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6月16日は「和菓子の日」—京都の老舗菓子司・末富の4代目が語る和菓子と酒の噺

6月16日は「和菓子の日」—京都の老舗菓子司・末富の4代目が語る和菓子と酒の噺

2023,6,16 更新

京都を拠点に第一線で活躍されている匠が、お酒の楽しみ方を語るシリーズ。6月16日の「和菓子の日」にちなみ、京都の老舗「京菓子司 末富」の4代目・山口祥二(やまぐち・しょうじ)さんに、和菓子とお酒の楽しみ方についてお聞きしました。

フランス料理とのコラボで再認識した和菓子と酒の親和性

創業1893年、京都の老舗「京菓子司 末富」。
代々受け継がれてきた匠の技で、季節感を大切にした京菓子を創作する4代目の山口祥二さんに、前回は「新しい京菓子とお酒」 についてお聞きしました。
続編となる今回は、「伝統的な和菓子とお酒」についてお話しいただきます。

京都の老舗菓子司・末富の4代目が語る新しい京菓子に合うお酒の噺
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「和菓子は、お酒とも相性がいい。和菓子の甘さが、日本酒に限らず、シャンパンや白ワインなどスッキリしたお酒によく合います」と、山口さんは語ります。

より一層そう感じるようになったのは、2009年9月、モナコ公国・オペラ座で行われた歌舞伎公演のレセプションでのこと。
フランス料理界の巨匠、アラン・デュカスによるフレンチと末富の和菓子のコラボレーションが実現し、山口さんは、葛菓子・こなし・きんとんといった、伝承の和菓子をふるまいました。

イベント終了後の慰労会では、シェフや関係者が、残った和菓子をいただきながらお酒を堪能したそうです。

「フランスで和菓子が食べられるようになったのは最近のことで、富裕層がティーセレモニー(茶道)を始めたのがきっかけと言われています。
それから和菓子の価値が高まっていき、高級レストランが取り入れたり、有名パティシエが勉強するために来日するようになりました」。

西洋で日本文化が認められ、浸透していく中で、和菓子や日本酒といった日本食も広まっていったのです。

酒と和菓子の共通点は「神事での供物」

お酒と和菓子の共通点は、「素材選びが命」ということ。お酒も和菓子も米や小豆という素材の良さを追求します。

「産地や品種、その年の出来ぐあいを見て素材を厳選するのは難しく、すぐにできるようになるものではない」と山口さんは話します。
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また、お酒や和菓子は、神事での供物にされるのも共通点のひとつです。

6月30日は、京都の各神社で「夏越(なごし)の祓(はらえ)」が執り行われます。
1年のちょうど半分にあたるこの日、半年分のけがれを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事で、神社の境内に設けられた、茅(ちがや)で作られた大きな「茅(ち)の輪」をくぐります。

梅雨時の悪霊やけがれを洗い流す禊(みそぎ)の酒として「夏越しの酒」を飲む習慣があり、同じく厄除けの意味を持つ和菓子「水無月(みなづき)」もいただきます。
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水無月(みなづき)
かつて宮中では、旧暦の6月1日に「氷の節句」という行事が執り行われていました。
氷室から取り出した氷を口に含むことで暑気払いをするというもので、当時氷はとても貴重だったため、餅で代用するようになったのが「水無月」の起こりだといわれています。

「水無月」は、三角形のういろう餅に、小豆をのせた和菓子です。
三角形のかたちは氷を模したもので、小豆には邪気払いの意味が込められています。

「水無月」のういろうには米粉を使うのが一般的ですが、末富の「水無月」は京都でも珍しく葛(くず)が使われています。
葛で仕立てているのは、「お茶席での抹茶に合うように」という、茶道家元にもひいきにされる「末富」ならではの心配りからです。
なお、末富の「水無月」は予約販売のみです。

葛仕立ての「水無月」に合わせるなら、芋焼酎のロック

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山口さんが「水無月」のお供に選んだのは、「全量芋焼酎『一刻者(いっこもん)』<長期貯蔵>」のロックです。

こちらは、6年をかけて技術開発された芋麹を使用した100%芋の全量芋焼酎。<長期貯蔵>の「一刻者」は、3年以上熟成させているため、まろやかな味わいが楽しめます。
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「一刻者」の産地を訪ねたこともあるという山口さん。
「麹まで芋というのが珍しいですよね。芋そのものの甘さがそのまま感じられます。ロックでいただくと、葛の素朴な滋味をしっかりした味わいの芋焼酎が引き立ててくれます」。

「水無月」の上部に丹波小豆をぎっしりではなくまばらに散らしているのは、繊細な葛のおいしさを引き出すためなのだとか。
上品な甘さの「水無月」と、しっかりした味わいの全量芋焼酎「一刻者」<長期貯蔵>。
その相性の良さは、疑う余地もありません。

餡の甘さを引き立てる、スパーリング日本酒「澪」

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6月に末富の生菓子として登場するのが「紫陽花(あじさい)」。
小豆や手亡豆のあっさりした餡を、蒸して裏ごしした山芋あんで包んだきんとんです。
緑や紫など涼しげな色で仕上げられており、上には雨のしずくをイメージした寒天が添えられています。
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紫陽花のきんとんに合わせたのは、スパークリング日本酒「澪(みお)」。
爽やかな泡が心地よく、お米のやさしい甘みとほどよい酸味が楽しめる発泡性のお酒で、「新しい日本酒」として、アメリカを中心に、アジア、ヨーロッパなど世界で人気が高まっています。

「澪はフルーティであと口がさっぱりしているので、どんな和菓子にも合うと思います。しっかりした甘さが楽しめるきんとんのほか、淡⽩な味わいのおせんべいなどもいいですね」。

みぞれ酒の裏技!? 和菓子に乗せて食感の違いを楽しむ

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「澪<FROZEN(フローズン)>」は、冷凍庫で凍らせた後、揉みほぐしていただく、新感覚のお酒です。

シャーベット感覚でいただける「澪<FROZEN(フローズン)>」は、暑い夏にぴったりです。
「シャリシャリした食感がおもしろいですね。日本酒の概念を覆してくれます」と、山口さん。
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山口さんが教えてくれたのは、きんとんに「澪<FROZEN(フローズン)>」を乗せるという裏技。

「きんとんの中身は、甘みのあるこしあんです。そこに、すっきりとした「澪」<FROZEN(フローズン)>をかけてみたら美味しいだろうなと試してみたところ、大成功でした。
きんとんのなめらかな舌触りと、澪<FROZEN(フローズン)>のシャリッと感という異なる食感が楽しめます」。

和菓子をきっかけに、日本の歴史や文化に思いを馳せてほしい

山口さんは、京都の同志社女子大学・大谷大学で非常勤講師を務め、学生たちに京都の文化や歴史を教えています。
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「和菓子は、日本の文化や歴史の結晶ともいえます。その季節に店頭に並ぶ和菓子の意味を知り、日本に息づいてきた文化に触れることで、もっと和菓子を楽しんでいただけようになると思います」。

季節の移ろいにあわせて変わる和菓子。
6月16日・和菓子の日に、この季節だけの和菓子を楽しみながら、一献傾けてみてはいかがでしょうか。

<取材協力>

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末富
住所:京都市下京区松原通室町東入
URL:https://www.kyoto-suetomi.com


▽料理と一緒にご紹介したお酒はこちら

●松竹梅白壁蔵「澪」/「澪」<FROZEN>
http://shirakabegura-mio.jp/

●全量芋焼酎「一刻者」<長期熟成>
https://www.ikkomon.jp/
▽そのほか、『ハンケイ500m』コラボ記事「匠×酒シリーズ」はこちらから。
『ハンケイ500m』ホームページ(https://www.hankei500.com

・行列の絶えない人気立ち飲み店オーナーが語る、京都の立ち飲み文化と酒の噺
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・京都の老舗菓子司・末富の4代目が語る新しい京菓子に合うお酒の噺
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