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京都のフリーアナウンサーが、冬の京都の風物詩「大根焚き」を語り、「蒸し寿司」を堪能しながら酒を楽しむ噺

京都のフリーアナウンサーが、冬の京都の風物詩「大根焚き」を語り、「蒸し寿司」を堪能しながら酒を楽しむ噺

京都をよく知る酒好きの人物が、京都の名所や歳時記とともに、酒の楽しみ方を語るシリーズの第10弾。今回は、京都生まれ京都育ちのフリーアナウンサー兼起業家としても活躍する岩崎絵美さんに話をお聞きしました。12月の京都は大根のおいしい時期。あちこちの寺院で「大根焚き(だいこだき)」が行われ、また、料理屋などには冬のご馳走「蒸し寿司」が登場します。京都ならではの冬の味覚を肴に岩崎さんが酒を楽しみます。

12月は和洋のどんなシーンにも合う、クリスマスを意識した着物で

岩崎絵美さんは京都生まれの京都育ち。大学を卒業後、フリーアナウンサーとして活躍、フリーアナウンサーとして活躍、例年、京都三大祭りの一つである時代祭では見物客向けに現地で流れる祭りの解説もしています。
「誰でも着付けを学ばなくても簡単に着られて、着姿は本物と変わらない」三部式のdricco(ドリッコ)きものを開発し、2018年 株式会社driccoを起業。アナウンサー業に着物の普及にと、日々忙しく活躍しています。

岩崎さんのこの日の着物は、12月ということでクリスマスカラーを意識した青緑の色無地です。スワロフスキーのついた刺繍襟も華やかで、クリスマスオーナメント柄をちりばめた黒い帯と、カメリアのブローチを通した帯締めがよくマッチしています。

京都のいろいろなイベントや行事で司会をされている岩崎さん。
京都という土地柄、着物を着ていくことが多いそうです。上品さを醸す着物はどこでも喜ばれるので、最近では和のイベントだけでなく、洋のイベントにもよく合う和装を心がけています。

しかし、自身で着物が着られない人は、着付けにお金がかかり和装から遠のきがち。もっと手軽に着物を着られるようユーザー視点で考え、辿り着いたのが、着付けが簡単な「三部式着物」です。
さまざまな色柄の既製品もあれば、オーダーメイド、古い着物からのリメイクまで、多種多様なニーズに対応し、着物文化を広げようと日々活動しています。

大鍋でじっくり焚いて振る舞われる「大根焚き(だいこだき)」は、冬の京都の風物詩

底冷えのする京都の冬は、旬をむかえた大根がみずみずしく最もおいしくなる季節。
そんな時期、「大根焚き」と呼ばれる行事が、京都のあちこちの寺院で行われ、冬の京都の名物にもなっています。

由来は寺院によってさまざま。無病息災の祈願とも、お釈迦様が悟りを開いた12月8日に煮た大根を供えて振る舞ったことからとも言われていています。
出し汁も、各寺院でこだわりがあり、柚子が添えられているものもあります。
大鍋で煮た大根を仏前に供え、参拝者に振る舞う行為は共通して今に残っています。

コロナ禍で「大根焚き」が中止となる寺院も多い中、了徳寺(京都市右京区)は持ち帰りのみで実施されるそう。こちらの「大根焚き」は、お出汁のしみた大きな油揚げが入っているのが特徴です。
(※今年度開催については了徳寺ホームページをご確認ください)

大鍋で煮た大根は、家庭で作るのとはまた一味違います。
ほくほくで温かく、味もよくしゅん(※)でいて、冷え切った身体を温めてくれます。大根は事前に仏前で祈祷もされているので、そのご利益も一緒にいただけそうです。
(※「しゅんでいる」とは関西弁で「しみ込んでいる」こと)

馴染みの店にて、ふろふき大根と燗酒で温まる

長年、京都でアナウンサーやレポーターをしてきた岩崎さん。
仕事柄、京の歳時記を原稿で読むこともよくあります。
例年冬になると大根焚きを報じたニュースを目にすると、「今年もあとわずかだなぁ」と感じるそうです。

この日、岩崎さんが立ち寄ったのは、四条烏丸に近い馴染みの店「ごはん処 矢尾定(やおさだ)」。
「やはり、大根焚きの季節は、あつあつの大根料理をいただきたいですね」と、岩崎さん。

自宅でも冬は大根を使った料理をよく作るのだとか。
「忙しい合間につくるので、私が作る大根料理はシンプルな家庭のおそうざいです。他のお野菜も入れて焚き合わせにしたり、おでんにたっぷり入れたりしますね」。

やわらかいふろふき大根を箸で小さく切って一口。そのあと燗酒をいただき、しみじみと「沁みますね~」とにっこりする岩崎さん。

大根は箸で切るときに出し汁が飛び出してくるほどしみています。
「色が薄いのによく大根にお出汁がしゅんでいて、そこにほどよくのった白味噌の甘さが絶妙です。柚子の香りもアクセントになっていますね」とさらに盃を重ねます。

「この白味噌の甘味が、お酒を引き立てておいしいです。お出汁にも、少しお酒が入っているようなので、互いに引き立て合っている感じですね」。

京都人にはなじみ深い冬の風物詩「蒸し寿司」をいただきます

ふろふき大根のあとは「蒸し寿司」をいただきます。
冬になると京都の料理屋や寿司屋に登場するのがこの蒸し寿司。

蒸し寿司は、温ずし(ぬくずし)とも呼ばれ、関西以西で冬に食べられる温かいちらし寿司のことです。因みに「ぬくい」は温かいを意味する方言。穴子、海老、錦糸卵、椎茸、かんぴょう、蓮根など盛りだくさんの具材を酢飯に取り合わせたものです。

関東のちらし寿司は酢飯に活きのよい鮮魚をのせますが、それに対して関西では火の通った具材を酢飯に混ぜ込み、上にもトッピングします。

寒い冬にこの寿司を容器ごと蒸して、ふかふかの食感で味わうのが蒸し寿司です。発祥は諸説あり、京都や大阪、または長崎とも言われています。

京都には蒸し寿司を出す店は多く、地元では馴染みの深い冬の料理です。
矢尾定では、お客さんの希望に応じて、温かい蒸し寿司のほか、蒸さない状態の寿司も提供しているそうです。

具だくさんの温かい蒸し寿司には、冷やの大吟醸酒を

※お酒はイメージです。店舗での取り扱いはありません。
さて、あつあつの蒸し寿司が運ばれてきました。この蒸し寿司をアテに、お酒をゆっくりいといただきます。

味わい深い大吟醸酒を少し冷やして取り合わせ、温かい穴子や海老、錦糸卵などをアテにちびりちびりといただきます。
フルーティーな味わいの大吟醸酒と温かい蒸し寿司は、冬の宵にしっくりと合う、絶妙な組み合わせです。

蒸し寿司の蓋を開けたとたん、「あ~、きれい!なんて鮮やかな色の取り合わせなんでしょう」と思わず声を上げる岩崎さん。
岩崎さんにとって蒸し寿司は、冬場にお店で食べるご馳走。寒いときにほっこりできるそうです。

一口食べた岩崎さん、「ご飯がほかほかで、身体が温もりますね」。
そのあと大吟醸酒を口に含み、「ふわ~っと華やかな香りが広がります。やさしい味わいで、蒸し寿司の味にぴったりですね」と、うっとりと盃の酒を見つめます。

「蒸し寿司は、蒸すことで酢のカドがとれて、まろやかな味になります。お酒も米を磨きに磨いて仕込んだ大吟醸酒。味にやわらかさがあり、ぴったりなんです。やはり蒸し寿司には大吟醸酒ですね」と満足気です。

色鮮やかな着物に映える、美しい彩りの蒸し寿司。京の風物詩を十分堪能し、大吟醸を楽しんだ岩崎さん。
「やはり伝統文化は、時代を経てもずっと継承していってほしいですね。着物も同様に、若い方にもどんどん着てもらえるよう普及させていきたいです。2022年も仕事やプライベートに忙しくなりそうですが、おいしい料理やお酒をたくさんいただける良い1年にしたいですね」と、来年の抱負についても語っていただきました。

■driccoきものホームページ
https://dricco-kimono.com/whats-dricco/

<取材協力>

ごはん処 矢尾定
住所:京都市下京区新町通綾小路上ル四条町361
営業時間:11:00~14:00/17:30~20:00
定休日:水曜
URL:https://www.yaosada.com
※新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、営業時間等に関しましては、店舗にお問い合わせください(取材日:2021年11月19日)


▽料理と一緒にご紹介したお酒はこちら
●上撰松竹梅
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/shochikubai/

●特撰松竹梅<大吟醸>磨き三割九分
https://www.takarashuzo.co.jp/products/seishu/daiginjo_migaki39/


▽そのほか、『ハンケイ500m』コラボ記事「京の歳時記と酒シリーズ」はこちらから。
『ハンケイ500m』ホームページ(https://www.hankei500.com

・京都の老舗のご主人が、紅葉を愛でながら京都中華をアテに酒を楽しむ噺
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