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専門家がおせちのポイントを伝授!新年を彩るおせち料理とお酒の噺

専門家がおせちのポイントを伝授!新年を彩るおせち料理とお酒の噺

2022,12,9 更新

京都を拠点に第一線で活躍されている匠が、お酒の楽しみ方を語るシリーズ。今回は、おせち料理・行事食研究家の小宮理実(こみや・りみ)さんに、お正月にいただくおせち料理・お酒の由来やおさえるべきポイントについてお聞きしました。

本当の意味を知れば、おせち料理はもっと気軽に楽しめる

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いよいよ12月。
「今年のおせち料理はどうしようか」と考え始める時期になりました。
おせち料理を自宅で準備するとなると「調理に時間がかかる」「品数をたくさん揃えなくてはならない」と、億劫に思う方も多いのではないでしょうか。

そんな悩みについて、
「おせち料理が本来持つ意味や役割を知れば、押さえるべきところが自然と理解できるようになります。おせち料理のマナーは、実は意外にシンプル。そのポイントを知ることで、気持ちが楽になるんです」と話すのは小宮理実さん。
小宮さんは、おせち料理のほか、京都の行事食を専門とする料理研究家です。
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小宮さんは京都生まれの京都育ち。行事食を極めていくことになったルーツは、幼少期より同居していた、大正生まれのお婆さまの影響があったそうです。

「小学6年生まで祖母と同じ部屋で寝起きしていたんです。生活のすみずみまで『きちんとせなアカン』を貫く人で、とても美意識の高い人でした。季節ごとの食事も祖母から教わりました」と、小宮さん。

一方で、かつての小宮さんは、煮炊きものが多くを占める京のおばんざい(※)や、木造の神社仏閣がたち並ぶ街並み等、“茶色”のイメージがある京都のことを好きになれなかったのだとか。
「キラキラした色彩豊かなものに憧れた20代の私にとって、京都は地味なイメージしかなかったんです」。

※京都の一般家庭に受け継がれてきた惣菜のこと

そんな小宮さんに転機が訪れたのは、ご主人の転勤で東京に移り住んだ30代前半。高層ビルに囲まれ、目まぐるしく移り変わる流行の真っ只中で送る生活はそれなりに楽しかったものの、「自分がホッとするのは、やはり京都が持つ色彩の温かみだったのだ」と気づいていきました。

同時に、祖母と一緒に作った行事食は、小宮さんにとっては“あたり前の料理”でしたが、「ほかの人たちにとっては価値のあるものかもしれない」と思ったそうです。

その後京都に戻った小宮さんは、自身が祖母との暮らしを通して学んだことを整理する傍ら独学で猛勉強し、「古くから日本に伝わる大切な伝統を、多くの人に伝えたい」と料理教室を開きました。
おせち料理の監修を務めることになったきっかけは、小宮さんの手がけたおせち料理が老舗百貨店のバイヤーの目にとまったこと。新年にいただくおせち料理の果たす意味・役割は何なのか――それらを踏まえて形づくられた小宮さんのおせち料理は、他に類を見ない完成度だったそうです。

正月料理は「柳箸(やなぎばし)・三つ肴(みつざかな)・餅」の3つが基本

私たち日本人がお正月におせち料理をいただく理由は、神様からのお下がりであるおせち料理をいただくことで、神様のお力を授かり、1年の健康や繁栄を祈願するためだと伝えられています。
「“神様へのお供えもの”という意味を持つおせち料理には、料理にも盛り付けにも意味があります。ならわしを知り、基本を押さえておくだけでいいのです。作るのが手間であれば、市販のものを買ってきてもいいですよ」。

お正月のお祝い膳の基本は、「柳箸(やなぎばし)・三つ肴(みつざかな)・餅」だと小宮さんは説きます。
おせち料理に用いる「柳箸」

おせち料理に用いる「柳箸」

祝い箸には、両細の「柳箸」が用いられます。
この柳箸には、片方は神様、もう片方は自分が使い“神様と共に食事をする”という意味があります。
また、新たに始まる1年の無病息災を願う上で、しなやかで折れにくい柳の箸を使うとも言われています。
 数の子・ごまめ・たたきごぼうの「三つ肴」

数の子・ごまめ・たたきごぼうの「三つ肴」

撮影:久保田康夫(バウプラス京都)
京都の「三つ肴」は、おせち料理の定番である数の子・ごまめ(田作り)・たたきごぼうの3種類のこと。
数の子には子孫繁栄、ごまめには五穀豊穣、たたきごぼうには地に根を張って安泰に生きていくという願いが込められています。
雑煮で「餅」をいただく

雑煮で「餅」をいただく

私たち日本人の主食であるお米は、“神様からの贈り物”とされており、そのお米からできている「餅」には、神様の魂が宿るといわれています。神様のエネルギーを授かるためにも、お正月にはぜひいただきたいですね。

「柳箸を使って三つ肴とお餅をいただくことが、正月料理の基本です」と小宮さん。
おせち料理というと、たくさんの品数を用意して重箱に美しく盛りつけるのが大変というイメージがありますが、小宮さんは「基本さえ抑えれば大丈夫! もっと肩の力を抜いて気軽に楽しんでほしい」と強調します。

調味料選びのポイントは「質の良さ」と「手軽に買えること」

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ちなみに小宮さんは、普段からタカラ本みりんを愛用されています。
その理由は、「余計な味がつかず、素材そのものの良さが引き出される」「味がピシッと決まる」、そして「スーパーでいつでも買える」からだそう。
レシピを開発して世に伝えても、人によって使う調味料が異なると味が変わってしまいます。そのため、小宮さんは多くの人が簡単に買えることも重視しているのだとか。
「美味しい料理を、たくさんの人たちに楽しんでほしい」という想いが、調味料選びにもあらわれています。

料理にまろかやな甘みを加えたいとき、てりを出したいときに使うのが本みりん。
おせち料理では、昆布巻き、だて巻きを作る際には欠かせない調味料です。
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本みりんと同じく、おせち料理の定番調味料である料理清酒には、うまみとコクを出す、肉や魚のくさみを取って柔らかくするといった効果があります。

新年のお祝いに、お酒が欠かせない理由とは

お正月を迎え、まず口にするのはお屠蘇(とそ)です。
「日本食の基本は、神様が天上から私たちにもたらした『お米』が由来の、米・酒・餅が基本。だから神様とともに迎える新年には、お酒も必要です」と、小宮さん。
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「お酒を主役にするなら、重箱におせちを詰めるのではなく、お膳で寿(ことほ)ぎの気持ちをあらわすのはいかがでしょうか」と、小宮さん。

選んだ素材は、朱の漆(うるし)塗り。現在は高級品として知られる漆には殺菌効果があり、かつて冷蔵庫のなかった時代には、料理を日持ちさせる器としても重宝されていました。

紅白かまぼこは、高台(こうだい)という高さのある器に乗せることで、神様への敬意を払います。
かまぼこの配置は、向かって右側が赤、左側が白の「右紅左白(うこうさはく)」で。これは、日本では昔からお祝いの気持ちを表現するときに「右側を華やかにする」というならわしがあるためです。

料理を盛り付ける数は、奇数が基本です。
「偶数は2つに分かれる数なので、祝い事には向かない」とされているのですが、「『無病息災』につながる『6』は例外」なのだそうです。

紅白かまぼこに合わせるのは、純金箔入りの日本酒・松竹梅。透明のグラスに注ぐと、舞う金箔を目で楽しむことができ、新年の祝い膳がいっそう華やぎます。

上質なかまぼこをアテに、ふくよかな味わいの日本酒をキュッと口に含むと、お米の豊かな風味が鼻を通り抜けます。
しっかりとした辛口で飲み飽きず、グラスを傾けるごとに金箔が揺らめいて、お正月のお祝い気分を盛り上げてくれます。

新春のお祝い膳を華やかに彩るスパークリング日本酒

栗きんとんは「豊かさの象徴」、昆布巻きは「喜ぶ」=「よろこんぶ」。
門松に代表される「松」には神様が降臨するといわれることから、料理の上に松葉を添えています。
「食卓に神様がいらっしゃるように」という願いが込めらたお正月のしつらえです。
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コーディネートには、リッチな洋のアイテムを選定。
イタリアの有名ブランド・リチャードジノリのホワイトプレート、フランス王室御用達とされるクリストフルのお箸で洋の華やかさを出しながら、漆の折敷で和の格式高さを演出。
「普段はもったいなくて使えないという器こそ、お正月に登場させてほしいですね。『おせち料理には和食器』という固定概念にとらわれず、とっておきの洋食器やグラスで晴れやかさを出すのも、神様をお迎えし、おもてなしする気持ちの表現となります」。

普段から、スパークリング日本酒「澪」とスイーツの組み合わせが大好きという小宮さん。
和スイーツとも言える栗きんとんと、甘めの味付けの昆布巻きに合わせたのは、やはり「澪」でした。

「映画を観たり、音楽を聴いたりしながら、自宅でゆっくり一人飲みするときの定番は、澪とスイーツです。澪は、チョコレートケーキやチーズケーキとも相性がいいんですよ」。

新発売の「澪」PREMIUM<RICH>は、贅沢な味わいと香りが楽しめる純金箔入りで、新春のお膳を華やかに彩るとっておきのお酒です。
昆布巻きの甘みが口の中に広がったら、続けて「澪」を一口。
やさしい甘みとフルーティな香りが昆布巻きの甘さを引き立て、シュワっと心地よい泡とともに新春の高揚感を高めてくれます。

新年にいただくおせち料理には、神様をお迎えするという特別な意味が込められています。
そんな特別なシーンには、神様の贈り物である“お米”で造られた純金箔入りの日本酒がぴったりです。
良い1年となりますように、新年は皆で「乾杯!」といきましょう。

次回・1月6日公開の酒噺では、小宮さんに「おせち料理のリメイクおつまみ」をご紹介いただきます。
年明けも、ぜひ酒噺をお楽しみくださいね。
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料理研究家 小宮理実 ホームページ
URL:https://komiyarimi.com/


▽料理と一緒にご紹介したお酒・調味料はこちら

●上撰松竹梅「御神酒」〈純金箔入〉
https://www.takarashuzo.co.jp/tkr-shohin/cmn_p_detail.php?p_prodid=3756

●上撰松竹梅「祝彩」〈純金箔入〉

●スパークリング日本酒「澪」
http://shirakabegura-mio.jp/

●スパークリング日本酒「澪」PREMIUM<RICH>
https://www.takarashuzo.co.jp/news/1187890_1999.html

●タカラ本みりん「純米」<国産米100%>
https://www.takarashuzo.co.jp/cooking/honmirin/junmai/

●タカラ「料理のための清酒」
https://www.takarashuzo.co.jp/cooking/honseishu/ryoutame/
▽そのほか、『ハンケイ500m』コラボ記事「匠×酒シリーズ」はこちらから。
『ハンケイ500m』ホームページ(https://www.hankei500.com

・京都の老舗料理旅館「八千代」の支配人が語る和食と日本酒の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/japanesefood_221104

・10月1日は「日本酒の日」―北野天満宮と日本酒との深い縁の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/sakeday_220930

・京都の和菓子職人が語る、和菓子と酒の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/sweets_220909

・漬物屋お勧めの漬物と酒で、夏の晩酌を楽しむ噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/pickles_220805

・京名物・黒七味屋当主が語る祇園祭の神事とお酒の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/gionfestival_220624

・京名物・黒七味屋当主が語る祇園祭とお酒の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/gionfestival_220603

・宇治の有機茶園社長が語る「新茶」とお茶割りの噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/new_tea_220506

・京都の老舗豆菓子屋主人が語る「ひなまつり」の豆菓子と酒の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/hina_festival_220303

・京都の老舗豆菓子屋主人が語る「京都の節分と酒」の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat1/setsubun_220203
   

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