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【大阪・西口酒店】超貴重!!手打ち蕎麦が味わえる角打ちの噺

【大阪・西口酒店】超貴重!!手打ち蕎麦が味わえる角打ちの噺

2022,12,16 更新

お酒屋さんの中でお酒とおつまみを楽しむことができる角打ち。定番のおつまみといえば、袋入りのスナックやいわゆる乾き物といった類のものですが、近年では、手作りの惣菜などにこだわるお店が増えています。

しかし、今回ご紹介する「西口酒店」は、なんと店主自らの手打ち蕎麦でお酒が楽しめる角打ちなのです。いつもとは違った角打ちの楽しみ方を求めて、酒噺スタッフが大阪の南部、堺東に向かいました。

歴史ある酒造&居酒の町、堺で営む老舗店

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南海電鉄堺東駅。今でこそ関西最大の商業圏は大阪市へと移りましたが、江戸時代まではこの堺こそが大阪の中心でした。特に室町後期から戦国時代にかけては、会合衆と呼ばれる豪商の組合が組織されており、茶の湯の大成者である千利休もこの地の豪商の出でした。

そんな商売の都、堺は酒造と縁が深く、室町時代の文献にすでに登場しており、江戸時代にはその最盛期を迎え、明治を過ぎてもこの一帯には100軒を超える造り酒屋が店を構えていたそうです。
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と、これは今回伺った「西口酒店」の店主、西口泰司(にしぐち・やすし)さんからの受け売り。

堺東駅から徒歩10分ほどにあるこのお店の外観は、すっきりとして看板も真新しく、また内装やカウンターも品があり、「老舗と伺いましたが…」と訪ねたスタッフに、西口さんがこの町と、お店の歴史を語ってくださったのでした。

なんでも、西口酒店がこの地に誕生したのは、江戸末〜明治にかけてのこと。
西口さんの4代前にあたる先祖が播州のたつのから堺に赴き現在でいうクラウドファンディングのような形で酒造・分配などを行っていたそうで、3代前から今のような酒の小売りや角打ちのサービスをスタートさせたのだそう。
※分配(堺では明治時代から共同事業として酒造を行っており、その利益を分配すること)

詳しい年代こそ定かではないものの、もしかすると堺の町では、江戸の居酒屋と全く違う形で居酒の文化が花開いていたのかもしれません。
※居酒(酒屋の店先や居酒屋で酒を飲むこと)

店主自らが打つ、絶品の手打ち蕎麦

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店主の西口さんは、酒販店に生まれ、その後酒造メーカーに勤めたのちに、西口酒店を継がれており、お酒とおつまみの相性には強いこだわりを持たれています。

手ずから作り上げる蕎麦も、お酒と合わせていただくのが前提です。
開店前の時刻からお店の一角で九州から取り寄せた常陸蕎麦を使い、その日の気温や湿度に合わせて水分を調整しながら蕎麦を練り上げます。
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練り上がった蕎麦を均一にして、これまた堺の誇る堺刀司の蕎麦切り包丁で切った蕎麦は、角がピンと立ち上がった見事な出来栄え。これを、お客さんの注文を受けてから茹で上げて提供していただけるというのですからなんとも贅沢な話です。

ただし、西口さんがお蕎麦を打つのは毎週火曜日のみ。地元の皆さんも心待ちにしている人気メニューなので、味わいたいという方は、ご予約をお忘れなく。

これだけ手間をかけて、蕎麦を打つ西口さんですから、もちろん店頭で出すそのほかの料理にも妥協はありません。出来立ての蕎麦を待つ間に、そのいくつかをいただいてきました。

蕎麦だけではない美味しいおつまみの数々

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まずは鯛の子とフキのうま煮。鯛の旬である春と秋に食卓に上ることの多い関西ではお馴染みのお惣菜です。

出汁を効かせて上品に炊いた鯛の子は、火の通し加減も抜群。ふっくらとしながらも、中までしっかりと出汁の旨味が染み込んでいます。また、合わせるフキもまた上品。シャキシャキとした歯応えで、フキそのものの香気が口から鼻へと抜けていきます。

一緒にいただくお酒は、販売地域限定のクラフトチューハイ“「寶CRAFT」<馬路村ゆず>”※。魚卵のほのかな甘みやフキの繊細な香りを壊さず、ほんのりと薫るゆずの香りでその輪郭をはっきりと浮き立たせてくれる好相性の一杯です。


※販売地域 高知県・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・岡山県・広島県・鳥取県・島根県・山口県・香川県・徳島県・愛媛県

濃厚な味わいでお酒がすすむ、揚げ出し肉どうふ

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続いては揚げ出し肉どうふ。「肉どうふ」といえば通常は、木綿や絹の豆腐ですが、西口酒店では揚げ出しにした豆腐を使用。衣に甘辛い出汁が染みて、濃厚さもひとしお。牛肉の歯ごたえと脂の旨味、玉ねぎのシャキシャキ感も心地よい刺激となって、ぐいぐいとお酒が進みます。

甘辛く濃厚な肉どうふに合わせるのは、その力強さとは対照的な、レモンの軽やかな香りを楽しめるクラフトチューハイ“「寶CRAFT」<瀬戸田レモン>”※。炭酸の刺激が舌を、レモンの香りが鼻を、爽やかにリセットしてくれるので、一口ごとに肉どうふの素材の旨味がしっかりと感じられます。


※販売地域 広島県・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・鳥取県・島根県・岡山県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県

冬の風物詩!出汁が滲みこんだおでん

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木枯らしが吹く時分になると恋しくなるのはやはり暖かい鍋物。居酒屋でお酒と一緒に楽しめる鍋物の代表といえばやはりおでんがその筆頭になるでしょう。

西口酒店のおでんは濃い目の出汁でしっかりと煮込まれた本格派。大ぶりなこんにゃくに、とろとろの餅が口に広がる巾着、噛むほどに味が滲み出るすじなど、今回は西口さんのおすすめを盛り合わせていただきました。下ごしらえによって美味しさが大きく変わる、こんにゃくやすじも、一切の臭みなくしみじみと美味しい。改めてこのお店の料理の優れた腕前を感じます。

おでんと一緒に楽しむお酒は、“タカラ「焼酎ハイボール」<レモン>”。炭酸の刺激と、主張し過ぎないレモンの香りはおでんのお供にぴったりです。

いよいよ真打登場!角打ちで楽しめる「本格手打ち蕎麦」

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おつまみに舌鼓を打っている間に、蕎麦が茹で上がりました。西口酒店の蕎麦の割合は二八、江戸前とはちょっと違い出汁を効かせたつゆにしっかりとくぐらせていただくスタイルです。茹でて締めた後もピンと角が立った喉ごしが心地よいもの。ただし、蕎麦粉の香りと甘みが非常に強いので噛んでその味をじっくりと楽しみたくなってしまう、なんとももどかしく、そして見事な美味しさです。
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この蕎麦を目当てにいらっしゃるお客さんが多いというのも頷ける味わい。合わせるお酒は、蕎麦の繊細な香りと味わいを引き立てる、キレ味爽快な“タカラ「焼酎ハイボール」<ドライ>”を。蕎麦の甘さ、出汁の香り、それぞれを引き立てて、鼻の奥へふんわりと心地よい香りを届けてくれます。

この先も残していきたい名物角打ち

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西口酒店の壁には、常連のお客さんと西口さんが出かけた旅の写真や、これまた常連さんの描いた絵や撮った写真が飾られています。

「コロナの影響はまだあるよ。忘年会なんかも自粛ムードになっているからね。なかなかみんなでどこかへ出かけるっていうのも難しかったけれど、それでも少しずつ明るい兆しは見えているんじゃないかな。早く元通りの生活になって、常連さんが気持ちよくこの店で飲めるように、頑張っていくよ。もちろん、蕎麦打ちもね」と話します。

西口酒店の常連さんは、地元のお馴染みさんから、地域を代表する名士まで実にさまさまなのだそう。そうした人々がまた気軽に集まり、身分も立場も関係なくお酒を組み交わせる日が来るよう、西口さんは今日もお店の明りを灯し続けています。



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〈取材協力〉
西口酒店
住所:大阪府堺市堺区南花田口町1-2-13
電話:072-233-0445
営業時間:16:00~21:00
定休日:日・祝

※蕎麦は火曜日のみの提供(要予約)

▽記事で紹介したお酒はこちら
タカラ「焼酎ハイボール」 ​
クラフトチューハイ「寶CRAFT」

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