【TRANSIT×酒噺】 旅の“宝噺”<カリフォルニア編>
2019,3,8 更新
トラベルカルチャー雑誌「TRANSIT(トランジット)」では、毎号特集した国や地域の旅の思い出を編集部と制作に携わった取材クルーが語りあう「旅の宝話」という企画を連載しています。「酒噺」では、「TRANSIT」とのコラボ企画として不定期に、その内容を「旅の“宝噺”」としてご紹介します。今回はTRANSIT36号で掲載されたカリフォルニア編。広大なアメリカ・カリフォルニアの大地を駆け抜けたクルー。取材のために現地の簡易ホテル・モーテルをめぐり身ひとつで戻った写真家と乾杯! 現地の味をお土産に、旅の話をしました。
■取材クルー プロフィール
筒井義昭氏に師事し、2015 年に独立。アメリカ で「モーテル」を撮りはじめる。 TRANSIT36号カリフォルニア特集ではモーテルに泊まる人びとの行き先について突撃インタビューを敢行した。6月には自身初となる写真集を出版予定。
カリフォルニアの旅の“宝噺”
柏田(以下K):アメリカ映画にでてくるモーテルが好きで。「本物を見たい!」という衝動ですね。モーテルは西海岸で生まれた文化なんですけど、今回はLAを出発して、アリゾナ、ユタ、ニューメキシコと東へ進みました。内陸に行くにつれ茶色い荒野の風景になるのですが、景色とともにモーテルの客層も変化したのが面白かったです。カリフォルニアは仮暮らしの若者が多くて、内陸は旅人が増えるんです。でもどこに行っても、懐かしい気持ちになるんですよね。「こういう場所、映画でみたことある!」って。
T:映画っぽい景色というのはわかります。荒野に一本の道路とひとつの小さな店、みたいな感じですね。既視感は映画の影響が大きいかもですね。
K:道路のすぐ脇に映画のロケ地があったりしますしね。
『バグダット・カフェ』のダイナーとか。そういうところでは料理だっていかにもアメリカです~みたいなピザとかパスタで、いまが2017年だってわからなくなるくらいレトロなのがたまらなく好きです。
でも道を走っていると無人の店とかもあって。今あるダイナーもモーテルも、数十年経ったら残っていないのかも、と考えるとさみしい。そうだ、映画といえば『McFarland, USA』という、ハイスクールの実話が元になったハリウッド映画があるんですけど。すこし遠回りして舞台になった学校へ寄ったら、映画のモデルになった本人たちに会えました! しかも写真まで撮らせてもらって。
T:すごい!! アメリカは車なしで移動できないのが煩わしいときもありますけど、すぐ寄り道できるからいいですよね。
K:その分なかなか先に進めないですけどね(笑)。移動できるのはやっぱり昼ですし。アメリカの人は真っ暗闇でも車をびゅんびゅん飛ばすので、ちょっと怖い。僕は無理せず昼に運転する派です(笑)。その代わり、夜はゆっくりすごします。
K:もちろんです! まわりに何もなくても、モーテルだけはあるのがアメリカです(笑)。 だからモーテルしかない場所だと、やることがない。時間がたっぷりあって、それがなんかぜいたくに感じました。大抵、屋外に椅子だけの休憩所があるので、そこでお酒やコーヒーを飲んで本を読みます。アメリカって物が溢れまくっているイメージだったんですが、僕が旅したアメリカは違ったなあ。棚からこぼれてきた、意外なお宝みたいな時間でした。
TRANSITとは?
URL:http://www.transit.ne.jp/
クレジット
(雑誌に掲載されている文章と一部異なる部分があります。)