合わせなど、いくつかのいわれがあるようです。
また、諸説ありますがこの花見団子の始まりは、醍醐の花見で豊臣秀吉が招待客に配った団子であるとも言われています。

江戸の人々に思いを馳せていただくお花見弁当×松竹梅「昴(すばる)」

 (6491)

お花見の歴史の話はこのくらいにして、ここからは酒噺がおすすめする花見料理とお酒の組み合わせのご紹介です。
まずは定番のお花見弁当。
緑鮮やかな豆のご飯に、ほろ苦い菜の花のおひたしなどが添えられると、春らしさを感じることができますね。また、庶民の味・たくあんと卵焼きは日本人にとって馴染みあるものです。それから、現代のお弁当の定番である、唐揚げにウインナーなど、好きなおかずだけを詰め込めるのもひとり酒&ひとり花見ならでは。

乾杯の一杯も江戸の昔に習って日本酒を。松竹梅「昴」<生貯蔵酒>は、独自の酵母が生み出すメロンのようなフルーティーな香りが花見気分を盛り上げることに一役買います。
生貯蔵酒ならではのフレッシュな口当たりは、菜の花や緑豆の繊細な甘さ・苦さを壊さず、反対にちょっとこってりめの唐揚げなどの場合は、そのすっきりとした味わいで口をさっぱりとリフレッシュさせてくれます。和食も洋食も詰め込んだ、贅沢なお弁当に最適な取り合わせです。

野菜も摂りたい方のおつまみ・サンドイッチ×タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>

 (6494)

おにぎりと並び立つお弁当の定番といえばサンドイッチ。
もともとはカードゲームの合間に、片手で食べられる軽食として作られたものですが、この手軽さは野外での食事にもうってつけ。片手にお酒、片手にサンドイッチを持って、悠々と桜を眺めながら食べられる自由さ、気軽さはサンドイッチならでは。具材もハムや野菜、チーズ、ピクルス、パストラミ(香辛料で調理した肉の燻製食品)など、自分の好きなものを挟んで持っていけるのも嬉しいところ。もちろん、行きつけのパン屋さんで購入するのもありです。
マヨネーズやハム・チーズとの相性を考えた場合のお酒のチョイスは、タカラ「焼酎ハイボール」のレモン。甘くなく、爽やかな香りと酸味で、後口をさっぱりさせてくれますよ。

ゆるゆると春の風情に酔う酒肴×全量芋焼酎「ISAINA(イサイナ)」

 (6497)

少しお腹が満たされたら、次はゆったりと酔い心地の良いお酒と一緒に、暖かな日差しと降り注ぐ花びらを堪能してみては? 花見といえば日本酒ですが、酒噺がおすすめするのは全量芋焼酎「ISAINA(イサイナ)」。ロックで味わうと焼き芋のような甘く芳しい香りが楽しめ、炭酸水で割ると華やかな果実の香りに変わるという、多彩な表情をもつお酒です。お好みの割り方で、急がずゆったりと味わってみてください。時には、風のいたずらでグラスの中に浮かぶ桜の花びらを愛でながら飲むのも乙なもの。
合わせるおつまみは、定番の唐揚げや枝豆などで楽しんでみては。「ISAINA」を炭酸割りで飲む場合は、いちごやオレンジなどの果実と合わせても美味しくいただけます。

〆はやっぱりこれ。花見団子×「澪」<ROSE>

 (6500)

お花見といえば、忘れてはならないのが花見団子。これを食べずに花見は終えられません。
上質な花見団子からは、春の野を思い起こさせる桜やヨモギの香りが立ち上ります。普段は甘いものに目がいかないという方でも、あっさりした甘さの花見団子であれば美味しくいただけるはず。一緒に楽しむお酒は、いかにも春らしい「澪」<ROSE>。甘すぎない団子の風味を壊すことなく受け止め、微かな炭酸と共に甘酸っぱい味わいを足してくれる名コンビです。
ちなみに「澪」は、花見団子だけでなく、桜餅や鶯餅といった春の和菓子と合わせても絶品ですよ。

今年は桜もお酒も独り占めしよう

 (6503)

仲間と楽しむお花見も楽しいですが、桜の花や春の風と一人向き合うひとり酒も風情あるものです。普段の花見では仲間との会話に忙しくて、なかなかゆっくりと眺めることができなかった桜の魅力に気づけるかもしれませんね。
ひとり花見を経験すれば、再び仲間と集まって花見ができた時には、一緒にお酒を酌み交わすことの大切さがより身に染みることでしょう。

「花より団子」の皆さんも「(※)酒なくてなんの己が桜かな」(花見に酒はつきもので、酒を飲まない花見はおもしろくない)の皆さんも、今年は自分の好きなおつまみとお酒だけをバッグに詰め込んで、一人花見に出かけてみませんか?

(※)古典落語「長屋の花見」の冒頭に出てくる川柳
   

\この記事をシェア/

  • twitter
  • facebook